午後4時半、大宮駅。
目にした光景は、
俺の楽観的観測を根底から覆すものだった!!
人・人・人…
ホームから溢れ出す人の群れ!
最寄り・久喜駅に通ずる宇都宮線は、
いまだ復旧の見通しさえ立たず。
そうなのだ!
一見、”平常”を取り戻したのは首都圏のみ。
一歩外に出れば、
そこでは今なお”震災”は現在進行形。
俺は前日に学習していた。
いつ来るとも分からぬ電車、
駅で待ち続ける体力的・精神的疲弊を考えたら、
腹をくくり、さっさと宿を見つけた方が良い。
大宮駅から外に出る。
今の疲労の度合いを考えたら、
カプセルホテルという選択肢もあっただろう。
しかしこの迅速的判断が求められる状況下、
丸一日情報から隔離される訳にはいかない。
ネカフェに入る。
ここならネットもテレビもある。
この一畳ほどの閉鎖空間、ここが今夜の俺の宿。
深々とダイニング・チェアに腰を沈める。
疲れた…
しかしテレビをつけた俺は、
またしても驚愕にさらされることとなる!!
午後3時半、
福島第一原発の天井が爆発!!
政府は以後一切の情報を封鎖、
何一つ事態の説明がないまま、
第一原発半径10km、第二原発半径3kmであった避難区域は、
ともに半径20kmに拡大されていた―――
(続く)