配偶者加給年金を受給してしまった事による借金の返済。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。

 

先週に左の鎖骨周りを痛めてしまい、腕を上げるのがとても辛くて服の着脱とか、寝て起き上がる時なんかの痛みがキツイです^^;


いつも行ってる整体でじっくり施術してもらって多少腕の上げ下げがラクになったかも…

 


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まぐまぐで今年から始まったイベントなんですが、サマーアワード2021というのが今回始まりました。


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では本題です。
序盤のみ、明日の有料メルマガの文言を少し使っています。


厚生年金期間や共済年金期間が20年以上ある、またはそれを合わせて20年以上ある場合に65歳未満の配偶者が存在すると、配偶者加給年金というありがたい加算金が付く事があります。


年金相談においてはいつも上位に来る相談内容です。


特に男性の方が厚生年金期間が長く、20年以上ある人が多いし、年下の妻ですという事が多いので、ご主人様の厚生年金に配偶者加給年金390,500円がいつから付くのかという疑問をよく持たれます。


これから年金を貰おうという人はほとんどが自分が65歳になった時に、65歳未満の生計維持してる配偶者が居た時に加算される事が大半です。


そして配偶者加給年金がようやく加算され始めても、配偶者が65歳になって配偶者自身が老齢基礎年金を貰い始めると、配偶者加給年金は消滅します。


なので配偶者自身が個人の名で老齢基礎年金を貰うまでの繋ぎともいえます。



昭和61年3月31日までの制度だと配偶者加給年金は夫に一生加算されるものでしたが、昭和61年4月以降にみんな共通して老齢基礎年金を貰いましょうという形になってからは、配偶者加給年金は配偶者が65歳になるまで!と変わってしまいました。


従来は妻が自分自身で年金を貰うという事は、特にサラリーマン家庭ではあまり想定されておらず、妻は基本的に無年金であるという事が考えの多数派でした。


妻が無年金だから、夫の厚生年金に妻の生活費分を足した配偶者加給年金を一生加算しようという流れだったんですね。



しかし、妻が無年金である…という事をずっとやると、妻が離婚したりした時に金銭的にとても不利な立場になるので、昭和61年4月からは専業主婦であろうと強制的に年金に加入させて、将来は老齢基礎年金を貰うという事を原則とした。

無年金のつもりだった専業主婦は、主に国民年金第三号被保険者として国民年金に強制加入となりました。


妻が老齢基礎年金を貰うなら生活費は老齢基礎年金で賄うから、夫に付けた配偶者加給年金も妻が65歳になるまでねという事になりました。



なので、妻が65歳になるまで配偶者加給年金が支給されるものという認識を現代では常識として持たれています。



ところが場合によっては妻が65歳になる前にさっさと配偶者加給年金が全額停止したり、そもそも夫に配偶者加給年金が付く事は無かった…という事もよくあります。


上手く原則通りにならないから、何かと年金相談では頭が痛い事が多いものです。



認識しておかなければならない重要な事に、妻自身が20年以上の期間がある厚生年金や共済、または両者合わせて20年以上の年金を貰い始めた場合は夫の配偶者加給年金は全額停止となる事です。

これはよくお客様からは文句言われる典型的な部分ですね^^;



夫婦両者に厚年期間が20年以上ある年金を貰うなら、配偶者加給年金は両者とも全額停止となる。


この考え方としては夫に配偶者加給年金が付くとして、妻には20年以上のそれなりにまとまった厚生年金が貰えるなら夫に配偶者加給年金は支給しなくていいよねって事ですね。


妻が65歳になって老齢基礎年金を貰えるなら配偶者加給年金要らないよねという事と同じように、妻が65歳前からでも20年以上のまとまった厚生年金や共済、または厚年と共済合わせて20年以上の年金貰うなら夫の配偶者加給年金は停止しましょうという事です。
 
という事で一例を考えながら、ちょっとしたトラブルも見てみましょう。
 


1.昭和31年5月15日生まれの女性(今は65歳)
・(令和3年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12647918035.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2
 
・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12649134483.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2
 
 
18歳年度末の翌月である昭和50年4月に就職し、昭和53年5月までの38ヶ月間は厚生年金に加入した。
相当就職は厳しかったが、何とか就職する。
 
昭和48年の第4次中東戦争による石油危機で石油価格が4倍に跳ね上がり、日本は重化学工業の壊滅と石油商品の値上がりが同時発生した。
 
石油価格は1バレル159リットルが3ドルほどでしたが、12ドルに跳ね上がった。
更に昭和54年にイラン革命による第二次石油危機が発生し、世界同時不況に陥る(石油価格が12ドルから2.5倍の30ドルになる)。
 
不況とインフレの同時発生となり、日本の高度成長が終わった。
 

昭和49年日本は初めてのマイナス成長を記録して、昭和50年には赤字国債が発行されるようになる。
 
昭和の頃は景気が良かったが、石油危機による不況でこの頃は多くの人が就職難だった。
今はリストラというと解雇のイメージが強いけども、当時は新規採用の見合わせという事が続いて、かなりの就職難に陥った。
 
 
さて、この女性は昭和53年6月にサラリーマンの男性と結婚退職する事になり、それまで支払った厚生年金保険料を返還する脱退手当金を請求して受け取る。

これにより、38ヶ月間は厚生年金に加入しなかったものとされた。
 
 
昭和61年3月まではこのような過去の保険料を返すというのは意外と多かった。
 
なぜなら女子は結婚したら退職という流れが多く、あまり厚生年金期間が長くないため、将来は厚生年金が貰えない場合もあったので退職したら保険料を請求により返還したりした(今現代は過去に納めた保険料は返ってこない)。
 

昭和53年6月からはサラリーマンの男性との婚姻により、必ずしも国民年金に加入しなくてもよくなったために加入しなかった。

昭和53年6月から昭和59年3月までの70ヶ月間は任意加入だったが、加入しなかったのでカラ期間とする。
 
 
昭和59年4月に離婚した事により、再度国民年金には強制加入となる。
 
 
昭和59年4月から昭和63年12月までの57ヶ月間は国民年金未納。
 
 
昭和64年1月から厚生年金に加入し、60歳前月の平成28年4月までの328ヶ月間加入する。

なお、昭和平成64年1月から平成15年3月までの171ヶ月間の平均標準報酬月額は27万円とし、平成15年4月から平成28年4月までの157ヶ月間の平均標準報酬額は32万円とします。
 
 
この間に昭和35年10月生まれの男性と再婚した(厚年期間は20年以上あり)。
 
 
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さて、この女性の生年月日から見ると60歳から厚生年金が貰えますが、飛ばして65歳の計算をしましょう。
 

・65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→27万円×7.125÷1000×171ヶ月+32万円×5.481÷1000×157ヶ月=328,961円+275,365円=604,326円
 
差額加算→1,628円(令和3年度定額単価)×328ヶ月ー780,900円÷480ヶ月×328ヶ月(20歳から60歳までの厚年期間。脱退手当金を受けた期間は除く)=533,984円ー533,615円=369円
 
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※参考
差額加算という計算を65歳になるといつもしてますよね。

簡単に言うと、昭和61年3月までの制度は老齢基礎年金という年金は無くて定額部分という年金を厚生年金は支給していました。
 
けれども、昭和61年4月以降は定額部分という年金を廃止して、代わりに老齢基礎年金を65歳から支給する事になりました。

ところが従来の年金の定額部分と、新型の老齢基礎年金では給付水準はよく似ていたものの計算式が違っていたので、どうしても従来の定額部分よりも基礎年金が少額になった。
 
よって従来の計算よりも少なくならないように、定額部分と老齢基礎年金の差額を埋めるための年金を支給する。
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・老齢基礎年金→780,900円÷480ヶ月×(171ヶ月+157ヶ月)=533,615円
 
年金総額は老齢厚生年金(報酬比例部分604,326円+差額加算369円)+老齢基礎年金533,615円=1,138,310円(偶数月に支払われる2ヶ月分189,718円)
 

65歳時点で生計維持していた夫が居たので、配偶者加給年金390,500円を加算。
なお、年金で言う生計維持していたというのは、配偶者の前年収入850万円未満で、住民票が一緒というような場合をいう。
 
 
さて、昭和35年10月生まれの夫がいますよね。
 
 
妻の厚生年金に配偶者加給年金が加算されましたので、夫が65歳になる令和7年10月までの支給となるのでしょうか。
 
 
夫には20年以上の厚生年金期間があり、支給開始年齢は64歳の令和6年10月受給権発生の翌月から厚生年金が支給され始めます。
 
よって、令和6年11月分からの妻の配偶者加給年金が全額停止となる(夫が20年以上の厚年を貰うから)。
 
 
 
そうか…夫が64歳から年金を貰い始めると配偶者加給年金が止まるのであれば、わざと年金を請求せずに年金を貰わなければいいやと思って、請求を1年間やらなかった。
 
 
確かに夫が自分の厚生年金を貰わないのであれば、その間は妻の厚生年金に配偶者加給年金390,500円が加算され続ける。
 
 
 
そして夫が65歳時に年金を請求すると、時効5年以内の年金は貰えるので64歳まで遡って年金が支給される。
 
 
しかしながら、夫が64歳から65歳までの12ヶ月間は妻に配偶者加給年金が支給されてしまったので、390,500円は過払い(借金)となり、返済する事になる。
 
 
年金未請求はこのような事が起こるので、速やかに請求を促す理由の一つでもある。
 
 
返済は基本的には妻が貰う年金から自動で返済となる。
例えば妻に偶数月に189,718円が支払われるなら、その半分の94,859円が返済に自動で天引きされる。
 
 
 
※追記
夫が64歳になって退職し、失業手当を貰ってる(給付制限期間中を含む)間は夫の厚生年金は全額停止になるので、妻の配偶者加給年金は貰っていい。

また、64歳以降も在職中により、夫の厚生年金が全額停止中なら、その間の妻の配偶者加給年金は貰える。
 
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7月28日の第200号は「大切な生活保障である配偶者加給年金と振替加算の支給時期と停止時期の7パターン」

8月4日の第201号は「65歳以上の在職者の年金停止(基金あり)と、そもそも年金が停止される時はこういう条件を満たす必要がある。」

8月11日の第202号は「女子の年金が一般的な支給開始年齢より早めに支給されてきた名残と、その特徴的な年金計算」

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7月7日の第197号.年金制度が無ければまともに生活出来る人はほぼ居なくなり、更なる高齢化による介護と医療の問題。を発行しました。

7月14日の第198号.通常の考え方とは違う20歳前障害基礎年金の取扱いと、年金計算総合事例。を発行しました。

7月18日は「(号外)戦後日本経済の発展と高度経済成長の土台となった国民皆年金」を発行しました。


7月21日の第199号は「共済と厚年記録がある人の遺族厚生年金と、障害厚生年金受給者の死亡が重なる時」を発行しました。
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