東日本大震災・横浜から埼玉県北に帰る男(その8) | まきしま日記~イルカは空想家~

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ちゃんと自分にお疲れさま。

ガセであって欲しかった…
悪意に満ちた根拠なき噂であって欲しかった…


俺が、全て国民が、
最も恐れていた事態が現実のものとなった…


炉心溶融に伴う核燃料の爆発!
福島がチェルノブイリと化す!!
北海道、東北、関東、
震災被害を遥かに陵駕する、
未曾有の被爆災害が東日本全域を襲う―――


ふいに実家の祖母の顔が浮かんだ。
「帰らなくちゃ!」


意志、感情、情動、
それらを陵駕する断固たる何かに突き動かされ、
俺はネットカフェを飛び出した!


午後7時、いまだ宇都宮線は動かない。
もう待ってられるか!!


手持ちの金は15,000円。
一か八か、俺はタクシーに飛び乗った。


「久喜駅に向かって、
15,000円で行けるとこまで行ってください!!」


(続く)