年金保険料を免除にしてるので将来の年金の低下が心配。増額させるには… | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
八重咲きのユリが売っていたので、買ったんですがとっても甘い香りで気分がメロメロになります(笑)香りが特に良いです!

ユリは夜になると香りが強くなるので、夜は部屋に香りが充満します^^



では本題です。


一体いつ終わるのかわからないコロナ禍でこれから一体どうなるのかという不安がありますよね。
 
特に金銭的に困っている人が多い中で、社会保険料なんて支払う余裕は無いと。
 
 
国民年金保険料はその月の保険料は翌月末までに支払う必要があります。
 
20歳になると60歳前月までの40年間は国民年金には強制加入になるので、40年間は国民年金に加入して保険料を支払い続ける事になります
 
40年間というと気が遠くなりそうな年月ですが、自分の意志で年金から脱退する事が出来ません。
 
 
そうなると今回のコロナ禍のように金銭的にも苦しい中でも、保険料の支払い義務からは逃れられるわけではないです。
 
 
 
でも今の生活よりも年金保険料を支払う事を優先しろ!なんて事は現実的ではないので、年金保険料は免除する事が出来ます。

 
厚生年金保険料はコロナ禍でちょっとした猶予措置がありますが、基本的に出産や育児時の免除以外に免除は無いです。
会社からはちゃんと毎月給料が支払われるからですね。
 
 
しかし、国民年金のみに加入してる自営業の人やフリーターの人、失業中の人などはいつも所得が一定しているわけではないので、国民年金保険料を免除する事が可能となっています。
 
 
免除利用は不況時に増加する傾向があります。
 
 
国民年金のみに加入してる人は現在は1450万人程いますが、その中で保険料を全額免除してる人は約600万人程います。

保険料を全額免除するだけでなく、一部の保険料を支払う一部免除もあります。
 
 
ところで、免除するとどうなるかというとその時の保険料支払いをしなくても未納扱いになりません。
 
 
未納扱いにならないから、将来に年金受給資格を得る時の最低でも10年必要という、この10年の中に免除期間も含まれる事になります。

未納にしてると後から催告されて、あんまり支払わないと財産差し押さえという事にも繋がってきますが、免除してる場合はそのような事はありません。
 
 
しかしながら本来支払うべき保険料を支払わない事になるので、将来に老齢の年金を貰う時は年金額が低下してしまう事になります
 
 
免除したらその時の保険料負担はしなくて助かるけど、将来年金を貰う時にちょっと困る事になる。
 
そういえば免除や未納が増えると年金財政が逼迫するという事がウワサされますが、結局支払った分に見合う年金しか払わないので財政には穴をあけない)
 
 
20歳から60歳までの間に免除できる回数に上限があるわけではなく、あくまで前年所得(基本的に世帯主や配偶者の所得も含む)で免除するかどうかが決まります。
 
 
そろそろ年金を貰う時の事も考えないと…という時に、過去の年金記録を見ると免除期間が多くて年金額が低いのではないかと心配される事がよくあります。

50代くらいになってくると、そんなに年金の事を考えてなかった人もちょっと考えるようになるようです。
年金受給が迫ってくるからですね。
 
 
年金受給が迫ってくると、少しでも年金を増やす事はできないかという相談は増えてくるのですが、もちろん方法はあります。
 
 
なので今回はその典型的なパターンを見ていきましょう。
 
 
1.昭和40年7月1日生まれの女性(今は56歳)
(7月1日生まれなので、誕生日は6月30日となる。そのため20歳到達月は6月となる事に注意)
 
・(令和3年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12647918035.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2
・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12649134483.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2

 


20歳になる昭和60年6月から国民年金に強制加入となり、昭和63年8月までの39ヶ月間は国民年金保険料を支払う。

同時に付加保険料を支払っていた。
 
付加保険料というのは国民年金保険料を支払っている人が上乗せで毎月400円支払うと、将来の老齢基礎年金に上乗せとなる年金。
 
なお、この時は父が保険料を支払ってくれていた。
 

国民年金保険料は家族が支払う事もでき、例えば父がこの女性の国民年金保険料を支払うと所得控除の社会保険料控除として使う事が出来る。
 
 
昭和63年9月にサラリーマンの男性と婚姻して専業主婦となり(パート収入が100万円ほどあったが)、平成8年6月までの94ヶ月間は国民年金第3号被保険者となる。

国民年金第3号被保険者は別途保険料を支払う必要は無い。
 
 
 
平成8年7月から厚生年金に加入する事になった。
平成10年10月から育児休業の為に平成11年9月までの12ヶ月間は育児休業をした。
 
育児休業中は会社に申し出る事で厚生年金保険料を免除する事が出来る(平成12年4月以降は会社が負担する保険料も免除)。
免除ではあるが厚生年金保険料を支払ったものとする。
 
 
厚生年金期間は平成8年7月から平成18年3月までの117ヶ月間。

なお、平成8年7月から平成15年3月までの81ヶ月間の平均標準報酬月額は20万円とし、平成15年4月から平成18年3月までの36ヶ月間の平均標準報酬額は24万円とします。
 
ーーー
※平成15年度で区切ってるのは、平成15年度以降は賞与も年金額に反映させる事になったため。
ーーー
 
 
退職して平成18年4月から平成28年5月までの122ヶ月間は未納(夫はサラリーマンをやめて自営業をやり始めていたので、国民年金第3号被保険者にはなれなかった)。
 
 
平成28年6月から平成30年8月までの27ヶ月間は国民年金保険料を納めた。
 
 
平成30年9月から60歳前月の令和7年5月までの81ヶ月間は国民年金保険料全額免除(老齢基礎年金の2分の1に反映)。
 
ーーーー
 
 
さて、この女性は64歳から厚生年金が貰えるので計算しましょう。
 
64歳からの特別支給の老齢厚生年金→20万円×7.125÷1000×81ヶ月+24万円×5.481÷1000×36ヶ月=115,425円+47,356円=162,781円(月額13,565円)
 
 
次に65歳(令和12年)からの老齢基礎年金を計算。
保険料納付済み期間は国年39ヶ月+国年3号94ヶ月+厚年117ヶ月+国年27ヶ月=277ヶ月
全額免除→81ヶ月
 
未納は計算に含まない。

 
老齢基礎年金→780,900円÷480ヶ月×(277ヶ月+81ヶ月÷2)=516,533円
 
付加年金→月単価200円×39ヶ月=7800円
 
 
あと、令和元年10月から導入された年金生活者支援給付金→5,030円÷480ヶ月×277ヶ月+10,845円÷480ヶ月×81ヶ月=2,903円+1,830円=4,733円(年額56,796円)
 

給付金は前年所得+前年の年金収入≧779,900円(令和3年10月からは781,200円)であり、住民税非課税世帯の場合に給付。
 
よって年金総額は老齢厚生年金162,781円+老齢基礎年金516,533円+付加年金7,800円+給付金56,796円=743,910円(月額61,992円)
 
 
(経過的加算は微額のため割愛)
ーーーーーー
 
さて、この女性は令和12年に上記の年金総額になりますが、例えば60歳である令和7年時点にできるだけ年金を増額させる事はできないか。
 
 
まず、平成30年9月から令和7年5月までに全額免除にしてる期間があるので、免除期間の保険料を支払う追納ができる。
 
追納は過去10年以内の免除期間の保険料を支払う事が出来る。
 
 
なお、令和7年5月から見て10年前は平成27年5月ですが、未納がありますよね。

未納期間は時効が2年なので、2年を過ぎると未納期間の保険料を納める事が出来なくなる。
 
 
次に60歳から65歳までの60ヶ月間は国民年金に任意で加入できる(全体で480ヶ月になるまで)から、そこを任意で加入する。
ついでに付加保険料を60ヶ月納める事もできる。
 
 
 
このように、過去10年以内の免除期間の追納と60歳から65歳までの任意加入をした場合の年金額はどうなるか。
 
 
保険料納付済み期間は277ヶ月+追納した期間81ヶ月+任意60ヶ月=418ヶ月
 
 
・老齢基礎年金→780,900円÷480ヶ月×418ヶ月=680,034円
 
・付加年金→200円×(39ヶ月+60ヶ月)=19,800円
 
よって、この場合の年金総額は老齢厚生年金162,781円+老齢基礎年金680,034円+付加年金19,800円=862,615円
 
 
あと給付金ですが、収入が増えたので少し計算式が変わります。
 
・給付金→5,030円÷480ヶ月×418ヶ月=4,380円
 
これに調整率を掛ける。
 
・調整率→(879,900円ー862,615円)÷(879,900円ー779,900円)=0.173
 
4380円×0.173=758円(年額9,096円)が、上記の862,615円の年金とは別に支払われる。
 
 
というわけで、この女性は60歳時点でできる増額法で年額を12万ほど増やす事が出来ました。
 
 
 
 
コロナ禍などで保険料が支払えない人は一旦は保険料を免除しておいて、後で払える余裕が出てきたら過去10年以内なら追納をして年金を増やすとよいでしょう。
 
また、60歳以降は国民年金保険料支払い義務が無くなりますが、任意加入はおススメといえます。
 
なお、厚生年金に加入してる人は任意加入が出来ないので注意です。
 
 
※追記
65歳以降は国民年金保険料を任意加入などは不可。
ただし、65歳になっても老齢の年金を貰うための受給資格期間10年が無い人は、特別に65歳から70歳までの任意加入ができる(10年に到達するまで)。
 
現在は10年にすら到達しない人はほぼ居ないので、65歳から任意加入してる人は非常に稀。
 
厚生年金は70歳までは加入可能。
 
ーーーーーー

・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(月額770円税込み毎週曜日20時にメルマガ発行)
登録初月無料。
途中で登録されてもその月の発行分はすべてお読みいただけます。
https://www.mag2.com/m/0001680886

 

 


7月14日の第198号.通常の考え方とは違う20歳前障害基礎年金の取扱いと、年金計算総合事例。

7月21日の第199号は、「共済と厚年記録がある人の遺族厚生年金と、障害厚生年金受給者の死亡が重なる時」

 
7月28日の第200号は、「大切な生活保障である配偶者加給年金と振替加算の支給時期と停止時期の7パターン」
 

7月7日の第197号.年金制度が無ければまともに生活出来る人はほぼ居なくなり、更なる高齢化による介護と医療の問題。を発行しました。

ーーーーーー

・有料メルマガ記事は現在200記事近くありますが、バックナンバーは月単位で自由に購入可能です。
全て読み切り。

https://www.mag2.com/archives/0001680886/