あの時聞いた遺族年金額と、実際貰い始める時の金額がどうしてそんなに違ったのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
・まぐまぐ大賞2021語学資格部門2位と知識ノウハウ部門3位のダブルで頂きました(6年連続)
本当にありがとうございました^^
https://www.mag2.com/events/mag2year/2021
 
1月12日の第224号の有料メルマガは新しい形式の事例で5つの事例を考えていきます。
 
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では本題です。
 
 
年金事務所に行くと年金がいくらほど貰えるのかの試算をしてもらう事が出来ます。
 
老齢の年金であれば50歳以上で、年金受給資格の10年以上を満たしていれば年金見込み額を出してもらえます。
 
なお、毎年誕生月にねんきん定期便が届くのでそれを見てもらってもいいです。
 
定期便は50歳未満と、50歳以上では見込み額の出し方が違うので気を付ける必要があります。
 
50歳未満の人は今までの納付記録にて算出してますが、50歳以上の人は今現在の記録が60歳まで続いたとしての金額であります。
 
 
このように年金貰う前にある程度の年金の見込みを知っておくと、将来の計画がしやすいと思われます。
 
 
 
さて、年金には老齢だけではなく遺族年金や、障害年金がありますが、老齢の次に見込みを知りたいという人が多いのは遺族年金ですね。
配偶者がもし亡くなった場合の、大切な資金になるので遺族年金額を前もって見込んでおく事も大切です。
 
で、見込んだ時の金額と、その後に実際に貰うようになった時の金額が多少違うのならまだしも、大きく違う事があります。
 
 
試算をしてもらう時に注意点などは説明する必要がありますが、お客様がその事を忘れてたり、どういう事なのか理解されていなかった場合があります。
 
 
細かい事はよくわかんなかったけど、担当者が言った金額だけはしっかり覚えてるとかですね^^;
 
 
やはり人間は印象に強く残る事をメインに記憶するからですね。
 
 
じゃあどういう時に遺族年金額が全然違う事になりやすいのかを見ていきましょう。
その一例ですね。
 



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1.昭和27年3月20日生まれの夫(現在は69歳。令和4年中に70歳)

・(令和3年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12647918035.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2

夫は現在は厚年期間が35年ある老齢厚生年金(報酬比例部分)を120万円受給しており、老齢基礎年金は70万受給している。

また、妻が65歳未満で生計維持されていたので、夫の老齢厚生年金には配偶者加給年金年額390,500円が付いていた(妻は昭和36年5月生まれの令和4年中に61歳になる)。
 
一方、妻は20歳から60歳までの間に厚生年金期間が20年有り、国民年金保険料の全額免除期間は6年あった(全額免除期間は将来の老齢基礎年金の2分の1に反映)。
 
妻の生年月日から見ると、62歳から自分の20年分の老齢厚生年金40万円が受給できる予定。
国民年金は65歳からの受給。
 
※厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)

さて、妻は5年ほど前に60歳が近づいてきていた頃に年金事務所に、もし現在夫が死亡したら遺族年金がいくらほど貰えるのかの試算をしてほしいという相談をした。
 
その時に試算された金額は夫の老齢厚生年金120万円÷4×3=90万円と、夫に20年以上の厚生年金期間があるので中高齢寡婦加算が585,700円加算されるので1,485,700円ほどになるとの見込みだった。

なお、毎年物価や賃金の伸びで年金額は4月以降に変化するので、金額自体は毎年変わる場合があるとの事だった。
 
あと、なんか妻自身が65歳になると中高齢寡婦加算が消滅して、妻自身の老齢厚生年金を先に貰ったりするから遺族年金がどうのこうの…
 
まあ、とりあえず夫の老齢厚生年金の4分の3は貰えるという認識を持っていた。
 
その後に妻は65歳を迎え、夫が私傷病で死亡したとしたら、いくらの遺族厚生年金になるのか。
約100万円の遺族厚生年金が貰えるのか、果たして。
 
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さて、夫はすでに年金受給者であり、老齢厚生年金を受給してる年金受給者が死亡した時に生計維持してる配偶者が居ると遺族厚生年金が発生します(原則として未納以外の25年以上の年金記録がある場合に限る)。
 
遺族厚生年金が請求できる遺族の範囲は、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順で最優先順位者が請求して受給する事が出来ます。
 
なお、請求者が子や孫の場合は18歳年度末未満でなければいけません(障害等級1,2級以上の場合は20歳到達まで)。

夫、父母、祖父母が請求の場合は、本人死亡時に55歳以上でなければいけません(実際の受給は60歳から)。
 
妻には年齢の制限は余程の例外を除いて存在しない。
 
 
遺族は夫死亡時に65歳以上の妻のみとして、妻が請求して受給しますがその金額はいくらになるのか。
 
・遺族厚生年金→120万円÷4×3=90万円(単純計算です)
 
・老齢基礎年金→780,900円÷40年(20歳から60歳までの強制加入期間)×(20年+6年÷2)=449,018円
 
 
さらに、妻が自分の老齢厚生年金40万円なので、老齢基礎年金と遺族厚生年金合わせて年金総額1,749,018円になるのか。
 
 
この場合は妻の老齢厚生年金の40万円が遺族厚生年金90万円から差し引かれて、50万円が遺族厚生年金として支給されます。
 
つまり、自分の老齢厚生年金額を超える遺族厚生年金額を、遺族厚生年金として支給しますねという形になっています。
 
 
よって、老齢基礎年金449,018円+老齢厚生年金40万円+遺族厚生年金50万円=1,349,018円(月額112,418円)となります。
 
これを先充て支給といいます。
先に自分の老齢厚生年金を貰って、その金額を超える分を遺族厚生年金として支給すると。
 
 
なぜ老齢厚生年金分が遺族厚生年金から引かれてしまうのでしょうか。
 
 
この制度になったのは平成19年4月からの改正からですが、それまでの制度は遺族厚生年金を貰うか、自分の老齢厚生年金を貰うかの2択でした。
 
遺族年金90万円か、自分の老厚40万円どちらか好きなほうを選べと。
 
まあ、二つの年金が発生したんだから両方支給してよ!という声もありますが、そうすると社会保障の過剰給付になってしまいかねないんですよね
 
過剰給付を避けるために昭和61年4月からは1人が貰う年金の種類は1つにしましょうねという大原則が出来ました。
 
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※参考
でも、65歳以降に老齢の年金と遺族年金の両方が受給できてるやん!と思われますよね。
 
遺族厚生年金は残された妻の老後保障の性質があるので、例外的に受給可能としています。
昭和時代は「年金は夫が貰って、妻は無年金」という形が一般的だったので、夫死亡したらその無年金の妻に遺族年金を受給させて妻の老後保障の役割があった。
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もちろん遺族厚生年金90万円のほうが多いからそっちを取るに決まってるんですが(非課税だし)、自分の老齢厚生年金を諦める事になります。

せっかく、妻自身も厚生年金に加入して働いて保険料を納めてきたのに、それはもらう事が出来ないわけです。
 
 
そこで平成19年4月の改正の時に、じゃあまずは先に自分の老齢厚生年金を貰った上で、その差額を遺族厚生年金として支給しようという事にして、今まで妻が働いた分が無駄にならないような形になりました。
 
 
なので、遺族厚生年金を受給する予定の人は、自分の老齢厚生年金がいくらほど貰えるのかを考える必要があります。
 
 
なお、このような貰い方をするのは65歳になった時だけです。
 
65歳未満の間は遺族厚生年金が発生しても、自分の老齢の年金とどちらかの完全選択になります。
 
 
※追記
妻は20年以上の厚生年金があり、その年金を62歳から貰います。
夫に付いている配偶者加給年金は妻が65歳になるまで加算されるものですが、妻が62歳になると20年以上の記録がある厚生年金を貰えるようになるので妻62歳以降は配偶者加給年金は全額停止する。
 
また、妻が昭和41年4月1日以前生まれの場合は配偶者加給年金から振り替えられた、振替加算が受給できる場合がありますが、妻が20年以上の厚年があるので振替加算も受給できない。
 

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1月12日の第224号.「老齢の年金基礎事例による復習5つ」(いつもと違う形式の事例を用いました)

1月19日の第225号は「年金の繰下げで天引きされる年金の源泉徴収税額と確定申告時の税額」

1月26日の第226号は「押さえておきたい、役に立つ遺族年金事例3つ」
 
1月5日第223号は、「年金は万が一の事態の大切な命綱!妻が遺族年金を貰い始めてから、妻が死亡するまで」
 

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