月刊誌「正論」で佐藤さんと公安調査庁の横尾次長が対談していることは、このブログでも「お笑い公安調査庁」というタイトルで取り上げた。その際は、「正論」の中身はなく、自分の体験の範囲で批判したものだった。

 

 その記事をアップした日に、佐藤さんが産経新聞に登場し、「説得力を欠く志位氏の反論」というタイトルで長めの寄稿をしている。「正論」に対して志位さんが記者会見で述べたことを批判するものだ。佐藤さんは、「共産党はこの種の批判に関しては無視を決め込むのが通常だ。しかし今回は、同党トップの志位和夫委員長が反論した」として、「赤旗」の内容全体を紹介している。

 

 「お笑い公安調査庁」でも書いたことだが、佐藤さんや鈴木宗男さんが共産党を嫌うのは理解しているつもりだ。北方領土問題での両氏の動きに対して各界から批判が寄せられ、両氏は次第に沈没していくのだが、共産党はその批判の片棒を担いだ。

 

 私に言わせると、両氏の主張は、北方領土のうち歯舞、色丹とその他を区別して対応する共産党の主張を十分に取り入れ、学んだものに見えたのだが、志位さんは「二島返還で終わらせようとしている」と批判したので、二島とその他の区別がつかない保守勢力、右翼勢力に対する怒りよりも、共産党への怒りが沈殿して残ったのだと、勝手に思い込んでいる。

 

 私は、自分のブログで、「共産党の公式の反論は「赤旗」などを見れば分かる」と書いた。しかし、その「赤旗」は中身にかかわる批判をしていない。その理由について、佐藤さんは、「正論」で展開した共産党批判が効いていると思っているようだ。産経新聞にはこう書いている。

 

 「横尾氏や筆者の名前にも言及せず、「使い古されたデマ」だというレッテル貼りをしている。共産党内の動揺を抑えようとしているのだろう。この種の分権的根拠に裏付けられた事実による批判が共産党に対して効果があり、同党を窮地に追い込むことができることを実証した」

 

 だから寄稿のタイトルに「説得力欠く志位氏の反論」と付けているのだが、率直に言って説得力を欠いているのは佐藤さんのほうであると感じる。私は佐藤さんに反論する立場にないし、その義理もないのだが、尊敬する佐藤さんがこんな問題に突っ込んで行くのを見るには忍びない。

 

 佐藤さんが共産党を批判しているのは、共産党が野党政権に入るのを阻止することにあり、それだったらもう目的を達成している(本日の「赤旗」には「野党共闘」とか「野党政権」とか「政権交代」の見出しはすべてなくなっているし)。もうこんなことは書かないでねという思いで、最小限のことを書いておく。(続)