Hyper Fun & Hobby -84ページ目

ブラック・ダリア

かつてはプロボクサーとして鳴らした、警官のバッキーとリー。ロス市警のPR試合で一戦を交えた2人は、急速に接近。仕事上でもバッキーは年長のリーに引き抜かれ、特捜課でコンビを組み始める。そんなある日、身体を腰から切断され、口を耳まで切り裂かれた若い女の全裸死体が空き地で発見される。間もなく死体の身元は、映画女優を夢見ながら娼婦まがいの生活を送っていたエリザベス・ショートだと判明。2人も事件の捜査に乗り出すが、リーはこの事件に異常な執着を抱き始め……。

戦後間もない1947年、ロスを震撼させた猟奇殺人事件。ハリウッドで夢に破れ「ブラック・ダリア」の通り名で呼ばれていた娼婦は、世界一有名な死体となったが、ついに真相が明らかになることはなかった。この実在の迷宮入り事件を基に、“アメリカ文学界の狂犬”ジェイムズ・エルロイが書き上げたノワール小説を映画化。事件に魅了され、人生を狂わせていく若い刑事2人の重厚なドラマが描かれていくが、ブライアン・デ・パルマ監督お得意の長回しも健在!主人公2人と三角関係に陥るケイをエレガントに演じたスカーレット・ヨハンソン、捜査線上に浮かび上がる大富豪の娘を妖しく演じたヒラリー・スワンクと、女優陣の美しさがクラシカルな雰囲気の中で際立っている。

地下鉄(メトロ)に乗って

絶縁状態の父親が倒れたという知らせを受けた日、小さな衣料品会社の営業マン・長谷部真次は、いつものようにスーツケースを転がしながら地下鉄で移動していた。そこに突然、亡き兄が姿を現す。兄の背中を追って地下通路を抜けると、そこは昭和39年の東京だった。ほどなくして真次は無事現在に戻ってくるが、後日、今度は恋人の軽部みち子も一緒に昭和21年に遡り、闇市でしたたかに生きる若き日の父・小沼佐吉に出会う。

大都会・東京の地中深く縦横無尽に張り巡らされた地下鉄路線。多くの人々にとっては何の変哲もない日常の移動手段に過ぎない。そこから逸脱し、過去に旅する主人公の真次とみち子は、図らずもお互いの絆を深めることになるのだが。演じる堤真一、岡本綾と一緒に見る者も、地下鉄の轟音と共に過去へ連れ去られる。直木賞作家・浅田次郎の自伝的要素の強い同名小説を原作に、一筋縄ではいかない父と子の愛憎や、愛する男を幸せにするために非常な決断を下す女心がエモーショナルに描かれる。大沢たかおが出征直前の若者から、威圧的な父親までを一気に演じれば、真次を過去に誘う恩師役の田中泯が圧倒的な存在感で異彩を放つ。

涙そうそう

いつか自分の店を出したいと夢を抱いて那覇の市場や居酒屋で朝から晩まで元気いっぱい働く洋太郎。そんな彼にとって自分の夢より何よりも優先すべきは大切な妹・カオルの幸せ。まだ幼い頃、どんなことがあっても妹を守ると母と交わした約束を忘れることはなかった。その妹が高校進学を機にオバァと暮らす島を離れ、洋太郎と一緒に暮らすことになる。久々に再会したカオルの美しく成長した姿に洋太郎は動揺を隠せない。

泣きたいときは泣けばいい。どんなに悲しくても、人は生きて幸せになることができる。『いま、会いにゆきます』の土井裕泰監督がメガホンをとり、幼い頃から兄妹として育てられ、肩を寄せ合って生きてきた洋太郎とカオルの健気な愛を描いた本作は、森山良子が亡き兄への思いを込めて詞を書いた名曲「涙そうそう」がモチーフ。妹のためなら嵐の中でも駆けつける頼れる“兄ィニィ”こと洋太郎と、その兄を心の底から慕うカオルを、ひたむきに素直に演じる妻夫木聡と長澤まさみがぴたりとはまっている。互いにとことん相手の幸せを願う2人が、いつしか芽生えた募る思いを堪えながらそれぞれの寝顔をじっと見つめる眼差しが印象深い。