災害を受けた場合に使える国民年金保険料の災害特例免除。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
ここ数年は日本は風水害の甚大な災害を受けており、あらためて自然災害の怖さというものを感じています。
 
最近だと台風15号による千葉での甚大な災害、台風19号による関東の広範囲の甚大な災害。
 
 
都会だからきっと頑丈なイメージがあったのですが、とんでもない被害でしたよね…。
 
 
さて、そういう甚大な被害を受けると各公的な料金の支払いどころではなくなる事があります。
 
日々の生活も困難になるのにそんな保険料やら何やらの支払いまでできなくなってしまいますよね。
 
 
そこで、国民年金保険料については、災害を受けた場合の免除制度があります。
 
 
災害特例免除という保険料の全額免除制度。
 
 
 
被災した月の前月分から、最大翌々年6月まで全額免除にする事ができる。
 
 
たとえば2019年10月の台風19号による関東での災害の場合は、前月の2019年9月分以降を全額免除とする事ができる。
 
 
年金事務所や市役所に被災状況届というものが置いてあるので、それを書いて申請する。
市役所が発行する罹災証明書でもいいです。
 
なお、災害を受ければ必ず免除にしてもらえるわけではなく、住宅、家財などの財産についておおむね2分の1以上の被害を受けた場合です。
 

すべての財産の2分の1以上の災害を受けてる必要があるわけではなく、最も被害を受けた財産について2分の1以上被害を受けたかどうかが審査の対象となる。
 
 
ちなみに災害特例免除を受けなくても、一般的な申請免除が国民年金保険料には用意されている。
 
 
ただし、一般的な申請免除は前年の所得によって今年度の保険料を免除するかを判定するので、前年の所得が免除基準以上だと免除が受けれない事がある。
 

免除は前年の所得で審査して、今年7月分から翌年6月分までの保険料を免除する(1月から6月分の免除は前々年の所得)
 
もし、平成30年中の所得が高くて、今年7月以降の免除が通らなかったとします。
 
免除にならなかったから保険料を払わなければならないにもかかわらず、災害で財産に大きな被害を受けた人には困りますよね。
 
だから特例が設けられています。
 
 
これは退職時なんかもそう。
 
退職したら収入が無くなってしまうから国民年金保険料免除したいのに、前年所得が高くて免除が通らないとかですね。
もちろん退職時の特例免除というのもある。
 
 
というわけで、今回は災害特例免除を見ていきましょう。
 
 
 
1.昭和46年12月13日生まれの男性(今は47歳)


20歳になる平成3年12月から平成6年3月までの28ヵ月は学生として、学生免除による全額免除を申請した。
この28ヶ月間は将来の老齢基礎年金の3分の1に反映。
 
なお、今学生に使われている学生納付特例免除は平成12年4月以降の制度(こちらは老齢基礎年金額には反映しない)。

 
平成6年4月から平成14年7月までの100ヶ月間は民間企業で厚生年金加入。
この期間の平均標準報酬月額は34万円とします。
 
なお、平成7年1月17日に阪神淡路大震災の被害を受けた。

 
一定の被害を受けたが、厚生年金保険料の災害による免除は無い(育休による厚生年金保険料免除はあった。育休免除は平成7年4月から)。
 
 
その後関東に引っ越して、平成14年8月から自営業で、令和元年7月分までの204ヶ月分は毎月国民年金保険料を翌月末期限で納めていた。
令和元年9月の台風15号により、家がほぼ全損した。
 
 
国民年金保険料を納める事が非常に困難になった。
 

前年の平成30年中の所得は800万円だったので一般的な国民年金保険料免除は使えない基準。
 
 
ただし、災害により家が2分の1以上の被害を受けたので国民年金保険料の災害特例免除が使える。
 
 
市役所の国民年金課で被災状況届とともに免除申請した。
なお、免除申請後は結果が出るまで3ヵ月ほどかかるので、その間送られてくる納付書は保管する。

 
被害を受けた月の前月である令和元年8月から令和2年6月までの11ヵ月が全額免除となった(この全額免除は老齢基礎年金の2分の1に反映)。
 
 
しかし、令和2年7月以降も災害特例免除を引き続き再申請して令和3年6月までの12ヶ月間を全額免除とした。
 
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※注意
免除期間中に厚年に加入したり、三号被保険者になったら厚年等の期間になる。
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令和3年7月からは再び国民年金保険料を納付し、60歳前月の令和13年11月までの125ヶ月間納付済みとします。
 
 
 
65歳からの老齢厚生年金と老齢基礎年金を算出する(経過的加算は省きます)。
 
 
老齢厚生年金→34万円×7.125÷1000×100ヵ月=242,250円
 
老齢基礎年金→780,100円(令和元年度満額)÷480ヵ月×(学生免除28ヶ月間÷3+厚年期間100ヵ月+災害特例免除23ヵ月÷2+保険料納付済み329ヵ月)780,100円(令和元年度満額)÷480ヵ月×449.833ヵ月731,072円
 
 
よって65歳からの合計年金額は老齢厚生年金242,250円+老齢基礎年金731,072円=973,322円(月額81,110円)
 
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