太田 忠司 ルンテンローズ
誰もが心の中に、人に言えない闇を抱えている。なぜ人は、自分を偽り、暗い想いを育ててしまうのだろうか――。うわべだけの友人関係を作り孤独を愛する中学生・香織里。彼女の運命は、見慣れぬ花屋<レンテンローズ>に足を踏み入れた時から変わり始める。運命に翻弄され、心の迷路に入り込む香織里。だが真実を掴みかけたとき、目の前に闇の存在アカンサスが現れ、彼女の内に巣くう影を浮かび上がらせる。アカンサスの目的とは? そして、香織里の心の行方は?
太田 忠司 紅の悲劇
白い乳房の、その頂から麓にかけ、赤い水脈が流れていた―― 日舞紅真会の発表会楽屋で、師範の田嶋紅真が絞殺された。襦袢と唇と、首を絞めた紐。死体を赤く彩られた紅真の周辺では、男女の愛憎が激しく錯綜していた。さらに、真相を追う作家探偵霞田志郎を嘲笑うかのように、活躍中の弟子紅里が酷似した状況で殺される。誰が、なぜ死体の女たちを「紅」で飾るのか? そして伝説の名探偵で警察OBの"男爵"こと桐原が捜査に介入する目的は何か?
太田 忠司 まぼろし曲馬団
「この街を、海にする。汚れきった街に本当の美しさを教えてやる。人間は所詮クズでしかないのだ・・・」。新宿の夜空に、人喰い鮫が襲来し、銀色の顔をした男が跋扈する。彼らの真の狙いとは何なのか? 迎え撃つ壮助、謙太郎、響子ら新宿少年探偵団の面々の心にも、事件の推移とともにさざ波が立ち始める。