おはようございます!
年金アドバイザーのhirokiです。
65歳未満の配偶者が居ると、自分の老齢厚生年金に配偶者加給年金っていう年額390,900円の年金が加算される事があると今まで申し上げてきました。
結構大きな金額なので、年金受給者となった方にとってはいつも大きな関心事になります。
そういえば、昔の話ですが僕の友人が「結婚するなら10歳以上年下の女性と結婚して老後は加給年金を貰い続ける!」と野望を語っていました(笑)
その目標は達成されたのやら…^^;
年金相談の中で、配偶者加給年金が付いてる人は多いですが、歳の差夫婦の方もよくいらっしゃるのでこれなら長い間加給年金が付くよね~というケースはよくある事です。
長く受給するのはもちろん何も問題は無い事なので、貰えるものは貰っておきましょう(笑)。
さて、配偶者加給年金は配偶者が65歳になるまでは加算されるものですが(例外も多いので気を付ける必要はある)、せっかく貰えるのに貰えないケースがあります。
よく、年金を貰うのを遅らせると年金が増えるっていう年金の繰下げ制度がありますよね。
年金の繰り下げは現制度では65歳から70歳まで、年金を貰わないでおく事で最大42%年金を増額させる事が出来ます。
なお、令和4年4月からは75歳までの10年間(120ヵ月)まで最高で年金を遅らせとく事が出来ます。
もし75歳まで粘ったら、65歳時点での年金が84%増額します。
例えば65歳時で200万円の年金なら10年後には3,680,000円に増えるという事ですね。
しかしながら現実はこんな単純ではない事が多いですが、本日のこのメルマガではそういうケースは割愛します。
※参照
・70歳まで年金をもらうのを遅らせて大きく増やしちゃおう!…がうまく機能する事が出来ない重大な理由(2018年11月有料メルマガバックナンバー)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2018/11
さて、増額した年金を受け取れる事で生活にも余裕が出る事になりますが、せっかく多めの年金が貰えてもその後の寿命が短かったら早めにもらっとけばよかったー!元取れず損したやんか!という後悔するかもしれませんね。
70歳から貰うとして、単純に現在の男子の平均寿命は81歳で、女子は87歳。
そんな中で70歳まで遅らせて年金貰う人は65歳から貰い始めた人に対して、11年11ヵ月で損益分岐点を迎えます。
つまり、70歳から貰い始めた場合は81歳11ヵ月で65歳から貰い始めた人と、年金受取総額が同じになってその後は70歳から貰い始めた人のほうが総額は逆転していく。
受取総額だけを考えたら、81歳11ヵ月は生きないと損する。
まあ、年金というのは長生きする事により所得が得られにくくなる事に対するリスクに備えて若い時に保険料を支払っておく保険であり、貯蓄をしているのではなく支払った保険料の元を取るとかいうのが目的ではない。
元を取るとかいう話は結果論に過ぎず、僕自身も正直好きな話ではないので話を振られたら答える程度の事が多いです。
長生きするとそれだけ収入を得る事が困難になるという事になるので、長生きした場合に備えて老齢の年金がある。
元を取る事を目標にして長生きするというのが幸せな事だとは思えない。
さて、やや話が逸れましたが、この年金を貰うのを遅らせる時に配偶者加給年金の悩みが生じてきます。
そして、元を取りたいと頑張る人にとってはちょっと困った問題が出てくる。
それはどういう事なのか。
例えば、65歳から配偶者加給年金390,900円が老齢厚生年金100万円に加算されて1,390,900円と、国民年金から老齢基礎年金78万円の合計2,170,900円が貰えるとします。
妻は夫が65歳時点では60歳とします。
ところがです。
この夫が在職(個人事業で厚年には加入はしなかった)を続けていたから資金的に余裕があったので、65歳から年金を貰うのを遅らせて70歳で貰う事を考えました。
もし、遅らせるとその間は年金を貰わないので、配偶者加給年金ももちろん支給されない事になります。
そして70歳になった時に65歳から70歳まで遅らせた分の増額分は、(厚年100万円+国年78万円)×42%=747,600円ですよね。
加給年金は遅らせても増額しない。
だから、70歳からの年金総額は2,527,600円となる。
なお、夫が70歳時点で妻は65歳になるので、配偶者加給年金は夫が70歳時点で消滅する。
結局…配偶者加給年金が貰えなかったけど、年金はとても増えてはくれました。
しかし、この男性はせっかくこれまで40年くらい保険料を支払ってきたんだから、絶対元を取ろうと思った。
という事で、どのくらいまで貰えれば元が取れるのかを相談した。
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※計算
まず65歳から70歳まで貰わなかった年金100万円+加給年金390,900円+基礎年金78万円=2,170,900円ですよね。
これを5年間貰っていたならば10,854,500円になっていました。
で、繰下げで増額した年金は747,600円なので、10,854,500円÷747,600円=14.5(年月に直すと0.5×12ヵ月=6ヵ月を足して14年6ヵ月)となり、70歳から貰い始め+14年6ヵ月=84歳6ヵ月までは生きないと65歳から貰い始めた人より総額では下回る。
普通は11年11ヵ月の81歳時が損益分岐点ですが、損益分岐点が14年6ヵ月に延びて84歳になってしまった。
加給年金は貰うのを遅らせても増額しない事でこのような影響が出てくる。
老齢厚生年金に加給年金が付く人はその点は気を付けたい。
もし、加給年金がどうしても欲しいというなら老齢厚生年金だけ貰って老齢基礎年金だけ貰うのを遅らせるといいですね^^
老齢厚生年金もしくは老齢基礎年金どちらか一つを貰わずに遅らせるという事も可能なので、この男性なら老齢厚生年金100万円+配偶者加給年金390,900円=1,390,900円は65歳から受給して、老齢基礎年金78万円のみ遅らせて増額させる方法も良いでしょう。
老齢基礎年金78万円を65歳から70歳まで貰わなければ、78万円×42%=327,600円増えて老齢基礎年金は1,107,600円になる。
そしてこの場合元を取るのは、78万円×5年間=390万円÷327,600円=11.9年(年に直すと11年11ヵ月。0.9×12ヵ月=10.8ヵ月≒11ヵ月)となり、70歳から貰い始めて81歳11ヵ月となる。
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9月23日の第156号は「昭和初期に生まれた人の年金計算と、亡くなった場合の遺族年金も高めになるのか」
9月30日の第157号は「今90歳あたりの人の年金は今の60代の人と大差は無いが、100歳前後の人は全く別物となる。」
9月2日の第153号は「国民年金創設から国民全員が加入対象となるまでの流れと背景」を発行しました。
9月9日の第154号は「標準報酬月額が変わると徴収される保険料が変わり、年金振込額も変化する」を発行しました。
9月16日の第155号は「昭和初期に生まれた人の年金額が高めの理由と、20年かけて年金を引下げた経緯と計算」を発行しました。
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