死亡した年金受給者が受け取れなかった最後の年金は誰のお金?(未支給年金)。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

おはようございます!

年金アドバイザーのhirokiです。
 
ちょっと未支給年金の軽めの記事です^^
 
老齢の年金は一旦受給が始まると、受給権が発生した月の翌月から死亡した月分まで支払われます。
受給権が発生した月というのはほとんどは、支給開始年齢に到達した月となります。
 
 
老齢の年金請求が遅れても基本的には支給開始年齢まで遡って支給される(時効の5年を超えると貰えない年金が出てくる)。
 
 
遺族年金や障害年金も他に支払われる事が無くなる条件が無い限りは、死亡した月分まで支払われます。
 
 
ところで、年金は前2ヶ月分を偶数月の15日に支払っています。
 
 
たとえば、12月15日支払いの場合は前2ヶ月分である10月分と11月分が支払われるという事です。
 
 
でも年金は死亡月分まで支払われると言いましたが、じゃあ12月中に死亡したら12月分の1ヶ月分の年金はどうなるの??って話ですよね。
 
 
12月分の年金は2月15日に1月分と一緒に2ヶ月分支払うんなら、2月まで死亡者の銀行口座に振り込まれるまで待つのか。
 
 
もちろんそうはならないです^^;
 
 
そもそも亡くなられたら、その死亡者の銀行口座は凍結されてしまいますので振り込みはできなくなる。
 
 
 
じゃあどうするか。
 
 
12月分の年金は貰い損をするのか。
 
 
 
死亡者にとっては申し訳ないですが…貰い損になります。
 
 
でも死亡者が貰えなかったその1ヵ月分の年金を一定の遺族が請求する事はできます。
本来は本人の年金を他の人の口座に振り込む事はできないが、この請求により請求者の口座に振り込んでもらえる。
 
 
 
この死亡者が貰えなかった最後の年金を未支給年金といいます。
 
死亡した日以降の年金はすべて未支給年金扱いとなり、遺族が請求しなければもらえない年金となります。
 
 
この未支給年金を請求できる遺族の範囲は年金法で決まっていて、死亡当時生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、3親等以内の親族の順で一番順位が高い人が請求する事ができます。
 
 
生計を同じくしていたというのは、簡単に言えば住民票が一緒だったとかそういう意味。
別居でも定期的な訪問や連絡があったとか、そういう関りがあった場合なども含みます。
 
 
 
たとえば、死亡者と一緒に住んでたのが50歳の子と80歳の祖父母であるならば、遺族の順位としては子が上なので子の名で請求し、子が指定した銀行口座に未支給年金を振り込む。
 
 
なお、「子」というのはよく18歳年度末未満の子である事という条件がありますが、未支給年金請求では年齢は関係ないので注意。
未支給年金請求時は同時に遺族年金を請求する事になりますが、遺族年金の場合の「子」は18歳年度末未満でないといけないです(障害等級2級以上の場合は20歳までが子)。
 
 
簡単な例として、年金月額が20万円支給されてるとします。
 
 
先ほどの12月死亡の人だったら、12月15日に10月分と11月分の2ヶ月分40万円振り込まれ、12月分の20万円が宙ぶらりんになってしまいます。
 
 
この12月分の年金20万円を請求者の口座を指定して、請求者の口座に振り込んでもらいます。
 
 
未支給年金の振り込みはおおむね3~4ヶ月くらい。
 
 
 
あと、少し発展になりますが、12月15日振り込み前に亡くなられたら年金振込日「前」に亡くなってるので、10月分11月分の40万円も死亡者は受け取る事ができません。
 
 
たとえば、12月10日に亡くなったとすると、10月11月分も受け取らないまま亡くなっているので、この場合は10月分11月分12月分の3ヶ月分の60万円が未支給年金となります。
 
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※注意
未支給年金は一時所得となり、50万円を超える場合は確定申告が必要になってくるので税務署に確認しましょう。
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ただ、振り込み直前に亡くなったりすると、口座の凍結が間に合わずに年金の振り込みがそのまま死亡者の口座に振り込まれたりします。
 
 
 
死亡後の年金はすべて未支給年金であり、遺族が請求しなければ貰ってはいけない年金です。
 
 
だけどもう死亡者の口座に正常に振り込まれてるなら、その分に関しては請求要らないんじゃ?って思われますよね。
 
 
でももちろん正常に振り込まれていても、請求しないと請求者のお金にはなりません。
 
 
時効の5年以内の請求をしないなら年金機構に返金しなければならず、国庫に返る。
 
 
 
なので年金受給者が死亡した場合は市役所に死亡手続きでもいいですが、年金事務所や年金ダイヤルにすぐに電話連絡し、年金振り込みを一旦止める処理をする(死亡保留という)。
 
 
年金を止める事がなぜ必要かというと、死亡後もそのまま払い続けると年金の払い過ぎになってしまい、未支給年金が支給されるどころか逆に払われすぎた年金を返してくださいとなるから。
 
 
だから、年金受給者が死亡した場合は支給されていた年金をまず止めなければならない。
 
 
ただ、年金には振り込みが確定する締め日があって、たとえば12月振り込みが確定するのは11月20日締め日ごろとなります。
 
締め日に翌月の年金振り込みが確定してしまいます。
 
 
締め日以降に死亡連絡を受けても、12月15日の年金振込が止められないので、口座を解約したり、凍結されるなどしなければ年金が振り込まれてしまいます。
 
 
もし12月15日にそのまま10月分と11月分が振り込まれた場合、それを請求者のものとして受給するには未支給年金の請求が必要なので5年以内に請求をしましょう。
 
 
12月15日前の死亡の場合で未支給年金が10月、11月、12月分の3ヶ月分のうち、10月分と11月分はもう振り込まれているので実際に請求者の口座に振り込まれるのは12月分の1ヶ月分のみとなります。
 
10月分と11月分はもうすでに死亡者の口座に振り込まれているので、そこから引き出して(そう簡単に引き出せないですが…)受給する事になります。
 
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5月15日の第346号.加給年金は配偶者が65歳になったら消滅してしまうはずなのに、なぜこの夫婦にはずーっと付きっぱなしなのか(重要!)

5月22日の第347号.「遺族厚生年金の条件を何一つ満たしていないのに、発生させる手段」

5月29日の第348号.よく障害年金は65歳以降は請求不可と言われるが、出来る場合と出来ない場合。

6月5日の第349号.金額の多い方の年金を取るより金額の低い年金を選択した方がいい場合。

6月12日の第350号.雇用保険からの失業手当を受給する時と障害のある人の場合の手当優遇や老齢の年金。

6月19日の第351号.なぜ現在の年金受給者の年金額を抑制したり、厚生年金加入を拡大したり年金加入期間を延長させようとするのか。

6月26日の第352号.国民年金保険料を40年から45年納めるというのは何を目指しているのか。厚生年金との比較。


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(発行済み)↓
5月1日の第344号.数ヶ月ほど行方不明の後に遺体発見したものの、死亡日がいつなのか不明の場合の遺族年金の取り扱い。

5月8日の第345号.国年保険料と厚年保険料の仕組みと、障害年金請求が月末か1日かで1ヶ月分変わる場合。


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※4月に発行した記事

(発行済み)4月3日の第340号.「目立たないけど歴史の変化の中で生まれた経過的加算と障害特例の事例」

(発行済み)4月10日の第341号.「小さい子供がいる時に死亡したら配偶者と子の生活が心配!だけど国民年金が威力を発揮する」

(発行済み)4月17日の「第342号.低年金者向けに支給される場合がある給付金と、保険料を多く支払った人より年金額が多くならないようにする仕組み」

(発行済み)4月24日の「第343号.国民年金保険料の前納の性質と、年金記録を数える時の誤算」


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(発行済み)4月7日「Vol41.保険を超えた制度を可能にした国民年金保険料免除が作られた理由と、その役割と仕組み」

(発行済み)4月14日「Vol42. このような人は配偶者加給年金付く条件満たしていても付かないが、やっぱりあったこんな有難~いメリット!」

(発行済み)4月21日「Vol43.厚年期間と共済期間のある人が亡くなった!年金受給者の妻にはどのように遺族厚生年金を支給する? 」を発行しました。

(発行済み)4月28日Vol44.過去の漏れていた年金記録が見つかるとなぜ数百万ほどのまとまったお金が振り込まれたりするのか。

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