55歳定年の時代と、60代や70歳代でも働く人が急増した現在の年金制度の支え手。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
 
最近の国民的アニメであるサザエさんの中の登場人物であるタラちゃんの声優さんがお亡くなりになられてから、新しい声優さんになったそうですが聞いてみて全く違和感が無かったです^^
 
さすがプロの仕事というのはこういうものなんだなと思いました。
 
で、国民的アニメであるサザエさんを久しぶりに見て、波平さんも随分前に新しい声優さんになってますが、あの波平さんって何歳だったかと思って昔調べてみたらまだ54歳だったんですよ^^;
知った時は衝撃でしたが(笑)
 
普通に気にせず見てたら、あの家庭って波平さんやフネさんはもう60代で、サザエさんとマスオさんとその子供たちであるあの3人の子…と間違ってしまいそうですが、実態は全く違いますよね。
 
さらに波平さんはまだ54歳だから、あと10年くらいは働くんだろうという目で見てしまいそうですよね。
 
 
でもサザエさんの時代設定は昭和20年代~昭和40年代みたいなので、令和時点の価値観とはまるで違います。
 
 
昭和当時の設定であれば、波平さんはもう定年まで1年ですね。
 
 
は?波平さんはまだ54歳なのに定年が1年後?!って思われた人も居るかもですね^^
 
 
昭和時代は55歳定年だったんですよ。
 
定年が完全に60歳になったのは平成10年からですね。
 
昭和60年改正時に定年は60歳まで努力しましょうと企業に呼び掛ける程度でしたが、平成6年改正で60歳未満の定年を禁止して60歳定年を義務化させました(施行は平成10年)。
 
というわけで60歳定年というのは遠い昔からそうだったのではなく、平成過ぎてからでありました。
 
 
じゃあ、波平さんは1年後の55歳になれば定年退職して、年金生活者になるという流れになるといった所でしょうか。
 
昔は定年後に再雇用とか継続雇用なんていうのは普及してなかったから、非常に少数派でありました。
 
例えば昭和40年代の65歳労働人口は全体の労働者の4%ちょいという統計(労働力調査のやつ)を見ましたが、今現代だと65歳以上人口は全体の14%くらいとかなり上昇しています。
 
まあ、60歳以上どころか65歳以上や70歳以上でも何かしら働いてる人ってもう珍しい事ではなくなりましたもんね。
 
 
でも波平さんは後1年働いたら55歳定年(笑)
 
 
 
という事は波平さんは55歳になると年金支給が始まるのかというと、もし年金55歳支給であればあの時代は昭和32年より前の話となります。
 
なぜそう言えるのかというと、男子の厚生年金支給開始年齢は昭和29年5月の厚生年金大改正の時に、男子の支給開始年齢を55歳から60歳に引き上げるという事を決定したからです。
 
 
なお、女子はそもそも厚生年金加入者というのが非常に少数派だったので55歳支給に据え置きました(昭和60年改正からは55歳から60歳までの引き上げが決まり、平成12年度以降は60歳支給に引き上げ完了)。
 
 
でも、昭和29年5月の改正で支給開始年齢を55歳から60歳に引き上げますと決定したとはいえ、いきなり引き上げません。
こういうのは年金制度特有のものですね。
 
55歳から60歳まで引き上げたのは昭和32年から4年ごとに1歳ずつ引き上げて昭和48年に60歳に引き上げ完了しました。
 
だから昭和32年からは56歳、昭和36年には57歳、昭和40年には58歳、昭和44年には59歳、昭和48年以降は60歳という流れで引き上げ完了したんですね。
 
よって、波平さんが55歳から貰えるのであれば、あのアニメの時代設定は昭和32年より前なのかな~と思います。
 
さて、話は本題に入りたいのですがサザエさんの波平さんの年金の話がしたかったわけではなく、今日話したかったのは誰が年金受給者を支えているのか?という面で話をしたいと思いました。
 
 
いつからかよく流行ってたんですが、一人のお年寄りを何人の現役世代で支えてるかっていう話がよくありました。
メディアなんかもよく取り上げてましたよね。
 
例えば「昭和時代は現役世代が15人前後で1人のお年寄りを支えていたけども(お神輿型)、少子高齢化でそれが5人に1人を支え、3人に1人が支え(騎馬戦型)、今となっては1人で1人を支える肩車型となっている」と。
 
だからもう年金は崩壊するという論理でしたかね。
 
実におかしな批判でしたけどね。
 
 
現役世代というのは定義としては15歳から64歳までの人口を指し、65歳以上を老年人口としています。
 
 
少子化でその15歳から64歳までの人が少なくなるし、高齢化の進行で受給者は多くなるからもう年金受給者を支えられなくなると。
 
 
まず、現役世代の中で15歳から22歳くらいまでの人は学生という人が多いのでこの辺の年齢の人は概ね外した22歳から64歳くらいまでの人で65歳以上の人を支えると考えればいいでしょうか。
 
 
とはいえ、22歳から64歳までの人であっても必ずしも働いてる人ばかりとは限りません。
専業主婦の人も居れば、失業中、病気や怪我、所得が低くなった、災害など様々な理由で保険料支払えない人なども存在します。
 
 
でもそういう事は捨象して15歳から64歳の人口の年齢の属する人口が、65歳以上の人を支えるという考えで見るわけですよね。
 
昭和時代は年金受給者がまだ少ない時だったので、確かに現役世代15人とかそのくらいで1人の年金受給者を支えるというふうになっていました。
 
そんな単純な見方でやると、少子高齢化で現在は1人の現役世代で1人の年金受給者を支える状況だからもう年金制度はもたないよ!となるのでしょうか。
 
 
 
これはですね、だいぶ前も記事には書きましたが年金制度は誰が支えているのかという点において、年齢で区切って見てはいけません。
あくまでも働いてる人口に対して、年金受給者がどのくらいなのかという視点で見ないと大きな過ちを犯します。
 
サザエさんの波平さん時代は、もう55歳で引退しました。
 
 
つまり、現役世代は15歳から64歳までなんでしょうけど、働く人は55歳で隠居していきました。
 
 
そうすると働く人口に対して、支える年金受給者人口というのは15人で1人を支えるのではなく、昭和当時から1人の働き手が1人の年金受給者を支えるという、まさに今の令和の時代と同じ状況だったわけです(総務省労働力調査による)。
 
 
では今の令和の時代はどうかというと、60歳以上になっても働き手が昭和時代よりもはるかに増加し、更に専業主婦世帯よりも共働き世帯のほうが多くて働く女性が当時とは比べ物にならないくらい増加しました。
 
 
そのため、働き手に対して支える年金受給者は、昔とそんなに変わらず働き手1人に対して年金受給者1人を支えるというのは昔から大して変わっていません。
前述したような、メディアや経済学者あたりが取り上げていたような、現役世代何人が高齢者を支えているというのは全く適切ではなかったわけです。
 
そこを単純に年齢で区切る事自体が無意味。
 
 
年金制度の歴史は80年ほどありますが、昭和末期辺りからもう年金は崩壊する!とかいう話はあったみたいですが、今も普通に偶数月に前2ヶ月分が正常に支払われてピンピンしています。
 
 
まあ、第二次世界大戦で敗戦して日本が焦土になっても年金制度は崩壊の危機はありましたが、崩壊しなかったので年金制度というのはみんなが思っているより軟な制度ではないです。
 
 
やはりその、何年もかけて作り上げて練り上げてこられた建造物というのは簡単には崩壊しないものです。
 
あのドイツなんかは年金制度は確か1889年にできましたが、第一次世界大戦、第二次世界大戦敗戦後の東西分割などを経ても年金は消滅しなかったですからね。
 
 
という軽めの話でした。
 

 

 
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