低年金者向けに支給される年金生活者支援給付金の所得基準額の変更と、改正による給付変化の計算事例。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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こんばんは。
年金アドバイザーのhirokiです。

 

 

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こちらではその前半部分です。
 
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令和元年10月分から消費税が10%に上がった事により、低年金者を対象に年金生活者支援給付金というものが始まりました。


消費税の増税は全員が平等の消費税を納めますが、低所得者層に対しては税金負担の重みが増す税金です。


それを「逆進性が強まる」と言います。



たとえば、年収1000万円の人が消費税を10万円納めるのはそう負担感はありませんよね。
しかし、同じ商品を年収100万円の人が10万円の消費税を支払うというのはかなりの負担を感じます。

なので消費者がモノを買わなくなるので景気が悪くなるリスクがある。


低所得者層にとっては負担感が増すので、消費税は不公平な感じはしますが、所得税のように所得が高い人ほど多くの税金を納める累進課税もあるので、高所得者からしたら所得税は不公平ですよね。


所得が高い人ほど所得税を多くとって、所得が低い人との所得格差を小さくして公平性を図りながら(垂直的公平性)、全員から一定率の消費税を取って水平的な公平性を図る。


しかしながら、所得税は完璧な所得状況を把握できてない事も世間では多いので、完全な所得税が取れていないという不公平があり、消費税に関してはさっきの逆進性が強いという問題を孕んでいる。


逆進性が強い消費税を上げると消費が冷えてしまう(何か買うのを我慢する)ので、その対策として低年金者への上乗せ給付としての給付金が始まった。


なお、年金生活者支援給付金は今まで国民年金保険料を納めてきた期間や免除期間により金額は異なります。



多くて月5,000円ほど貰えますが、人によって保険料を納めた期間がバラバラなので、それは個人個人の記録で計算してみないとわからない。


さて、低年金であると誰もが貰えるというわけではなく、税金から支給するので支給する際は制限が設けられている。



65歳以上の人で、前年所得や前年の公的年金収入の合計によって、更には住民税非課税世帯かどうかで支給するかどうか決める。

令和元年10月から始まった時点では、前年所得+前年の公的年金収入(遺族年金や障害年金などの非課税年金は除く)≦779,300円となっている。



たとえば、前年所得が10万円+老齢の年金が60万円なら、779,300円以内なので支給される人となる(住民税非課税世帯として)。


ちなみにこの779,300円という所得基準は毎年度変わる。

毎年8月1日時点でその所得基準額が変わる。



それにしても、この779,300円という金額はどっかで見た事ある人もいるかもしれませんね^^;
まあ…長い間私の記事をお読みくださってる方はご存知かもしれませんが、老齢基礎年金の満額です。



平成30年度の老齢基礎年金満額は779,300円でした。


だから、平成30年の翌年の令和元年度に年金生活者支援給付金を始めた際の所得基準額として使ったのかと思いますよね。

老齢基礎年金の満額を基準にしてるのかと思います。


だから、令和2年度の所得基準額は令和元年度の老齢基礎年金満額が780,100円だったから、令和2年8月1日には780,100円になるのかと思ってしまいますよね。


ところが、令和2年度の所得基準は779,900円となります。


物価や賃金の変動率を使ったのかというとそうではなく、「老齢基礎年金の額を勘案して政令で定める」という事になっています。

老齢基礎年金の額をそのまま使うわけではないという事ですね。



じゃあ、どっから779,900円という数字が出てきたのか。



所得基準は前年のを使いますので、そこに老齢基礎年金の額を勘案します。


令和元年度(平成31年)の1月から3月までは老齢基礎年金満額は779,300円でしたが、令和元年4月から12月までは老齢基礎年金満額は780,100円になりました。


という事は平均すると、(779,300円×3ヵ月+780,100円×9ヶ月)÷12ヵ月=(2,337,900円+7,020,900円)÷12=779,900円となったわけです。


だから、令和2年度は前年所得+前年公的年金収入の合計が779,900円以内に収まる人に対して、年金生活者支援給付金が支給される。


もし、所得オーバーなどで年金生活者支援給付金を停止する場合は、令和2年8月分から令和3年7月分までが停止となる。



じゃあ、令和3年度の所得基準はいくらかという事も推測できますよね。


令和2年1月から3月までは780,100円で、令和2年4月からは781,700円になり、令和2年12月までは781,700円になる。


そうすると(780,100円×3ヵ月+781,700円×9ヵ月)÷12=781,300円という事になりそうですね^^



それにしてもいきなり、所得がオーバーしたからって急に全額停止というのも変化が大きすぎるので、補足的に879,900円までは給付金が支給される。



このように説明だけだとわかりにくいと思いますので全体的な事例計算をしていきます。
ちなみに令和3年度からは支払いのサイクルが変化しますので、その辺も加味して支払い額を考えていきます。
 
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6月1日の有料版号外は「低年金者向けに支給される年金生活者支援給付金の所得基準額の変更と、改正による給付変化の計算事例」

6月3日の第140号は「過去に旧国鉄共済組合が年金財政危機に陥った理由と、厚生年金に統合された歴史」

6月10日の第141号は、「よくある年金を担保に融資を受ける受給者と、障害年金の加給年金はやや特殊」を予定。

6月17日の第142号は、「子への養育費が遺族年金を停止させてしまう事例と、親族との養子縁組」を予定。

6月24日の第143号は「年金積立金が減ると年金が支給されなくなるという誤解と積立金の歴史」を予定。


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