史上最高のミュージシャンと言えば、ご存じビートルズ。しかし60年代当時、ビーチ・ボーイズがビートルズのライバルと目されていたことは、今やほとんど知られていない。
史上最高のエンターテイナーと言えば、ご存じマイケル・ジャクソン。しかし80年代当時、プリンスがマイケルのライバルと目されていたことは、今やほとんど知られていない。
古今東西文化・芸能史を紐解くに、一つの時代に傑物は1人、所詮2番手は歳月と共に忘れ去られる。それが世の常、これについてはまあ納得できる。
ところが現在の日本の芸能界。歴史上の1番手がバッシングとともに抹消され、2番手が再評価されるという不可思議な逆転現象が至るところで見受けられる。これは一体どういう訳か。
その時代を知る者として、俺はこれが何とも釈然としない。よって今日の日記では現代を生きる、特に若い人たちに向けて歴史認識の補正を試みたい。
(1)福山雅治は2番手、当時1番手は木村拓哉
昨年末の電撃婚でいささか人気は落ち着いたものの、今尚芸能界随一のモテ男である福山雅治。しかし彼がかつて、「万年2番手」と呼ばれていたことをご存知だろうか。
そしてその間実に10年以上に渡りトップを独走、主演ドラマでことごとく歴代最高視聴率記録を塗り替えていたのは、今や完全に過去の人、SMAP木村拓哉である。
(2)宇多田ヒカルは2番手、当時1番手は浜崎あゆみ
今も希代のシンガーソングライターとして絶大な支持を誇る宇多田ヒカル。けれど00年代初頭、CD売上、社会的影響力、各種賞レース、その他全てにおいてどうしても敵わない相手がいた。
それこそが、女性歌手歴代1位のシングル・アルバム総売上を誇る平成最高の歌姫、浜崎あゆみだ。その彼女は今、音楽界の功労者たる扱いを全く受けていない。
なぜ現在キムタクは福山の、浜崎は宇多田の足元ほどにも評価されていないのか。思うにかつて、それぞれ俳優界、音楽界において絶対的地位を築いてしまったからではないか。
絶対王者を何としても王座から引きずり下ろしたい。引きずり下ろしたらケチョンケチョンに踏みつけたい。悲しきかな、それもまた群衆心理なのであろう。