こんにちはー
年金アドバイザーのhirokiです。
65歳になると生計維持してる配偶者が居ると配偶者加給年金が付く事があります。
生計維持というのは今までも申し上げてきたように、扶養してるとかそういう意味ではなくて、簡単に言えば同居してる配偶者の年齢が65歳未満で配偶者の年収が850万円未満という意味です。
あんまり扶養とかいう意味ではないですね。
ちなみにこの850万円という基準の根拠は、日本の上位10%以内の収入です。
だから、よっぽど収入が高くないと配偶者加給年金が加算されないという事は無いです。
それだけを考慮するならば。
しかし、たとえば夫(妻でも構わない)に配偶者加給年金が付いていたけど、妻(夫でも構わない)が老齢厚生年金を貰い始めたとします。
ここでも注意が必要です。
妻が20年以上の厚生年金記録のある(共済組合期間含む)老齢厚生年金を貰い始めると加給年金は全額停止します。
20年以上あるとどうして配偶者加給年金を停止するのかというと、20年以上あるなら一人前の年金が貰えるから、配偶者用の手当ては必要ないとみなされるからです。
なぜ20年以上を基準にしてるかというと、昔の昭和61年3月までの制度は厚生年金は20年以上の記録を満たせば貰えるという制度でした。
20年に足りなければ1円も支給はせず、20年で厚生年金から老齢の年金が貰えるというものでした。
その名残ですね。
もちろんそれだと掛け捨ての人だらけになってしまうので、昭和36年4月に国民年金が施行された時に国年や共済の期間も合わせて20年または25年以上を満たせば加入期間分の年金は出しましょうという事にはなっていました。
たとえば、国年8年、厚年6年、共済11年あればそれぞれから加入した分くらいは出すという事ですね。
昭和61年3月までは制度がみんな独立してたから、国年からは8年出して、厚年から6年出して、共済からは11年出すよっていうものでした。
それぞれの期間を通算して支給するから通算年金と呼ばれていました。
わざわざそのように期間を繋ぎ合わせていましたが、昭和61年4月からはすべての人が国民年金に加入して国民年金の被保険者になった上で、国民年金の上に厚年や共済が支給されるという形になりました。
たとえば国年8年、厚年6年、共済11年ならば、国年から25年分の年金を出して、6年分の厚年、11年分の共済を出すという事ですね。
現在がその形。
昭和61年4月以降に年金を貰う人は原則としてその貰い方がベースとなった。
厚年や共済に加入していたとしても、国民年金に同時に加入してるからそういう期間の数え方になるわけです。
さて、妻が20年以上の厚年の年金を貰い始めたら、夫の配偶者加給年金は全額停止しますが、いつ停止するのかは把握しておく必要があります。
1.昭和30年5月12日生まれの夫(今は65歳)
・(令和2年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12563651891.html
・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12564534484.html
65歳からは老齢厚生年金100万円
老齢基礎年金78万円
配偶者加給年金390,900円
年金総額は2,170,900円(月額180,908円)
偶数月に361,816円振込とします。
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2.昭和34年3月1日生まれの妻(今は61歳)
(誕生日の前日に新しい年齢に到達するので、2月28日に61歳となった。2月29日のうるう年の年は2月29日が新しい年齢の到達日となる)
20歳になる昭和54年2月から昭和59年8月までの67ヶ月間はブラジルに住んでおり(一応日本国籍)、国民年金には加入できなかった。
外国にいる間は、昭和61年3月までの期間は日本の国民年金には任意でも加入できなかった。
ただし、この67ヶ月間は年金受給資格期間の最低10年の期間に含めるカラ期間にはなる。
昭和61年4月以降は外国に在住期間も国民年金に任意で加入する事が出来るようになった。
日本に帰国して日本に住所が移ったので昭和59年9月から昭和62年7月までの35ヶ月間は国民年金に強制加入となり、保険料を納める。
昭和62年8月から平成13年3月までの164ヶ月間は国家公務員共済組合に加入する。
なお、この間の平均給与(平均標準報酬月額)は38万円とする。
平成13年4月からは退職し、平成17年10月までの55ヶ月間は夫の扶養に入って国民年金第三号被保険者となる。
平成17年11月から60歳前月の平成31年1月までの159ヶ月間は民間企業に就職して厚生年金に加入する。
この間の平均標準報酬額は30万円とします。
※注意
3月1日生まれは2月28日に新しい年齢を迎え、2月が誕生月となる。
60歳誕生月は2月なので、60歳誕生月の前月は1月(ここまでが国民年金強制加入)。
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さて、この妻は生年月日を見ると厚生年金を61歳(令和2年2月)から、共済組合からの厚生年金は63歳(令和4年2月)から支給されます。
厚年と共済からの厚年の支給開始年齢が違いますが、それぞれの支給開始年齢の3か月前に年金請求書が送られてくる。
女子の厚生年金の場合は支給開始年齢が前後するので気を付けなければならない。
・61歳からの日本年金機構からの老齢厚生年金→30万円×5.481÷1000×159ヵ月=261,444円
そういえば、民間からの厚生年金159ヵ月と共済組合からの厚生年金164ヵ月で、厚生年金の合計323ヵ月となり、20年以上の期間の厚生年金を貰えるようになる。
となると夫に付いてる配偶者加給年金は妻の61歳時点で全額停止してしまうのかというと、停止はしない。
あくまでまだ159ヶ月分の厚生年金だから。
そうなると63歳(令和4年2月)になるとどうなのか。
63歳になる3か月前に共済から年金請求書が送られてきて、また請求をする事になる。
・63歳からの共済からの老齢厚生年金→38万円×7.125÷1000×164ヵ月=444,030円
・63歳からの共済からの旧職域加算→38万円×0.713÷1000×164ヵ月=44,434円
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※注意
0.713という数値は7.125の10%を示す。
共済の期間が20年未満の人は10%になり、20年以上の人は20%になる。
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よって、63歳からの妻の老齢厚生年金の合計額は日本年金機構からの厚年261,444円+共済からの厚年444,030円+44,434円=749,908(月額62,492円)
妻が63歳になった時に、夫の年金総額2,170,900円+妻の年金総額749,908円=2,920,808円となる。
しかし、妻は63歳で全体で20年以上の厚生年金323ヶ月分貰うから、共済の受給権が発生する令和4年2月の翌月である令和4年3月分の夫の配偶者加給年金から全額停止となる。
なので、令和4年3月分から夫の年金は2,170,900円ー390,900円=178万円となる。
妻の年金749,908円と合わせると、2,529,908円。
さて、妻が65歳になるのは令和6年2月ですが、妻自身の老齢基礎年金が発生する。
・65歳からの老齢基礎年金→781,700円÷480ヵ月×413ヵ月(←20歳から60歳までの期間。カラ期間67ヵ月除く)=672,588円
よって、妻の65歳からの年金総額は老齢厚生年金749,908円+老齢基礎年金672,588円=1,422,496円
夫婦合計の年金総額は夫178万円+妻1,422,496円=3,202,496円(月額266,874円)
※追記
この妻は3月1日生まれなので、新しい年齢は前日の2月28日に迎える。
なので2月が誕生月という事になる。
61歳は令和2年2月28日に迎えるので、2月に受給権が発生して、その翌月の3月分から年金が発生する。
逆に3月2日生まれの人は3月1日に年齢到達するので3月が誕生月となり、その翌月の4月分から年金が発生する。
その月の1日生まれの人は1ヵ月年金がズレるので注意。
なんだか1日生まれの人は得してるようですが、3月1日生まれの人は2月が誕生月なので、2月分から年金保険料支払う義務が生じるけども、3月2日生まれの人は3月が誕生月なので3月分から年金保険料支払い義務が生じる。
あと、年金請求書は誕生月の3か月前に緑の封書で送られてきますが、たとえば5月生まれの人は2月に送られてくる。
しかし、5月1日生まれの人は4月30日の4月が誕生月なので、4月の3か月前の1月に年金請求書が送られてくるというズレもある。
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