幼少時代。それもまだ3、4歳、
まさに物心つきたてのバリバリの幼児だった頃。
俺は光GENJIの大ファンだった。
俺が人生で最初に憧れたアイドル、
それが男であったなどとは、不祥の極みである。
さらに言うならば。
俺はそれ以後、いわゆるアイドル歌手、
アイドルグループに特別に惹かれたことはない。
俺の人生における唯一無二のアイドル、
なぜそれがよりにもよって、光GENJIだったのだろうか。
それは父親の無責任な一言のせいだ。
幼少のある時、俺はテレビで光GENJIを観ていた。
当時俺は幼いながらも、男と女の区別はしっかりついていた。
「綺麗なのが女、汚いのが男」である。
然るに、この光GENJIとかいう連中は、
男のくせになんとまあ小奇麗なことか。
その時だ。父親が、得意気に俺にウンチクを披露した。
「光GENJIは1000年前にもいたんだよ」
父親の発言をより正確に訂正するならば。
「光GENJIのグループ名の由来である光源氏は、
1000年前に書かれた小説の中に登場した人物である」
しかし、幼すぎた俺はそうは受け取らなかった。
「光GENJIは1000年もの昔に誕生し、
悠久の時を超え活動を続けるグループである」
「凄え、こいつら1000年も生き続けて、
ずっとこんなカッコ良く歌って踊ってるのかよ」
それで一発で虜である。
俺はサンタクロースを信じたことがない。
一人の人間がたった一晩の間に、
世界全世帯にプレゼントを配るなど不可能だからだ。
また、子供の作り方は知らないまでも、
それをコウノトリが運んでくるとは思っていなかった。
コウノトリを使って新婚家庭に新生児を配送する、
そんなシステムの構築など荒唐無稽だからだ。
まだ幼かったとは言え、その俺が。
なぜ人間が1000年もの間生き永らえ、
芸能活動を続けるなどと思い込んでしまったのか。
あらゆる意味で光GENJIは俺の黒歴史だ。