Hyper Fun & Hobby -83ページ目

トンマッコルへようこそ

1950年代、朝鮮戦争が続く中、戦争とはまるで無縁の平和な村が山奥にあった。その名はトンマッコル。そんな村へまるで導かれるように、アメリカ人パイロットのスミス、韓国軍の2人、それに敵対する人民軍の3人がやってきた。顔を合わすなり、銃を持ってにらみ合う両者だが、銃や手榴弾を見たことがない村人たちは呑気なもの。偶然から村人たちの食料貯蔵庫を爆破してしまった兵士たちは、ひとまず協力して村人たちの畑仕事を手伝うことに。やがて両者に心の交流が生まれてくるが…。

「トンマッコル」、それは「子どものように純粋」という名の村。「戦争」や「憎しみ」といった汚れを知らない理想郷だ。そこでは敵味方もなく、双方の兵士が手を取り合って協力しあえるところである。それは朝鮮戦争という、同じ民族同士で殺しあった過去を持つ現代の韓国人が、「そんな過去はなかったことにしたい」という願いから生まれた夢かもしれない。現実は甘くないが、だからこそ映画の中では「理想」が表現できるのだ。ファンタジックな美しい映像、『千と千尋の神隠し』の実写版を見ているかのような錯覚を誘う久石譲の音楽(村の入口には似たような石像も登場する!)、そして涙なしには見られない感動のラストシーン、と美しくも見どころ満載の映画だ。泣けます。

虹の女神 Rainbow Song

小さな映像制作会社にようやく就職し、日々苛酷な労働を強いられている岸田智也に、友人であり会社の同僚でもあった佐藤あおいがアメリカで事故死したと知らせが届く。大学時代、智也の失恋騒ぎをきっかけに親しくなったあおいは、映画研究会に智也を引きずり込み、監督作「THE END OF THE WORLD」に主演させたのだった。卒業後、定職に就けないでいた智也に今の仕事を世話したあおいはひとり渡米する。

届かぬ想い、すれ違う心、失って初めて気づく大切な存在。ここには普遍的な恋愛のかたちがある。失恋したから、もう日本にはいたくない。でも、そばにいてと言われたら、きっと行かない――そんな女心に、鈍いのかずるいのか応えられない主人公・智也を演じる市原隼人がいい味だ。若い世代の心の揺れを描くのが抜群に上手い岩井俊二が、自身でメガホンをとらない初のプロデュース作品だが、日常の会話に潜む可笑しさとせつない恋心に満ちていて極めて岩井俊二らしい。また、岩井同様、学生時代に自主映画制作にのめり込んだ監督・熊澤尚人の8ミリ映画への愛が上野樹里演じるあおいの熱意に重なる。原案は脚本も手がけた人気作家の桜井亜美。

フラガール

昭和40年。エネルギーの需要は石炭から石油へとシフト、世界中の炭鉱が次々と閉山していた。そんな中、福島県いわき市の炭鉱会社は、地元の温泉を活かしたレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」の計画を進めていた。目玉となるのは、フラダンスのショー。早速、本場ハワイでフラダンスを学び、松竹歌劇団で踊っていたという平山まどかを東京から招き、地元の娘たちのダンス特訓を始める。しかし数世代も前から山で生きてきた住民は、閉山して“ハワイ”を作る計画に大反対。まどかや娘たちへの風当たりも強く…。

常磐ハワイアンセンター(現:スパリゾートハワイアンズ)の誕生秘話を、40年の時を超え完全映画化。すすけて色彩のない炭鉱町に、カラフルな60年代ファッションで降り立った勝ち気なダンス講師を松雪泰子が、母に猛反対されながらもフラに魅了されていく少女を蒼井優が、2人を優しく見守る炭坑夫の兄を豊川悦司が熱演。古い体制の中で愚直に働き続ける人、勇気を振り絞って新たな可能性に賭ける人……。時代の荒波にさらされた炭鉱の厳しい日常と、女が自立できる道を初めて知った少女たちの成長が描かれていく。見どころは何といっても、キャストが猛特訓したフラのシーン。少女たちがフラを見直すきっかけとなる、前半の松雪泰子の踊りも情念がこもっていて見事!