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年金アドバイザーのhirokiです。
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年金受給者の人は全体で約4000万人の人が受給しています。
年金というと老齢の年金というイメージですが、老齢の年金の次に多くの人が貰ってるのが遺族年金です。
遺族年金は主に厚生年金から支給される遺族厚生年金と、国民年金から支給される遺族基礎年金があります。
前者の遺族厚生年金は死亡者が今まで加入してきた厚生年金期間や、貰ってきた給料や賞与などにより金額は異なります。
主に厚生年金加入中に死亡した場合の給付ですが、過去に25年以上の年金に加入して保険料を納めてきたような人が死亡した場合でも、遺族厚生年金を支給します。
受給する遺族は順位が決まっていて、本人が死亡当時に生計維持していた配偶者、子、父母、孫、祖父母の順で最優先順位者が請求して受給します。
ほとんどは配偶者が受給してる事が多いです。
特に妻ですね。
遺族厚生年金は妻が受給してるパターンが大半であり、夫が受給してるという事は稀であります。
次に国民年金からの遺族基礎年金は、子のある配偶者または子にしか支給されませんので、子が居なければ受給する事はありません。
ちなみに子というのは18歳年度末未満の子を指すため、子が高校卒業すると遺族基礎年金は消滅します。
ただし、子が障害等級2級以上の障害を負ってる場合は遺族基礎年金は20歳になるまで支給される事になります。
障害を持つ子は20歳になると障害基礎年金を請求して、それで20歳以降は保障されます。
さて、受給する遺族の範囲が厚生年金と国民年金で異なっているのは、両者では保障の対象が違うからです。
厚生年金というのはその世帯の家族をひっくるめて保障する世帯単位の年金なので、死亡などの時に一緒に住んでた人達の面倒を見ようとするため遺族の範囲が広くなっています。
国民年金は個人単位に与えられた最低限の保障という性質なので、死亡した後に家族の保障をするというものではありません。
ただし、幼い子供を残したまま亡くなってしまうとまだまだ生活費が嵩み、生活が困窮する恐れがあるため残された配偶者と子が成人するまでは遺族年金を支給する事になっています。
なお、遺族基礎年金は子が18歳年度末を迎えると消滅する年金なので、あまり高齢の方が受給してる事はありません。
しかし遺族厚生年金は高齢の人の多くが受給しており、終身受給していくものという流れが多いです。
遺族厚生年金は終身で支給されるものという認識が強いですが、実際は途中で貰えなくなる事はあります。
特に多いのが再婚した時ですね。
再婚すると、新たな配偶者との間に生計維持関係が結ばれるので、遺族年金による保障は必要ないだろうという事になって年金は消滅します。
遺族年金が消滅するなんて知らなかった!と思って、慌てて婚姻を解消したとしても、婚姻という事実が発生した時点で消滅するので婚姻解消後に年金が復活する事はありません。
また、現代は正式な婚姻届けをしていない事実婚という形の夫婦もよく聞かれるようになりましたが、事実婚でも遺族年金は消滅します。
じゃあお互いが結婚しようと言って、その合意が成立したらその時点で遺族年金は消滅するのかというと、そうではありません。
夫婦になろうね!という合意(婚約)だけで、まだ夫婦としての共同生活の実体が無いのは事実婚関係にあるとは言えません。
事実婚関係というのは、結婚しようというお互いの意思と、夫婦としての共同生活があってから成り立ちます。
この両者の婚姻の意思と、夫婦としての共同生活があって事実婚は成立し、遺族年金は消滅します。
よくある、婚姻する意思の無い同棲という形は事実婚とは言えません。
よって、今回は再婚による遺族年金の消滅を見ていきましょう。
1.昭和50年11月4日生まれの男性(今は46歳)
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20歳になる平成7年11月から平成10年3月までの29ヶ月間は国民年金保険料納付義務があったが、学生だったので学生免除を利用した。
この間の学生免除は将来の老齢基礎年金の3分の1に反映(平成12年3月までの学生免除は年金額に反映する)。
平成10年4月から就職して厚生年金に加入し、平成30年6月までの243ヶ月間加入する。
なお、この間の平均標準報酬月額(平成15年3月までの60ヶ月)は45万円とし、平成15年4月以降の183ヶ月間の平均標準報酬額は56万円とする。
平成15年度で平均標準報酬を分けてるのは、平成15年度以降は賞与も厚生年金額に反映するようになったため。
平成30年7月からは国民年金保険料を全額免除しており、令和3年9月30日に私傷病で死亡した。
全額免除期間は平成30年7月から令和3年9月までの39ヶ月間とする(死亡日の翌日の属する月の前月まで)。
令和3年9月30日に死亡した時に、41歳の妻と17歳、15歳、6歳の子、そして男性の母(79歳)が残された。
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さて、国民年金の保険料を全額免除中に死亡してますが、過去の年金記録をちょっと見てみます。
・全額免除期間→29ヶ月+39ヶ月=68ヶ月
・厚年期間→243ヶ月
全体としては311ヶ月(25年以上)ありますね。
この全体の年金記録(未納以外)が25年以上あれば、過去の厚生年金記録に応じた遺族厚生年金が出る。
また、国民年金からの遺族基礎年金は子のある配偶者に支給されますが、18歳年度末未満の子が3人いるので支給される。
次に誰が請求してもらうのかというと、順位は配偶者、子、父母、孫、祖父母の順ですよね。
配偶者と子は同じ第1順位者となりますが、配偶者が優先して受給します。
下の順位者である母(79歳)は受給する事が出来ない。
妻は年収850万円未満とします(夫死亡時点で妻の前年収入850万円未満である事も必要)。
・遺族厚生年金→(45万円×7.125÷1000×60ヶ月+56万円×5.481÷1000×183ヶ月)÷4×3=(192,375円+561,692円)÷4×3=565,550円
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※注意
厚生年金加入中の死亡等ではない場合は300ヶ月加入したとしての最低保障計算はやらない。
243ヶ月で計算する。
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・遺族基礎年金→780,900円(定額)+子の加算224,700円×2人+3人目は74,900円=1,305,200円
・遺族年金生活者支援給付金(遺族基礎年金受給者に)→60,360円(月額5,030円)
遺族年金総額は遺族厚生年金565,550円+遺族基礎年金780,900円+子の加算524,300円+給付金60,360円=1,931,110円(月額160,925円)
この年金を令和3年9月30日受給権が発生し、翌月10月分から受給しているものとします。
その後、この妻は令和5年6月13日に自営業の男性Aさんとの再婚の意思を固め、令和5年7月10日に婚姻届けを出す。
令和5年7月10日に遺族年金すべてが消滅した。
(年金事務所に消滅の届け出をしなければならない)
7月に消滅するが、消滅した月分までの年金は貰えるので8月15日に6月と7月分は振り込まれる。
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さて、再婚した男性Aさんは昭和56年8月生まれの令和3年度時点で40歳とします。
厚生年金加入中の令和7年3月中に死亡とします。
20歳になる平成13年8月から令和7年1月までの282ヶ月間はずっと国民年金だったが、令和7年2月からは初めて厚生年金に加入する。
平均標準報酬額は18万円とする。
Aさん死亡時に残された遺族は、事例の妻と妻の連れ子21歳と、19歳と10歳のみ(子は死亡した夫と養子縁組していない)。
誰が遺族になるのか。
まず、18歳以上の子は遺族にならないので除外します。
10歳の子は妻の連れ子であり、死亡した再婚夫と養子縁組していないので遺族年金の「子」には該当しない。
よって、遺族年金が貰えるとしたら妻のみ。
なお、過去に最初の夫死亡で遺族年金を貰っていて再婚で消滅していますが、再婚夫死亡による新たな遺族年金は受給可能。
次に、Aさんは年金記録全体は25年無いですが、厚生年金加入中に死亡しており、過去に3割ほど未納があるわけでもないので遺族厚生年金は発生します。
・Aさん死亡により妻に支給される遺族厚生年金→(18万円×5.481÷1000×300ヶ月)÷4×3=221,981円
厚生年金加入中の死亡なので、300ヶ月(最低保障月数)で計算する。
また、妻がAさん死亡時に40歳以上であり、Aさんは厚年加入中の死亡なので中高齢寡婦加算585,700円が加算される。
よって、Aさん死亡後の妻の遺族年金総額は遺族厚生年金221,981円+中高齢寡婦加算585,700円=807,681円(月額67,306円)
中高齢寡婦加算は妻が老齢基礎年金を受給する65歳になるまで加算される。
遺族厚生年金は基本的には終身年金ですが、再婚を考える時はちゃんと考えたほうがいいですね^^
※追記
他には、直系血族または直系姻族以外の者の養子となった場合や、離縁(死亡した人との養子縁組解消)した場合も遺族年金は消滅する。
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12月1日の第218号.その月の1日生まれの人の年金と、入社した月に退職してしまった人の気を付けたい年金事情。
12月8日の第219号.障害年金貰ってない人の傷病が悪化して障害年金請求する場合と、既に障害年金貰ってる人が悪化した場合。
11月1日「(号外)障害年金を請求したのに、病状が悪くて年金支給決定前に死亡すると請求は無意味なのか」を発行しました。
11月3日の第214号は、「上がり続けた国民年金保険料と、国民年金実施からの苦難の歴史や世代間の不公平について」を発行しました。
11月10日の第215号は、「年金貰える年齢になっても働いてるなら年金は支払わなかった歴史と、令和4年からの在職老齢年金計算」
11月17日の第216号は、「20年ほど前まで1200万人も加入していた厚生年金基金はなぜ崩壊していったのか」
12月8日の第219号.障害年金貰ってない人の傷病が悪化して障害年金請求する場合と、既に障害年金貰ってる人が悪化した場合。
11月1日「(号外)障害年金を請求したのに、病状が悪くて年金支給決定前に死亡すると請求は無意味なのか」を発行しました。
11月3日の第214号は、「上がり続けた国民年金保険料と、国民年金実施からの苦難の歴史や世代間の不公平について」を発行しました。
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11月17日の第216号は、「20年ほど前まで1200万人も加入していた厚生年金基金はなぜ崩壊していったのか」
11月24日の第217号は、「65歳になると振替加算を付くようにしなければならなかった理由と、老齢基礎年金のやや間違いやすい計算」
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