女子の老齢年金受給額はどうして極端に低いケースが多いのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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こんにちは!

年金アドバイザーのhirokiです。
 

僕は昔からよく腰痛や肩こりに悩んでいたんですが、朝の柔軟体操を入念にやるようなってからは随分苦しまなくなりました。
柔軟体操をやるかやらないかで、その日の体の調子が段違いなので面倒でも出来るだけ朝やっています。

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以前通ってた整体の先生から言われた事なんですが、ラジオ体操の動きってとても良くて400箇所(だったと思います)もの筋肉に作用するようです。

もちろんラジオ体操の運動も毎朝ルーティンとして取り入れてます^^


 
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年金額には男女で結構大きな差があったりします。

 

障害年金や遺族年金は最低保障みたいな措置があるので、そんなに差はないですが老齢の年金は男女で金額に差が大きい事がよくあります。

 

女子の年金のほうが圧倒的に低い場合が多いです。

逆に遺族年金は女子の方が有利になっています。

 


さて、現代は雇用面などで男女差を付ける事はやってはいけないですが、未だに賃金差が大きいのが現状です。

また、女子の管理職というのも少数派なので、賃金が上がりにくいというのもあります。

 


バブル崩壊以降賃金はほぼ上がらなくなり、上がるとすれば出世して上の役職に就くのが手っ取り早いですが、女子の管理職割合が未だ低いです。

管理職の15~20%程度しかないですね。

 

よって、雇用や賃金において男女差は実質的には解消されていません。

 

 

厚生年金は過去の賃金水準がどの程度だったのかという点が将来の年金額に影響するので、賃金水準が低かった人は低くなるし、高かった人は高くなります。

 

 

現在年金を受給されてる女性は、昭和時代のように男女差が特に大きかった時代の記録が多いので、どうしても年金が低くなりがちです。

 

 

それと、サラリーマンや公務員の専業主婦だった人は今現代のように国民年金に強制的に加入させていなかったという歴史があるので、更に年金が低かったりします。

 

 

今は20歳から60歳までの40年間は誰でも必ず国民年金に加入させられますけどね。

厚生年金だと長い人で中学卒業してから最大で70歳まで加入します。

 

 

 

じゃあどうして、加入させなかったのかというと以前も何度か申し上げてきた事ですが、サラリーマンの夫の厚生年金で守られていたからです。

 

 

厚生年金って世帯単位の年金だから、夫が保険料払って、夫が年金受給する際は夫婦の生活費の面倒を見るというのが一般的なパターンでした。

 

だから、厚生年金を受給する時に、扶養手当のようなものとして配偶者加給年金が加算されたりしますよね。

 

妻がいるのであれば、その分の給付もしますよと。

そもそも配偶者加給年金は、元々は妻が何歳になろうが夫に加算され続けるようなものでした。

 

 

なので、妻が無年金でも、夫に夫婦の生活費をひっくるめた厚生年金を支給するから困らなかったんです。

 

 

で、夫が亡くなったらその厚生年金の一部を遺族年金として妻に支給して、妻の老後はその遺族年金で過ごしてねと。

 

 

それが厚生年金の流れでした。

 

 

 

でも、年金すべてを夫頼みにすると、妻は生活費を自由に使えないし、もし離婚でもしようものなら妻は何にも年金の保障が無いという事態になってしまう。

 

夫から生活費や慰謝料を貰うという手もありますが、これって実際貰えてる人って20%くらいと言われています。

確実なものではないので不安で仕方ありませんよね。

 

女性の雇用が促進され、自立していく女性が増える中で段々と離婚するという選択をするケースも増え、昭和61年4月からは年金に加入させていなかった専業主婦も強制的に加入させる事になりました。

 

 

これらの女性が自分の名義で年金を貰えるようにするのが目的だったからです。

そうすれば国が確実に終身で年金を支給してくれる。

 

 

それまでは夫の年金頼みだったけども、自分の名義で自分の口座に振り込まれる事で、妻自身の年金として使えるようになったという事ですね。

 

 

 

なお、サラリーマンの専業主婦が個別に国民年金保険料を支払うというのは不要でした。

 

 

 

今までは夫が厚生年金保険料全額を支払って、100%の厚生年金を夫が受給していました。

 

 

それを昭和61年4月の年金改正では夫が支払う厚生年金保険料で、例えば夫に60%、妻に40%支給するような形になったからです。

 

 

従来は夫が100%貰っていた厚生年金を、例えば夫が(老齢基礎年金40%+老齢厚生年金20%)で、妻は老齢基礎年金40%というように分けたというようなイメージです。

 

 

夫の給付水準は60%に下がっちゃったけど、その浮いた分を妻が受給する。

 

 

だから、よく批判される国民年金第3号被保険者って別に不公平が生じているわけではありません。

この辺は従来の年金制度からの経緯を見る必要があるのですね。

 

さて、話を戻しますが、従来は専業主婦のような人たちは年金には加入させていませんでした。

 

 

 

昭和61年4月から強制的に加入させてるとはいえ、それにより年金額が非常に少なくなっているのですが、その例としての事例を考えてみましょう。

 




〇昭和27年9月17日生まれの夫Aさん(令和4年時点で70歳)。

 

・1度マスターしてしまうと超便利!(令和4年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法。

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12719286156.html

 

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12649134483.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2

 

 

15歳年度末の翌月である昭和43年4月から60歳前月の平成24年8月までの533ヶ月間厚生年金に加入しました。

なお、昭和43年4月から平成15年3月までの420ヶ月間の平均給与は38万円とし、平成15年4月から平成24年8月までの113ヶ月間の平均給与は45万円とします。

 

20歳になる昭和47年9月以降から国民年金にも同時加入したものとみなして老齢基礎年金にも反映する。60歳前月の平成24年8月までの480ヶ月)

 

 

平成15年度前後で平均給与を分けてるのは、平成15年4月以降は賞与も厚生年金額に反映するようになったからです。

 

平成24年9月から平成25年8月までの12ヶ月間は継続雇用として、平均給与15万円で働いたとします。

(平成25年8月31日まで働いた) 

 


さて、Aさんの生年月日から厚生年金は60歳からの支給となります。

60歳から64歳までの年金額は割愛し、65歳(平成29年9月)からの年金総額を計算してみます。

 

 

・老齢基礎年金→777,800円÷480ヶ月×480ヶ月(20歳から60歳前月まで)=777,800円

 

・老齢厚生年金(報酬比例部分)→38万円×7.125÷1000×420ヶ月+45万円×5.481÷1000×113ヶ月+15万円×5.481÷1000×12ヶ月=1,137,150円+278,709円+9,866円=1,425,725円

(経過的加算は微額なので今回は省略します)

 

また、Aさんが65歳時点では昭和30年5月16日生まれの妻Bさんが居ました(Aさんが65歳当時はBさん62歳)。

 

・配偶者加給年金→388,900円

 

 

よって、平成29年9月の翌月からのAさんの年金総額は、老齢基礎年金777,800円+老齢厚生年金1,425,725円+配偶者加給年金388,900円=2,592,425円(月額216,035円)

 

配偶者加給年金は妻Bさんが65歳(令和2年5月)になると、Bさん自身に基礎年金が支払われ始めるので翌月の令和2年6月分からAさんの配偶者加給年金は消滅する。

 

 

配偶者加給年金は妻が65歳になって老齢基礎年金を貰うまでの繋ぎ。

 

令和2年6月分からのAさんの年金総額は基礎年金777,800円+老齢厚生年金1,425,725円=2,203,525円(月額183,627円)となる。

 

 

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次に妻Bさんの年金記録。

 

〇昭和30年5月16日生まれの妻Bさん(今は67歳)

 

20歳になる昭和50年5月から昭和53年8月までの40ヶ月間は国民年金保険料を支払う必要があったが、支払うのが困難だったので保険料を全額免除しました(全額免除は老齢基礎年金の3分の1に反映。平成21年4月以降の記録は2分の1に反映)。

 

 

昭和53年9月にAさんと婚姻し、家庭に入る。

 

 

Aさんが厚生年金に入っていたので、妻Bさんは国民年金の強制加入ではなくなりました。

国民年金に加入したいのなら任意で加入する事は出来ましたが、加入せず。

 

 

今じゃ加入するかどうかの選択は出来ずに強制加入になりますけど昭和61年3月までは専業主婦は国民年金に加入するかどうか選ぶ事が出来ました。

 

 

昭和53年9月から昭和61年3月までの91ヶ月間は年金には何も加入せず(カラ期間にはなる)。

 

 

 

昭和61年4月からは専業主婦も強制加入となり、平成17年3月までの228ヶ月間は国民年金第3号被保険者となりました。

 

平成17年4月から平成19年3月までの24ヶ月は契約社員として厚生年金に加入する。

この間の平均給与は20万円とします。

 

 

平成19年4月から平成25年8月(夫の厚年期間)までの77ヶ月間は再度、第3号被保険者となる。

 

 

夫Aさんは退職したので、平成25年9月から妻Bさんが60歳になる前月までの平成27年4月までの20ヶ月は国民年金保険料を未納にしました。

 

 

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さて、妻Bさんの生年月日によると60歳から24ヶ月間の厚生年金が受給できます。

 

 

65歳になると基礎年金を合わせた年金が受給できますので、65歳からの計算しましょう。

 

・老齢厚生年金→20万円×5.481÷1000×24ヶ月=26,309円

 

・老齢基礎年金→777,800円÷480ヶ月×(全額免除40ヶ月÷3+3号228ヶ月+3号77ヶ月+厚年24ヶ月)=777,800円÷480ヶ月×342.333ヶ月(小数点3位未満四捨五入)=554,722円

 

 

なお、夫Aさんの配偶者加給年金から振り替えられた振替加算50,803円(Bさんの生年月日による金額)が老齢基礎年金に加算される(特に何も無ければ終身支給)。

 

 

よって、Bさんの年金総額は老齢基礎年金554,722円+振替加算50,803円+老齢厚生年金26,309円=631,834円(月額52,652円)

 

 

このように、昭和時代にサラリーマンの専業主婦を91ヶ月間強制加入させなかった事で、基礎年金額がその分減る事になりました。

 

 

過去にそのように加入しなくてもいいよという事になっていたので多くの女性が結婚後は加入せずに現在の年金額を低下させる要因にもなっています。

 

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注意1

計算すると事例で意図的に女子の厚生年金加入を少なくしてるだけの形になってるかもしれませんが、昭和40年代頃からは「男は外で働くもの、女は家庭の事をやるもの」という性別役割分担が定着していったため、女子は婚姻後は寿退職してしまう事が多く、それに伴い女子の厚生年金期間は短くなりがちとなりました。

 

専業主婦を国民年金に強制加入させなかった時代であり、更に時代の価値観の影響で女子は厚生年金期間が短くなり、年金額も下がる事になりました。

 

 

注意2

妻Bさんの基礎年金に夫Aさんの配偶者加給年金から振り替えられた振替加算というものが加算されましたよね。

 

みんながそんな加算が付いてるのかというとそうではなく、妻Bさんが昭和41年4月1日以前生まれの人だったからそんな加算が付いたのです。

 

という事は昭和41年4月2日以降生まれの人は振替加算なんてものはありません。

 

昭和41年4月2日以降生まれの人は昭和61年4月1日になるとその4月以降に20歳になり60歳までしっかり強制加入が出来ます。

 

ところがBさんのように強制加入になった昭和61年4月時点ですでに20歳を超えて、60歳まで強制加入させたとしても40年に満たない人が居ます。

そうすると基礎年金が満額貰えない。

 

おまけにサラリーマンの妻だったから、加入しなくてよかったから加入しなかった期間がありますよね。

 

振替加算は今回の事例のように、サラリーマンの妻を国民年金に加入させていなかった事で年金の低下を補うために設けられています。

 

だから、昭和41年度前後で加算される、もしくはされないという線引きがされてるわけです。

 


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