年金受給が近づいてきて、もうちょっと年金を増やしたくなった時。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 

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では本題です。


年金には期待していない、将来は貰えるかどうかわからないから年金保険料を支払いたくないという声があります。
 
特に若い世代においては滞納率などは高いようです。
 
 
年金というと高齢者が貰うものというイメージが強いので、若い人にはまだまだ関係が無いという意識を持ってしまいがちの為、年金保険料なんて支払わなくていいと思ってしまうようです。
 
 
若い頃は年金なんて随分先の事だから興味ないと言っても、歳を重ねるにつれて自分は将来はどのくらいの年金が貰えるのか?今から年金を増やしていたほうがいいかもしれないと心配になってくる人も多いです。
 
中年頃になってくると過去に未納にした部分が気になって、できれば今からその分の補填を望む人が増えます。
 
特に学生の頃に国民年金保険料を未納にしたり、もしくは全額免除になってる人は多いです。
このような未納や免除期間があると、将来の年金がその分減ってしまいます。
 
 
また、免除はともかく、未納が多いと障害年金や遺族年金を請求したいという時に困る事になったりします。
未納が怖いのは老齢の年金よりも遺族や障害の時ですね…
 
 
国民年金は20歳から60歳前月まで強制加入であり、この40年間完璧に国民年金保険料を納めると老齢基礎年金満額780,900円(月額65,075円)を受け取る事が出来ます。
 
 
この40年間の間に未納や免除期間があると、780,900円よりも国民年金からの給付は少なくなります。
 
よって、過去に免除期間や未納期間がある場合は今後どのように老齢の年金を増やしたらよいのかを考えていきましょう。
 
 
年金は受給し始めたら終身で貰えるものなので、保険料が払える時にできるだけ支払っておく方が望ましいです。
 
 
 
なお、厚生年金や共済に入っていた人は、国民年金の上乗せで報酬に比例した年金を受け取る事が出来ます。
 
 
厚生年金は給与や賞与の額で人によって金額が異なります。
 
 
今回は国民年金(老齢基礎年金)の増やし方例と、国民年金とセットで支払われる年金として有名な付加年金を考えてみましょう。
 

 
1.昭和34年8月16日生まれの男性(今は62歳)
・(令和3年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12647918035.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2
 
 
20歳になる昭和54年8月から昭和57年5月までの34ヶ月間は海外に居住していたので、国民年金には加入していなかった(日本人ではあった)。
この34ヶ月間は国民年金保険料を納める事が出来なかったが、将来の老齢の年金を貰うための最低資格期間10年を満たすためのカラ期間にはなる。
 
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※参考
日本人が海外在住してる場合は国民年金の任意加入が出来ますが、昭和61年3月までは任意加入は不可でした。
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昭和57年6月から日本に住む事になり、国民年金保険料を納付する義務が生じた。
 
 
昭和63年7月までの74ヶ月間は国民年金保険料を納めると共に、他に付加保険料毎月400円を支払う事にした。
付加保険料を支払うと、65歳になって国民年金(老齢基礎年金)が支払われる時に、付加年金として上乗せ年金が支払われる。
 
付加年金は1ヶ月支払うと200円の年金になるので、最大480ヶ月支払うと96,000円になる。
 
 
 
ちなみに、国民年金保険料はその月の保険料支払いは翌月末までが期限ですが、昭和60年5月の保険料を6月30日までに支払わなかった。
 
翌月末までに支払えなくても、国民年金保険料は時効2年があるのでその間に5月分を支払ったが、付加保険料は支払う事が出来なかった。
 
 
付加保険料は国民年金保険料納付期限までに支払わなかった場合は、自動的に脱退する事になっていたから。
 
 
よって、付加保険料を納付したのは昭和57年6月から昭和60年4月までの35ヶ月間とする。
国民年金保険料は昭和57年6月から昭和63年7月までの74ヶ月間納付。
 
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※注意
付加保険料は国民年金保険料をきちんと支払う場合に、上乗せとして支払えた保険料。
免除期間や未納期間、厚生年金期間や国民年金第3号被保険者期間に付加保険料を支払う事は不可。
 
なお、平成26年3月までの制度だと、付加保険料を納付期限までに支払わないと自動的に脱退となっていましたが、平成26年4月からの改正で自動脱退は無くなり、過去の2年以内の納め忘れた付加保険料を納付できるようになりました。
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昭和63年8月から平成元年6月までの11ヶ月間は厚生年金に加入した。
この間の平均標準報酬月額は36万円とする。
 
退職して、平成元年7月からは妻(会社員だった)の扶養に入り、平成21年8月までの242ヶ月間は国民年金第3号被保険者期間とする。
 
平成21年8月末に妻が会社を辞めたので、平成21年9月からは自分で国民年金保険料を支払う必要があったが、平成27年6月までの70ヶ月間は国民年金保険料を全額免除した(将来の老齢基礎年金の2分の1に反映)。
 
平成27年7月から60歳前月までである令和元年7月までの49ヶ月間は国民年金保険料を納めた。
 
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さて、この男性は令和3年11月現在は62歳ですが、老齢の年金を貰うのは65歳からとなっています。
 
 
 
65歳(令和6年8月15日に受給権発生)から貰う老齢厚生年金と老齢基礎年金を計算してみましょう。
 
 
・65歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→36万円×7.125÷1000×11ヶ月=28,215円
(経過的加算は微額なので、今回は割愛します)
 
 
次に老齢基礎年金は20歳から60歳までの国民年金強制加入期間の保険料納付記録で算出する。
 
・国民年金保険料納付済み(国民年金第1号被保険者)→74ヶ月+49ヶ月=123ヶ月
・厚年期間(国民年金第2号被保険者)→11ヶ月
・国民年金第3号被保険者期間→242ヶ月
・全額免除期間(国民年金第1号被保険者)→70ヶ月
・カラ期間→34ヶ月
 
カラ期間は年金受給資格期間最低10年を満たすためだけに組み込まれる期間で、年金額には反映しない。
 
・・老齢基礎年金→780,900円(令和3年度満額)÷480ヶ月×(123ヶ月+11ヶ月+242ヶ月+70ヶ月÷2)=668,646円
 
・付加年金→200円×35ヶ月=7,000円
 
 
厚生年金期間20年以上を満たす妻が居たので、振替加算26,964円も老齢基礎年金に加算される事になった。
 
 
よって、65歳からの年金総額は老齢厚生年金28,215円+老齢基礎年金668,646円+付加年金7,000円+振替加算26,964円=730,825円(月額60,902円)
 
なお、年金総額と前年の所得合計が781,200円以下であり、住民税非課税世帯であれば過去の年金記録による年金生活者支援給付金が支払われる。
妻の所得が高く、非課税世帯にならなったため給付金は支払われなかったとします。
 
給付金が貰えるとすれば、基準月額5,030円÷480ヶ月×(123ヶ月+11ヶ月+242ヶ月)+免除基準月額10,845円÷480ヶ月×70ヶ月=3,940円+1,582円=月額5,522円(年額66,264円)
 
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現在(令和3年11月時点)はこの男性は62歳ですが、65歳までの間に年金を増やす事はできないかを相談した。
 
 
増やすとすれば、以下のような方法が可能。
 
 
1.厚生年金に加入する。
2.過去10年以内の免除期間は保険料の追納ができる。
3.過去2年以内の未納の保険料を納める。
4.65歳までは国民年金の任意加入ができる(最大480ヶ月になるまで。厚年に加入する場合は不可)。
 
 
1はやらないとし、3も直近2年以内に未納が無いから納める事はできないとします。
 
3は、令和3年11月から過去10年以内である平成23年11月までの間に、「平成23年11月から平成27年6月までの44ヶ月」を追納する事が出来ます。
 
4は、令和3年11月から令和6年7月までの33ヶ月間が任意加入可能です(ついでに付加保険料も納めるとします)。
 
 
 
そうすると、国民年金の保険料を納めた期間が123ヶ月だったのが、44ヶ月と33ヶ月増えて200ヶ月となりました。
 
全額免除期間は70ヶ月から44ヶ月減って36ヶ月となりました
 
 
厚年期間は11ヶ月と、3号期間は242ヶ月と変わらず。
 
 
・老齢基礎年金→780,900円÷480ヶ月×(200ヶ月+242ヶ月+11ヶ月+36ヶ月÷2)=766,258円となる。
 
・付加年金は200円×(35ヶ月+33ヶ月)=13,600円
 
 
 
よって、老齢厚生年金28,215円+老齢基礎年金766,258円+付加年金13,600円+振替加算26,964円=835,037円(月額69,586円)
 
月額で約1万円近く増やす事が出来ました。
 
 
このように、60歳以降になったら今一度過去の年金記録を見直し、年金貰う年齢になるまでに少しでも年金を増やしておきましょう。
年金を増やすのは、65歳までがチャンスです(厚生年金は70歳まで加入できるので、そこまでは厚生年金が増やせる)。
 
※追記
65歳に到達(令和6年8月15日)してしまうと、過去10年以内の免除期間の追納が不可になる。
 
あと、厚生年金期間が12ヶ月あったらこの男性は64歳から厚生年金が貰えていましたが、11ヶ月だったので65歳からとなります。
 
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11月17日の第216号は、「20年ほど前まで1200万人も加入していた厚生年金基金はなぜ崩壊していったのか」

11月24日の第217号は、「65歳になると振替加算を付くようにしなければならなかった理由と、老齢基礎年金のやや間違いやすい計算」
 
12月1日の第218号.その月の1日生まれの人の年金と、入社した月に退職してしまった人の気を付けたい年金事情。

12月8日の第219号.障害年金貰ってない人の傷病が悪化して障害年金請求する場合と、既に障害年金貰ってる人が悪化した場合。


11月1日「(号外)障害年金を請求したのに、病状が悪くて年金支給決定前に死亡すると請求は無意味なのか」を発行しました。

11月3日の第214号は、「上がり続けた国民年金保険料と、国民年金実施からの苦難の歴史や世代間の不公平について」を発行しました。
 
11月10日の第215号は、「年金貰える年齢になっても働いてるなら年金は支払わなかった歴史と、令和4年からの在職老齢年金計算」を発行しました。

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