65歳になっても年金額が変わらない人、増額する人。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。
年金アドバイザーのhirokiです。
 
たまーにあるのですが、僕は過呼吸になって息が思うように吸えなくなる時があります^^;
一昨日は寝る間際に過呼吸になってしまって、苦しくて結局寝れずでした。
 
過呼吸は気にしなければ何ともないけど、気にするとますます呼吸のコントロールが乱れてダメなんですよね。。
 
 
65歳前後で年金額が変わってしまう人は多いです。
 
65歳前から貰えてるのは、まだ年金の一部であって厚生年金もしくは共済からの厚生年金を貰ってるだけという状態です。
 
 
国民年金から支給される老齢基礎年金は65歳から。
 
 
老齢基礎年金貰うまでは厚生年金だけ貰って、65歳になると厚生年金と国民年金も貰う事になるというふうに変わります。
 
 
今現在の65歳前から厚生年金貰ってる人はほとんどは過去の給料やボーナスに比例した年金である報酬比例部分の年金のみです。
 
 
国民年金からの老齢基礎年金が支給されるようになると、その報酬比例部分の厚生年金と同時に支給開始になるので金額も変わってくるのです。
 
 
さて、厚生年金ってそもそもは報酬比例部分の年金だけの形ではありませんでした。
 
 
報酬比例部分という1つではなく、定額部分という加入期間に比例して増える年金がありました。
 
 
この報酬比例部分と定額部分を合わせたものが本来は60歳から厚生年金として支給されていました。
 
「報酬比例部分+定額部分=厚生年金」が本来の姿でありました。
 
 
でも、昭和61年4月の年金大改正からは基礎年金制度が導入されその時に老齢厚生年金と老齢基礎年金は65歳から支給するという事になりました。
これはもう今まで何度も申し上げてきた事ですね^^
 
 
厚生年金は報酬比例部分+定額部分の2階建てで支給してたけど、報酬比例部分=老齢厚生年金として、定額部分は廃止して老齢基礎年金を支給しようと。
 
 
昭和61年4月以降は定額部分は廃止して、同じく加入期間に比例して増える老齢基礎年金を65歳からは支給するという事になりました。
 
 
 
定額部分ではなく65歳以降は老齢基礎年金に移行するから、じゃあ年金は増えたりするの?と思われますが、65歳前後で年金総額は変わらないです。
 
 
 
 
例えば65歳前から報酬比例部分100万円+定額部分70万円貰ってた人が、65歳になると老齢厚生年金100万円と(老齢基礎年金+差額加算)70万円になるので総額は変わりません。
 
 
以前よくあったのですが、65歳になって定額部分が消えてしまうので「厚生年金がものすごく減った!」「どうして定額部分というのが消えたの?どこ行ったの!?」と慌てるお客様がよくいましたね^^;
 
 
まあ突然、内訳がガラッと変わって通知されるのでビックリするのは無理もなかったです。
 
 
 
この事件が起こると、定額部分は老齢基礎年金に移行して支給されるので損はしていません」という案内が常でした。
 
 
でも定額部分から老齢基礎年金に移行するから年金額は変わらないって言っても、一般的にはイマイチどういう事?と思ってしまいそうですよね。
 
 
 
どういう仕組みになってるのか。
 
 
 
報酬比例部分と定額部分を計算する時に使う月数というのは、あくまで厚生年金に加入した期間です。
 
 
 
そして老齢基礎年金を計算する時は、その厚生年金に加入した期間を用いて老齢基礎年金を計算します。
 
 
例えば300ヶ月の厚生年金期間で定額部分を計算した人は、老齢基礎年金を計算する時はその300ヶ月の厚生年金期間で計算して支給します。
 
だから65歳前後で年金総額は変わらないんです。
 
 
 
しかしながら、従来の定額部分と新型の老齢基礎年金では計算式や使用する厚生年金期間に違いがあるため、金額にどうしても差が出てしまいます。
 
そこで定額部分との差額は経過的加算という加算を付けて、65歳前後で金額が変わらないように配慮されています。
今、老齢厚生年金貰ってる人は全ての人に経過的加算が加算されている。
 
 
また、定額部分は全ての厚生年金期間で計算しますが、老齢基礎年金はあくまで20歳から60歳前月までの国民年金強制加入期間と被る厚生年金期間でしか計算しません。
 
 
そうなると20歳前から加入してる人や60歳以降も厚生年金に加入してる人であれば、定額部分のほうがそりゃあ金額高くなりますよね。
 
仮に18歳から30歳まで、50歳から65歳までの27年間厚生年金に加入したとしましょう
27年分の定額部分が40万円とします。
 
 
定額部分であればそのまま27年間の期間を使いますが、老齢基礎年金を計算する時は20歳から60歳までの期間のしか使わないから20年分を支給する事になるという事ですね。
この20年分を35万円とします。
 
 
そうなると65歳になると7年分の年金5万円が下がる事になるから、そこはさっきの経過的加算5万円を付けて年金額が65歳前より下がらないようにする。
 
 
つまり、定額部分40万円は65歳以降は老齢基礎年金35万円+経過的加算5万円となって支給される。
 
 
 
 
なので結局は従来の制度である定額部分の金額を下回らないようにするので、65歳を機に年金額は下がらない。
 
 
 
ところが65歳になると年金額が増える事の方が多い。
 
 
 
 
これはなぜか。
 
 
定額部分はあくまで厚生年金期間でしか算出されていない年金でしたよね。
 
この厚生年金期間のうち20歳から60歳までの期間が老齢基礎年金の計算に使われる。
 
 
ちなみに厚生年金期間を国民年金第2号被保険者という。
 
 
でも、老齢基礎年金は20歳から60歳までの国民年金第2号被保険者期間だけでなく、自営業などの国民年金第1号被保険者期間、サラリーマンの専業主婦だった人などである国民年金第3号被保険者期間をすべて用いる。
 
 
1号期間と3号期間は元々20歳から60歳までしか存在しない期間(1号期間は60歳以降任意でできたりするけども)。
 
 
定額部分からは国民年金第2号被保険者期間だけは老齢基礎年金に移行してきたけど、1号被保険者や3号被保険者の期間は65歳になったら老齢基礎年金の計算に含まないといけない。
 
 
2号期間100ヶ月+1号期間20ヶ月+3号期間30ヶ月とする。
 
定額部分は100ヶ月(例えば20万円)でしか計算せず、その後は老齢基礎年金が100ヶ月分支給(20万円)する。
 
定額部分計算式1,628円(令和3年度定額単価)×100ヶ月=162,800円が、老齢基礎年金780,900円(令和3年度満額)÷480ヶ月(加入限度)×100ヶ月=162,688円として支給する。
 
しかし、老齢基礎年金に移行した事で122円下がったから、この差額は経過的加算として122円支払う。
 
 
さらに、老齢基礎年金は1号期間と3号期間も含めて計算するので、780,900円÷480ヶ月×150ヶ月=244,031円を給付する。
 
 
244,031円ー162,800円=81,231円増えたのは、1号期間と3号期間分。
 
 
なので、1号期間や3号期間がある人は65歳以降は年金が増える事になる
 
 
 
 
もっとも、現在は定額部分が支給されている人は特別な例の人を除くと存在しないので、65歳以降に老齢基礎年金が始まる事で年金が増える人が多数を占める。
 
定額部分が無い人も、経過的加算の計算をして支給してます。
 



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