俺は、君のためにこそ死ににいく
昭和19年秋。太平洋戦争で不利な戦況の日本軍は、最後の手段として戦闘機に爆弾を搭載し、敵艦に体当たりする特別攻撃隊を編成。鹿児島県の知覧飛行場はその特攻基地となった。軍指定の食堂を構え、飛行兵たちから慕われていた鳥濱トメは、特攻に志願した彼らを引き止める事も出来ず、戦地へと赴く若者との別れを幾度も経験する。やがて終戦を迎えた日本で、特攻隊員の生き残りと遺族は思いがけない過酷な試練を経験する事になる。
長年「特攻の母」と呼ばれた鳥濱トメと親交を深めてきた作家・石原慎太郎が製作総指揮と脚本を手がけた本作は、国を守る為、懸命に生きた若き隊員たちの苦悩と、彼らの青春の輝きにあふれている。特攻隊員役の徳重聡、窪塚洋介、筒井道隆は、本作の撮影のために自衛隊で訓練を積んでこの役に挑んだという。しかし、特筆すべきは鳥濱トメを演じた岸惠子。トメの、出撃する特攻隊員たちに注がれる本当の母親以上と言えるの愛情は、見る者を大きく、優しく包み込む。そして、その大きな愛に包まれた特攻隊員たちの命が尽きる瞬間、切なさと共に平和の尊さを改めて感じるだろう。
ゲゲゲの鬼太郎
ゲゲゲの森で、鬼太郎は父親の目玉おやじ、猫娘、子なき爺、砂かけ婆ら仲間たちに囲まれ、のんびりと暮らしていた。そんなある日、人間の少年から助けを求める手紙を受け取った鬼太郎は、人間界へと赴く。一方、妖怪界でも大事件が起こる。ねずみ男が偶然迷い込んだ地下世界で見つけた、光り輝く不思議な石。宝石とカン違いし、人間に売り飛ばしてしまったそれは、悪しき妖怪の幾千年もの怨念が宿った<妖怪石>だった…。
水木しげるの国民的妖怪マンガを、豪華キャストと最新VFXで実写映画化。鬼太郎役のウエンツ瑛士を始め、そうそうたる俳優がおなじみのキャラクターに扮する。原作のイメージに忠実なキャスティングの妙は、なかなかの見ごたえ。ちなみに目玉おやじの声は、全アニメシリーズで同役に扮した田の中勇。3DCGとなった目玉おやじは、なんと瞳孔まで動き、より表現力豊かなキャラクターになっている。鬼太郎の妖怪大裁判、未知なる夜見の国へ向かう妖怪機関車などのエピソードは原作から抽出したものだが、ストーリーはまったくのオリジナル。鬼太郎の淡い恋も見どころ。またVFXでは、『少林サッカー』を手掛けた香港のCGプロダクション「セントロ・デジタル・ピクチャーズ」も参加している。
スパイダーマン3
今やピーター・パーカーの人生は順風満帆そのものだ。スパイダーマンとしてはNY市民にヒーローとして愛され、大学では成績トップ、ブロードウェイ・デビューを果たした恋人MJとの関係も良好で、ついにプロポーズを決意する。ところが、謎の黒い液状生命体に取り憑かれ、復讐と憎しみの感情に支配されたブラック・スパイダーマンになってしまう。そんな彼の前にこれまでになく手強い敵サンドマンとヴェノムが表れる…。
誰にだって他人の助けが必要になるときがある。たとえスーパーヒーローであっても。そのことに浮かれた心は気づかない。ゆえに恋人も友情も、本来持っていた優しい心も失いかけるピーター。シリーズを通して親友ハリー、恋人MJも含めた3人の成長物語を描いてきたサム・ライミ監督は、今回、彼らにそれぞれの心の闇の部分を見つめさせる。憎悪、失意、焦燥、悔恨の情を経て課せられる最大のテーマは「許す」こと。そして新たな運命の岐路に立つ彼らの選択と決意を描く。1作ごとにスケールアップを図ってきた大ヒットシリーズ第3弾は、もちろん凝りに凝ったCGIで見せるサンドマンやヴェノムの闘いぶりも圧巻で文句なく楽しめる。