年金を早めに貰うと一生減額されるが、配偶者が死亡した時の事も頭に入れておきたい。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
先にお知らせなんですが、note始めました。
今後のブログはnote中心とします(まだ使い方はおぼつかないですけどね^^;。
 
何卒、お含みおきください。
一応今回はアメブロにも一緒の記事を載せます。
 
https://note.com/nenkin_hiroki/n/n5c0812b0d735

 

 


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今現在は年金支給開始年齢が上げられてる最中で、2030年からは完全に65歳になります。
 
そうなるともう65歳未満で年金を貰う事はできないのか…と、なんだか不安になる方もいます。
 
 
経済的な理由もありますが、特に自分の健康に自信が無いというような人が、年金を貰う前に死んでしまうかもしれないという不安を持たれます。
 
 
なので、できるだけ早く年金を貰いたいという人もいます。
 
 
近い将来は完全に65歳に引き上がりますが、年金制度の中には60歳以上になれば本来の年金支給開始年齢が到達していなくても、いつでも年金が請求できるものがあります。
 
それが年金の繰上げ。
 
 
年金の繰上げというのは、その名の通り前倒しで年金を貰う事であり、その分のペナルティとして年金は一定の減額がなされます。
 
1ヵ月早く貰うごとに0.5%減額されます。
 
ちなみに令和4年4月以降の新規請求から0.4%減額に緩和されます。
 
 
65歳から60歳までの60ヵ月早めるのであれば、60ヵ月×0.5%=30%減額となります。
この減額は一生ついて回るので、あまりお勧めするものではありません。
 
 
しかしながら、先ほども申し上げたように、自分自身の健康などに自信が無いとかそういう方はそんなペナルティがあっても構わないと言われます。
 
年金が減額されますよって言っても、そこは受給者の方の意思を尊重しなければいけません。
 
 
ところで、年金には老齢以外の年金もありますが、年金の繰上げをする時に自分だけの寿命だけでなく、配偶者の方が亡くなられた場合も想定する必要があります。
 
 
それはどういう事か見ていきましょう。
 
 
1.昭和35年7月5日生まれの女性(今は60歳)
 ・(令和2年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12563651891.html

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12564534484.html

 
 
 
20歳になる昭和55年7月から昭和56年3月までの9ヶ月間は短期大学に通っていたので、国民年金には加入する必要が無く、国民年金には任意の加入だった。
任意加入はしていたが結局9ヵ月未納にした(この任意加入の未納は平成26年4月からはカラ期間として扱う事になった)。
 
昭和56年4月からは民間企業にて、昭和63年1月までの82ヶ月間は厚生年金に加入。
この間の平均給与(平均標準報酬月額)は17万円とします。
 
昭和63年2月から平成2年8月までの31ヶ月間は国民年金全額免除(老齢基礎年金の3分の1に反映)。
 
 
平成2年9月に2歳年上のサラリーマンの夫と婚姻したので、市役所に国民年金第三号被保険者の申請に行き(平成14年3月31日までの場合は夫の会社経由ではなかった)、国民年金第三号被保険者として60歳前月の令和2年6月までの358ヶ月間国民年金保険料納付済み扱いとなる。
 
 
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さて、この女性の支給開始年齢はというと、厚生年金は62歳(令和4年7月)から、国民年金からの老齢基礎年金は65歳(令和7年7月)からです。
 
まだ…2年くらいは待たないといけないですね。
 
とりあえず、厚生年金と基礎年金の金額を算出します。
 
 
・62歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→17万円×7.125÷1000×82ヵ月=99,323円
 
・65歳からの老齢基礎年金→781,700円÷480ヵ月×(82ヵ月+31ヵ月÷3+358ヵ月)=781,700円÷480ヵ月×450.333ヵ月=733,386円
 
この女性はここ数年、高血圧気味(上150の下90のほぼ中等症)であり、なんとなく体調を崩す事が多くなっていたため、もしかしたら年金を貰えないうちに万が一があったらという事を憂慮していた。
 
だからできるだけ早く貰えないだろうかという希望はあったが、年金事務所に行くと年金の繰上げの事を知る。
 
 
注意事項の説明を聞き、しばらく内容を自宅で検討した結果、繰上げをやる事に決めた。
 
 
令和3年1月中に年金の繰上げ請求を行う。
 
 
 
老齢厚生年金は62歳の前月である令和4年6月より、18ヵ月早く貰うので18ヵ月×0.5%=9%減額となる。
そうすると99,323円×91%=90,384円
 
老齢基礎年金は令和7年6月までの54ヵ月早く貰うので、54ヵ月×0.5%=27%減額。
なので733,386円×73%=535,372円
 
※注意
差額加算は微額のため、今回は省いています。
 
よって、令和3年1月の翌月分から年金総額は繰上げ老齢厚生年金90,384円+繰上げ老齢基礎年金535,372円=625,756円(月額52,146円)
 
 
年金総額は20万円ほど減ってしまったが、年金が貰えるなら本望とした。
 
 
その後、令和3年8月に夫が病で急死したため、夫の遺族厚生年金を請求という事になった。
遺族厚生年金総額は年額120万円(中高齢寡婦加算年額586,300円込みとする)だった。
 
繰上げた老齢の年金と、遺族厚生年金は65歳前の場合は同時には貰う事が出来ず、どちらか選択だった。
もちろん金額は遺族厚生年金が遥かに多いので遺族年金を選択する。
 
 
せっかく老齢の年金を20万円も減額してまで、繰上げて貰う事にしたのに遺族厚生年金が発生してしまうと年金を減額しただけの損な事をしてしまった。
年金の繰上げをやや後悔したが、請求したものはもう撤回できないし、一生減額されたままとなる。
 
 
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その後、65歳を迎えると老齢の年金と遺族厚生年金は同時に貰う事が出来るようになる。
 
 
65歳になると遺族厚生年金から中高齢寡婦加算586,300円は消滅するため、遺族厚生年金総額は613,700円となる。
さらに、遺族厚生年金613,700円からこの女性の老齢厚生年金90,384円を引くため、65歳からの遺族厚生年金は523,316円となる。
 
 
よって、65歳からの年金総額は遺族厚生年金523,316円+繰上げ老齢厚生年金90,384円+繰上げ老齢基礎年金535,372円=1,149,072円(月額95,756円)となる。
 
 
年金の繰上げをしていなかったら更に20万円ほど高かったんですが、そこはもう仕方ありません。
 
 
なので、配偶者が将来亡くなった場合に遺族年金が発生する事も頭に入れて、年金の繰上げを考えておいたほうがいいですね。
 
 
※追記
他に給付があるとすれば、年金生活者支援給付金がある。
 
遺族年金を除く老齢の年金収入が779,900円(令和2年度収入基準)未満なので、年金生活者支援給付金が貰える。
 
 
・年金生活者支援給付金→5,030円(保険料納付済期間の基準額)÷480ヵ月×(82ヵ月+358ヵ月)+10,856円(免除期間の基準額)÷480ヵ月×31ヵ月=4,611円+701円=5,312円(年額63,744円)
 
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7月22日第147号は「失業手当と年金が同時に貰える計算事例と、65歳前の特老厚と失業手当も同時に貰ったような形になるお得ケース」

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6月17日の第142号.子への養育費が遺族年金を停止させてしまう事例と、親族との養子縁組。」を発行しました。
 
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