大学生の時の年金保険料未納は特に危険! | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!

年金アドバイザーのhirokiです。
 

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年金保険料は未納にしちゃいかん!せめて免除制度を使いましょう!という事を今までよく言ってきましたが、なぜそんなに未納にしないように気を付けたほうがいいのでしょうか。
 
あまり未納にすると、老齢になった時に年金が貰えなくなる恐れがあるからでしょ?というのも、もちろん間違いではないです。
 
 
年金には20歳になると強制的に加入して、少なくとも60歳前月までの480ヶ月間は保険料納付義務があります。
 
 
少なくとも480ヶ月は加入する中で、最低でも120ヶ月間は保険料納付するか、保険料免除の期間があれば老齢の年金を受給する資格が得られます
 
 
なので、良くない言い方ですが480ヶ月の内360ヶ月は未納にしても大丈夫という事になります。
 
ただ、老齢の年金は保険料納めた期間に比例して増額していくので、納めた期間が少なければその分貰える年金額は少なくなりますし、納めた期間が多かった人はその分多く年金を受給する事が出来ます
 
 
例えば国民年金を120ヶ月しか納めてない人は、月額約16,000円程度の年金になり、480ヶ月間完璧に納めた人は月額約65,000円になります。
 
国民年金(老齢基礎年金)→780,900円(令和3年度満額)÷480ヶ月(加入可能月数)×120ヶ月=195,225円(月額16,268円)
 
 

年金は加入月数に比例しますが、そんなに未納にしても年金が貰えるんだから、未納は危険!免除にしなさい!というのはなんとなく大げさな気はしますよね。
 
 
しかし、老齢の年金が少なくなるからとか、貰うための期間(最低120ヶ月)を満たさないから未納は危険!と言ってるのではありません。
 
老齢の年金はよっぽど未納にしない限りはイヤでも受給できるでしょう。
 
 
しかしながら、年金には老齢だけでなく障害になった時の保険としての役割も持っています。
 
重い病気や怪我を負うというのは、老齢になった時だけでなく若い人にも十分起こりえる事ですよね。
 
 
重い病気や怪我で働くのが困難になると、所得を得られにくくなります。
 
そんな時に保障してくれる強い味方となるのが、障害年金です。
 
 
この障害年金が、未納にしてると1円も貰えない事態となる危険性があるから未納にしないようにしましょう!と言ってるわけです。
 
今のところ健康でバリバリ働けてる人も、いつ何時大けがや病気で長期療養になるかわからないからですね。
 
 
そんな時に所得保障してくれるのが年金なんです。
 
 
年金というとお年寄りが貰うものというイメージですが、若い人も年金を貰うという事は普通にあります。
それが障害年金ですし、他に遺族年金があります(遺族年金は今回は割愛)。
 
 
 
この障害年金が過去の未納のせいで、全く貰えずに悔しい思いをする人が割と多いんです。
 
なぜ、悔しい思いをする人が多いのか。
 
 
障害年金というのは、病気や怪我で初めて病院に行ったという初診日が極めて重要な日となります。
 
病院に行き始めた日が年金貰えるかどうかの分かれ目になるんですね^^;
 
 
この初診日が保険で言うとこの保険事故が起こったという事になります。
 
 
そしてその保険事故が起こるまでに、年金の保険料を納めて備えて来たかどうかを見るわけです。
 
 
民間の保険だって、何か事故が起こるまでに保険料納めてこないといけないですよね。
 
それと同じです。
 
 
そして、その未納が特に若い時の場合が危険なのです。
 
 
20歳になって国民年金に強制加入となりますが、現代は多くの人がまだ大学生ですよね。

 
「俺…まだ大学生なのに年金保険料なんて払えないよ!放っておこう」という考えの人もいるかもしれません。
 
 
実際、若い時の国民年金滞納率は高いので、放ってる状態にしてるという事がうかがえます。
 
これがどう危険なのかをちょっと考えてみましょう。
 
 
ところで、年金は貯蓄か何かと誤解してる方も多いですが、保険なんです。
 
 
この両者の違いを簡単に言うと、貯蓄は自分が決めた目標の時までにお金を貯めてワクワクする事に使おうとする事です。
 
貯蓄は大抵は将来の楽しみのためにやりますよね。
 
 
 
逆に保険はどうか。
 
保険というのは不幸が訪れた時にその力を発揮します。
年金は老齢、死亡、障害の時に力を発揮します。
 
 
この3つを見てみると、不幸な時ですよね。
 
 
しかも、その不幸はいつ起きるかわからないので、あらかじめ備えておく事には限りがあります。
 
 
 
そこでみんなでお金を出し合って、万が一不幸が訪れてしまった人がいたら、そのお金を困ってる人に支給して助けてあげるというのが保険です
 
 
ちなみに、老齢が不幸な事というのは変な感じはしますよね。
 
 
長生きする事は素晴らしい事なんですが、長生きしてお年寄りになっていくと当然働く体力は失われていきます。
 
しかし、人間の体は案外丈夫だし、医療も高度なのでしっかり長生きします。
平均寿命は特に女子は90歳近いですよね(令和3年度は男子81歳、女子は87歳)。
 
 
 
こんなに長生きできるにもかかわらず、もしお金が無かったらそれは不安でしかないですよね。
 
 
そこで、万が一思いのほか長生きしてしまったら、そのような人はみんなで助けていこうよという事で、年金が支払われるわけですね。
いつまで長生きしても、終身で年金を支払うから安心してくださいねと。
 
 
つまり、将来の安心のために保険があるわけです。
 
 
貯蓄するから年金要らん!という人でも、いつ亡くなるのかわからないのに、十分な貯蓄を前もって蓄えておくのは限界があります。
 
 
 
というわけで、話を戻しますが今回は若い頃の年金未納が危険な理由を考えていきます。
 

 
1.平成12年7月13日生まれの女性(今は21歳)
・(令和3年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12647918035.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2
 

令和2年7月に20歳を迎え、国民年金加入のお知らせが届く(後に年金手帳も届く。年金手帳は令和4年度以降は廃止される)。
私はまだ20歳の学生なのに老後に支払われる年金なんか関係ないと思った。
 
どんどん国民年金保険料の納付書が来るけども、時々催告状まで送付されてきたが無視し続けてしまった。
 
 
令和2年7月から令和3年1月までの7ヶ月間は滞納する。
 
 
令和3年2月からは父が代わりに国民年金保険料を払ってくれて、令和3年10月までの9ヶ月間は国民年金保険料納付とした。
 
 
なお、令和3年11月4日にサークル活動中に足を滑らせて、大怪我により片腕が動かなくなくなってしまった。
 
その日に病院に運ばれて治療を受ける。
 
 
片腕が今後動かせるかどうかは不明だったが、リハビリを頑張って回復に努めた。
 
 
障害が残る確率が高く、病院からは障害年金を請求できる可能性があるから年金事務所に相談してみてと言われ、両親が年金事務所に相談に行ってみた。
 
 
さて、障害年金を請求したいという事で年金事務所に訪れた時、初診日をまず聞かれた。
初診日は令和3年11月4日。
 
 
その次に、初診日までに一定の年金保険料を納めてきたかを見る。

 
一定のというのは、初診日の前日において初診日の前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合は、その3分の1を超える未納があってはならない」という事。
 
「初診日の前日において」というのは、初診日という保険事故が起きる前までに年金保険料納めてた期間で見ますねという事。
 
保険事故が起きるまでに自分で備えてきたかな~という事を見たいわけですキョロキョロ
 
 
初診日の前々月というのは、令和3年9月分の保険料納付期限は10月31日までの期限ですが11月であればその9月分の保険料納付状況まで確定してますよね
だから、前々月までの納付状況まで考えます。
 
 
これに当てはめると、20歳になる令和2年7月から令和3年9月までの15ヶ月間の内、未納は3分の1(33.33%)を超えてはならないという事ですね。
 
未納期間は7ヶ月(令和2年7月から令和3年1月まで)あるから、未納率は46.66%もある。
 
 
よって、障害年金は請求不可となる。
 

なお、初診日の前々月までの直近1年間に未納が無ければ(令和3年9月から令和2年10月)、それでも良いですがやはり未納その1年の中に存在するから不可。
 
 
つまり、障害年金は未納期間を作っていたせいで、請求すら適わなかったという事です。
 
 
もし障害年金を請求できたとすれば、初診日から1年6ヶ月経過した日(障害認定日という。この日の障害状態で障害等級を判断する)である令和5年5月4日以降請求して、その翌月である令和5年6月分から年金支払いとなっていた。
 

障害年金は、初診日時点が国民年金加入なので国民年金から障害基礎年金780,900円(2級の場合。1級は1.25倍の976,125円)が支給されていた。
 
 
片腕の障害が残るとして、この女性が今後21歳から90歳まで生きるとしたら、障害基礎年金2級780,900円×69年=約5300万円の保障を受ける事が出来た。
 
 
よって、若い頃の特に学生の時のような一見、年金と関係なさそうな時期は気を付けたい。
学生はスポーツも盛んだし、よく遊ぶから思わぬ事故が生じたりしますからね^^;
 
 
過去の保険料未納による障害年金請求不可ばかりは、ほぼほぼどうやっても助ける事が出来ない。
 
 
過去の年金記録のうち3分の1を超えないようにする必要がありますが、今回のように若いうちは年金記録が少ないため、全体に占める未納率が高くなりやすい。
だから余計危険なのです。
 

例えば、この女性は15ヶ月の内の7ヶ月だから、未納率が46%も占める事になります。

逆に50歳あたりの今までの年金記録が300ヶ月ほどある人に、未納が過去に7ヶ月あっても未納率は大したことないですよね。
 

※追記
学生は、学生納付特例免除という免除制度が用意されているので、未納にせずにその免除を利用しましょう。
免除は未納ではないので、この女性の未納期間が学生特例免除期間だったら障害年金は請求可能だった。
 
大学生の未納は本当に気をつけた方が良いです。
 
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12月15日の第220号.10年短縮年金までの経緯とカラ期間の役割、そして離婚時に分割してもらった記録の性質。


12月22日の第221号は年末特集「上がり続ける保険料にピリオドを打ち、保険料を負担する側の立場に傾いていった年金制度(1)」

12月29日第222号は年末特集「上がり続ける保険料にピリオドを打ち、保険料を負担する側の立場に傾いていった年金制度(2)」

12月1日の第218号.その月の1日生まれの人の年金と、入社した月に退職してしまった人の気を付けたい年金事情。」を発行しました。


12月8日の第219号.「何が違う!?障害年金貰ってない人の傷病が悪化して障害年金請求する場合と、既に障害年金貰ってる人が悪化した場合」。

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