すでに話題になっていることだが、共産党を破壊活動防止法の対象だとする論調が、一部で盛り上がっている。月刊「正論」7月号の「日本共産党に騙されるな」という特集で、で公安調査庁の横尾次長が佐藤優さんと対談しているし、鈴木宗男氏が政府に出した質問主意書の答弁書で(6月11日付)、「日本国内において破防法に規定する暴力主義的破壊活動を行った疑いがあり、いわゆる『敵の出方論』に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識している」とされたという。

 

 佐藤さんや鈴木さんが共産党に敵愾心を抱くことになった経緯は理解しているつもりだが、これはちょっとやり過ぎだろう。やり過ぎというより、これではお二人が公安調査庁なみの「お笑い」の対象になってしまいかねない。

 

 共産党の公式の反論は「赤旗」などを見れば分かることだが、共産党に対する批判の論点と共産党の実態があまりに乖離していると、説得力を持たなくなってしまう。それどころか、批判している人の能力だけでなく、その品性さえ疑われることになる。

 

 暴力革命を行おうとすれば、その方針を党員に教育しなければならない。方針を教育するだけでなく、暴力革命の実践も教えなければならない。いざという時に暴力をふるえないと、暴力革命はできないのだから。

 

 しかし、暴力の実習を受けた党員って、いったいどこにいるのだろうか。どこかで書いたことがあるが、私が共産党の本部に勤め始めた事、まだ若手だということで、「防衛」の訓練があった。その訓練って、相手が殴りかかってきたとき、どうそれを避けるかという程度のことで、こんなことで本当に「防衛」できるのだろうかと心配になってしまった。

 

 それで、「相手が拳銃を撃ってきたらどう避けるんですか」と、その訓練をしてくれる人に聞いてみた。そうしたら、「拳銃って、そんなに当たるものではないので、心配しないでいいです」ということで、さらに心配が増してしまった。

 

 まあ、東大闘争の頃の世代の党員は、現場で革マルや中核と戦っていたから、角材で殴り合う程度の心得はあると思う。だけど、そういう世代は、すでに全員が70歳代である。角材を振り回すどころか、足腰は大丈夫ですか、まっすぐ歩けますかと心配される世代である。

 

 そういう現実の共産党を前にして、「暴力革命の方針に変更はない」といきがったところで、国民もぽかんとするだけだろう。実際に目の前にいる共産党員にそんな「能力」があると実感できないのだから。

 

 野党共闘が意味のあるものになったら困るということで、少し脅えているからでもあるのだろうけれど、それは逆効果ですよ。はい。