こんにちは。
年金アドバイザーのhirokiです。
・まぐまぐ大賞2021語学資格部門2位と知識ノウハウ部門3位のダブルで頂きました(6年連続受賞)
本当にありがとうございました。
https://www.mag2.com/events/mag2year/2021
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たまに、年金制度は信用できないから早く貰ってしまったほうがいいというような考えを持つ人も居ます。
早く貰ったほうがいいから早く貰うという場合は、年金の繰上げの事を言われる事が多いです。
60歳以上になったので支給開始年齢が来る前に、
昔ほど用いられなくなりましたが、支給開始年齢まで待てない人が年金受給資格期間を満たしていて、かつ、60歳以上になればいつでも年金請求をして受給開始する事が出来ます。
年金受給資格期間を満たすというのは、簡単に言うと年金保険料支払ったり免除したりした期間が合わせて10年以上あるような人ですね。
そのような人が例えば本来は64歳から受給となる人が、早く貰いたいから61歳から請求して受給するとかですね。
そんな早くもらえるなら早く貰いたいわ~と思ってしまいますが、本来より3年早く受給するので、年金が0.4%×36ヶ月=14.4%の減額となります。
一ヶ月早く受給を早めるごとに0.4%減額します。
なお、昭和37年4月1日以前生まれの人(令和4年4月1日前に60歳以上になった人)は従来通り0.5%減額となります。
まあ、毎年100万円受給するはずだったのに14.4%減額された856,000円を一生涯受給するという事ですね。
とにかく早く受給する代わりに、毎回の受給額が減ってしまうので、他の資産が無い場合は生活が苦しくなる危険があります。
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それとは逆に早く貰わないと損をするケースがあります。
例えばここ数年の間にですけど年金を貰うのを遅らせると年金が増額するという、年金の繰下げ制度がよく話題になるようになりました。
最大で75歳まで貰わなかったら、84%もの年金が増額するよという事になりました。
例えば65歳から200万円の年金が貰える人が75歳までの10年間(120ヶ月)遅らせたら、0.7%×120ヶ月=84%増額だから、200万円が368万円になるという事ですね。
1ヶ月遅らせるごとに0.7%の年金が増額します。
ちなみに見た目は84%増額しますが、収入や所得が上がると税金や社会保険料がアップするので、実質的な増額率は70%くらいと見ていたほうが良いでしょう。
とはいえ年金を貰うのを遅らせると良いと思っていたのに、増額しない場合があります。
それは65歳前から年金が受給できる場合ですね。
特に昭和36年4月1日以前生まれの男子、昭和41年4月1日以前生まれの女子は年金受給資格があって厚生年金期間が1年以上あれば64歳以前から厚生年金が貰えるので、この厚生年金の受給を遅らせようとする人が時々います。
65歳前から貰える厚生年金は遅らせても何も増加しないので、さっさと請求して速やかに受給しないと貰えなくなって損するだけです。
遅らせたら増えるよっていうのは、65歳から受給する事になる老齢基礎年金と老齢厚生年金の事なので、65歳前から年金受給できる人は速やかに年金請求して受給してしまいましょう。
早く貰わないと損をしてしまいます。
例えば、ウッカリ62歳から68歳までの6年間受給してない場合は、年金の時効である5年以内の63歳以降の年金は受給する事が出来ますが、62歳から63歳までの1年間の年金は時効で消滅してしまうので受給できなくなります。
なかなかめんどくさいものですね^^;
という事で、今回は年金を早く貰うというケースの繰上げの場合で事例を少し考えてみましょう。
〇昭和37年6月12日生まれのA子さんは今年60歳になります。
20歳になる昭和57年6月から国民年金に強制加入となり、国民年金の保険料納付6年と国民年金第三号被保険者期間5年 、厚生年金には20年の合計31年間の年金記録があります。
国民年金からの老齢基礎年金31年分である60万円は65歳から、厚生年金20年分の年金35万円は63歳から受給できる予定です。
なお、夫は現在は70歳であり年金は老齢厚生年金888,900円(内、配偶者加給年金388,900円含む)と、老齢基礎年金75万円を受給しています。
A子さんは63歳(令和7年6月)から厚生年金が35万円貰える予定ですが、さすがにもうちょっと世帯収入を増やしたかったので、65歳から貰える老齢基礎年金を63歳に繰り上げて受給しようと考えました。
多少、年金額が下がるとは聞いていましたがそれでも構わないので早く貰ってしまおうと思いました。
A子さんが繰上げ受給した場合の世帯収入と、その後について見てみましょう。
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まず、A子さんは63歳になる令和7年6月に繰上げ請求したとします。
この請求時点は老齢厚生年金の35万円は通常通りの受給なので、繰上げによる減額の影響はありません。
老齢基礎年金は65歳から63歳までの24ヶ月早く貰う事になるので、24ヶ月×0.4%=9.6%の減額。
よって、老齢基礎年金60万円×(100ー9.6)%=542,400円となり、A子さんが63歳から受給する年金総額は892,400円(月額74,366円)となりました。
夫は老齢厚生年金888,900円と老齢基礎年金75万円を受給していましたが、A子さんが63歳になって20年以上の厚生年金を受給するようになったので令和7年7月分から全額停止となった。
なので夫は令和7年7月からは年金総額50万円+75万円=125万円
ところが、夫が令和7年9月中に病気により亡くなってしまい、遺族厚生年金375,000円(夫の老齢厚生年金50万円の4分の3)と中高齢寡婦加算583,400円(令和4年度価額)の合計958,400円が令和7年9月の翌月である10月分から貰えるようになりました。
A子さんは63歳から繰上げ年金を892,400円受給していますが、遺族年金958,400円のほうが金額が大きいので遺族年金を受給する事になりました。
65歳までに複数の年金受給する権利があっても、種類が違う年金を同時受給する事は不可。
せっかくA子さんは老齢の年金を減額してまで63歳から受給し始めたのに、遺族年金の発生で結局は遺族年金のほうを受給する事になりました。
繰上げした後にそれより金額が多い遺族年金が発生した事で、無駄に老齢の年金を減額させてしまう事になってしまいました^^;
さて、65歳以降になるとどうなるかというとA子さんの老齢の年金は何も変わらず、繰下げの減額された状態の年金。
繰上げ老齢基礎年金542,400円+老齢厚生年金35万円。
遺族厚生年金は65歳になると中高齢寡婦加算が消滅し、375,000円のみとなります。
ただし、A子さんの老齢厚生年金35万円が遺族厚生年金から引かれるため、遺族厚生年金は25,000円となります。
そうすると、A子さんの年金892,400円+遺族厚生年金25,000円=917,400円
老齢基礎年金を繰上げしていなかったら、あと6万円は年金が多かったですけどね。
配偶者の人が病気などでもしかしたら長くないかもしれない…と考えられる場合は、亡くなられた場合は遺族厚生年金が発生してくるので、早まって自分の年金を繰上げしない方がいいですね。
※注意
65歳からの遺族厚生年金はもう一つの年金計算をします(平成7年4月から始まった)。
夫の遺族厚生年金の3分の2+妻の老齢厚生年金の2分の1を遺族厚生年金とします。
そうすると夫の遺族厚生年金375,000円÷3×2+A子さんの老齢厚生年金35万円÷2=425,000円が遺族厚生年金となる。
この金額からA子さんの老齢厚生年金35万円を引くと、75,000円が遺族厚生年金となる。
よって、A子さんの年金総額は繰上げ老齢基礎年金542,400円+老齢厚生年金35万円+遺族厚生年金75,000円=967,400円がA子さんの65歳からの受給年金額。
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まぐまぐ大賞2020・2021受賞。
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https://www.mag2.com/m/0001680886
7月20日の第251号.昔はいろんな年金を貰えたのに突然に複数受給禁止となったが、例外的に複数貰えてる事例。
7月27日の第252号は「他人のせいで死亡し、遺族年金が発生した場合の年金支払いは最大3年間全額停止が基本だが…」。
8月3日の第253号.第二次世界大戦中に作られた厚生年金の変化と、報酬比例の年金だけではダメだった理由等。
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8月10日の第254号.80代前後あたりの年金受給者の年金記録は今とは違う事が多い事例。
8月17日の第255号.更に複雑化した年金繰下げ制度と3つの事例。
7月1日(号外)戦後以降の物価上昇の経緯と、将来は一体いくらの年金が貰えれば安心なのかという問い。を発行しました。
7月6日の第249号.「昭和41年4月1日以前の人の年金に加算金を付ける理由と、漏れた年金記録を訂正する時の損」を発行しました。
7月13日の第250号.2つ以上の障害で貰う障害厚生年金と、障害年金受給者と離婚する時の年金分割(あと振替加算)。
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