埼玉県。都会をイメージする人、田舎をイメージする人、だいたい半々くらいだろうか。しかし俺が住んでいるS市は埼玉県の外れも外れの超ド田舎。周囲をぐるりと見渡せば、そこにあるのは田畑と新興住宅地だけである。
さて、田舎というのは都会にはない、常に何かしらのニオイがするものだ。四季によって天候によって、風のニオイは種々雑多。そしてそのうち90%が不快臭、もう溜まったもんじゃない。
例えば「やべ、体重増えてる。夕食を抜かなきゃ」。そんな時に限って、換気に窓を開けると近所の家からカレーの匂いがしてくる。空腹は極限、これが神が我に与えたもうた試練なのか。嗚呼、なんと魅惑的な匂い。なんと過酷な苦行なんだ。
それならまだいい。「よし、体重が減った。ご飯食べよ」。そんな時に限って、近所の下水道から汚物臭がただよってくる。おのれ、たとえ神の御業といえども断じて許さん。