10月の年金振込額は標準報酬月額の変更で低くなる場合がある。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
今日の本題は去年の記事をやや加筆して再投稿したものです。
 
 
先月、財政検証による将来の年金財政の見通しが発表されました。

それにより、所得代替率(男子平均賃金に対して夫婦の年金がいくらか)が30年後には20%目減り!とか、
積立金が無くなって所得代替率が36~38%くらいになるという部分が強調されてますよね。
それで世間が怒り心頭だと。

しかも参議院選挙後に発表なんてずるい!と。


その結果が今回初めて発表されたみたいな雰囲気になってますが、所得代替率を60%台から50%に引き下げて20%ほど目減りまでもっていく目標は平成16年改正の時にすでに発表されていた事であります。

平成16年の時に年金は抜本的な改革により大きな転換をしたのであります。


今までの記事でもちょくちょく50%を目指してる事を書いてきましたが、なぜそういう事をしようとしてるのかを知っておかないと、
財政検証がされるたびに「50%まで下がってしまう事見通しに!20%目減り!」みたいな事で世間は騒ぎながら毎回茶番を繰り返す事になる。

36%~38%というのもあくまで経済成長しないどころかマイナスの場合の仮定としてです。

とはいえ所得代替率というのもあくまでモデルなので、人それぞれ年金保険料を納めてきた期間や保険料額によって様々であり、年金相談現場で所得代替率とか世間の人々はほぼ誰も気にしません。
心配はされるけど、なんとなく心配なものであろうという認識。



そんな事より自分の年金の事で皆さん頭いっぱいなので、社会のマクロ的な視点と個人のミクロ的な視点では大きな乖離があります。

少子高齢化で大変だよね、でもそれより今の私の年金はどうしてこの金額なの?貰えるの?とかですね。

前置き長くなってしまったんですが、9月11日からの有料メルマガは予定を変更して3回に分けて、財政検証の前にやっていた財政再計算の時代の歴史(9月11日)と、平成21年平成26年財政再検証(9月18日)、今回の財政再検証(こちらは号外で発行します)についてお話していきたいと思います。

どうしてそういう事をしようとして、今までどうだったのかを知る必要があります。


9月11日の102号は「年金財政検証の前に5年毎に行われていた年金の財政再計算の歴史の流れ」

平成16年に年金の大転換が行われるまでの流れを掴んでほしいと思います。

毎週水曜日20時に有料メルマガ発行(たまに号外あり)。
・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(月額756円税込で登録初月無料)

https://www.mag2.com/m/0001680886.html

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では本題です!
 
10月の年金振り込みは何かと金額が変わりやすい時期であります。
 
 
また、厚生年金に加入してる人は10月の給与天引き保険料額が変わったりします。
 
10月の給与明細見るとショボーン…となるのはこのためです(笑)
 
 
なお、年金額が変わったり保険料額が変わるのは、9月に標準報酬月額の変更が行われるから(もちろん変わらない人もいる)。
 
 
10月の給与から天引きされてる保険料は前月の9月分。
 
 
保険料は原則として前月分の保険料を当月の給与から天引きする。
 
 
そして厚生年金に加入して働きながら年金(老齢厚生年金の事)貰ってる人は、この標準報酬月額が高くなったりすると一ヶ月分の年金額と直近一年に貰った賞与を12で割った額の合計額によっては年金に停止がかかる在職老齢年金制度があります
 
 
 
なぜ、標準報酬月額が9月に変動するのかというと、標準報酬月額というのは今年4,5,6月に支給された給与(報酬)の総額を平均したものを標準報酬月額表というものに当てはめて新しい標準報酬月額を決め、9月から適用して翌年8月までその新しい標準報酬月額が続く。
 
 
たとえば、4月に458,765円、5月に486,493円、6月に427,000円支給されたとします。
 
 
となると458,765円+486,493円+427,000円=1,372,258円
 
 
1,372,258円÷3ヶ月=457,419円という平均の金額が出ました。
 
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※注意
一応、給与という表現にしてますが、単に給料だけでなく金銭や現物とかでも労働の対象として支給されるもの全てを含むから「報酬」という。
手当とか定期券みたいなものもすべて含む。
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これを標準報酬月額表に当てはめる。
 
 
とすると、標準報酬月額が47万円になりました。
 
 
この標準報酬月額47万円を9月から用いて、この47万円に厚生年金保険料18.3%の半分9.15%をかけて天引きしていく。
 
つまり47万円×9.15%=43,005円
 
 
何で半分の9.15%でいいのキョロキョロ?って話ですが、それは会社と従業員で半分ずつ(折半)支払うから
会社も同じ額の保険料支払ってるわけですね。
 
 
本当だったら86,010円も保険料支払わなくちゃいけないけど、会社が半分支払ってるから負担が軽くなってる。
 
 
ちなみに健康保険料や40歳以上65歳未満の人の介護保険料も会社が半分負担してる。
雇用保険はやや会社が多く支払ってる。
 
労災保険は会社が全額保険料負担。
 
 
うちの会社の給料安くてさあチューって嘆く人は多いですが、会社としては給与という人件費だけでなく他に様々な費用(保険料に限らず)を負担してくれているのでたまには社長に感謝しましょう(笑)。
 
余談ですが、給料が毎月自動的に入ってくる事はとても有り難い事に気づきましょう^^
 
 
なお、基本的には標準報酬月額はそんな感じで9月から変更になりますが、業務の性質上例年4月から6月の給与額が他の月に比べて著しく変動するような場合は普通に4月、5月、6月の給与(報酬)を使ったら困りますよね。
 
 
そういう場合は過去一年(6月から前年7月)の月平均給与(報酬)と、4月から6月までの平均額との間に2等級以上の標準報酬月額の差が出たら、過去一年の平均額を標準報酬月額に用いる。
 
 
たとえば、業務上の性質上すごく働かざるを得ずにさっきの3ヶ月平均が47万円だったけど、1年平均したら41万円だったとすれば41万円が標準報酬月額になる。
 
 
というわけで、標準報酬月額が変わって年金振込額が変わる場合を見てみましょう。
 
 
1.昭和32年7月27日生まれの女性(今は62歳)
 
現在は90万円(月額75,000円)の老齢厚生年金を60歳支給開始年齢から受給。
 
 
また、本来は65歳から貰うはずの老齢基礎年金700,000円を60歳7ヶ月の時に年金の繰上げを請求して支給され始めた。
 
 
53ヶ月早く老齢基礎年金を貰うから、53ヶ月×0.5%=26.5%減額
 
よって70万円×(100-26.5)%=514,500円(月額42,875円)の繰上げ老齢基礎年金が支給されている
 
 
なお、現在は給与195,000円(標準報酬月額20万円)で60歳以降も厚生年金に加入しながら継続雇用中。
賞与は過去一年に貰ってない。
 
毎月支払ってる厚生年金保険料は20万円×9.15%=18,300円
 
 
また、年金を貰いながら厚生年金に加入して働くと、年金額が停止される場合がある。
 
 
停止がかかるか算出。
 
 
年金停止額→標準報酬月額20万円+年金月額75,000円<停止調整開始額28万円だから停止は今のところかかってない。
 
つまり標準報酬月額と過去1年以内に貰った賞与を月額に直した額と、年金月額の合計が28万円以内に収まれば、年金が停止されることは無い。
 
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※注意
年金月額は老齢厚生年金のみ。
繰上げ支給されてる老齢基礎年金は含まない。
それと、障害年金や遺族年金のような非課税年金も含まない。
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しかし、この女性の給与(報酬)が4月215,000円、5月222,000円に上がった。残業が多かった。
 
あと6月は20万円だったが、休みが多すぎて労働日数17日未満(支払基礎日数という)だったので6月は対象外。
 
 
つまり215,000円+222,000円=437,000円を2ヶ月で割って平均する。
 
 
437,000円÷2ヶ月=218,500円となった。
 
標準報酬月額に直すと22万円になる。
 
今年9月から標準報酬月額22万円に引き上げ。
 
 
そうすると、10月の給与からの厚生年金保険料は22万円×9.15%=20,130円に引き上がる。
 
 
また、9月からの標準報酬月額が20万円から22万円に引き上がったから年金停止額にも影響してくる。
 
 
年金停止額→{(標準報酬月額22万円+年金月額75,000円)-28万円}÷2=7,500円(毎月の年金停止額)
 
 
つまり毎月75,000円の老齢厚生年金だったのが、7,500円停止して67,500円に下がってしまう。
 
 
 
さて、年金というのは偶数月に前2ヶ月分を支払いますよね。
 
 
10月15日支払だったら8月、9月分の年金。
 
 
今まで月75,000円×2ヶ月=15万円の老齢厚生年金支給だったのが、9月分から月年金額67,500円になってしまった。
 
 
という事は8月分は75,000円で、9月分は67,500円になるので10月15日振込は142,500円に変わってしまうという事ですね。
 
 
次の年金振り込み月の12月15日になると10月分67,500円と11月分67,500円になるから135,000円になる。
 
 
 
なお、老齢基礎年金514,500円(月額42,875円で2ヶ月分だと85,750円)は停止されないので、そのまま偶数月に85,750円が振り込まれる。
 
 
10月15日年金振込額は老齢厚生年金142,500円+繰上げ老齢基礎年金85,750円を合わせて228,250円が振り込まれる。
 
 
なお、厚生年金加入から外れると停止は完全に無くなる。
 
 
それでは今日はこの辺で!
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ここだけのオリジナルの濃い内容です。


9月11日の第102号は「年金財政検証の前に5年毎に行われていた年金の財政再計算の歴史の流れ」。

9月18日の第103号は「平成21年、平成26年財政検証とマクロ経済スライドによる年金価値の下落」。

号外で「令和元年年金財政検証と年金給付を高める改正による将来の5つの試算」。

9月25日の第104号は「同じ遺族厚生年金を貰ってるはずなのにその内訳が全く違うのはなぜなのか」

9月4日に第101号「離婚分割で配偶者から貰える老齢厚生年金の計算と、過去の忘れた年金記録の復活」を発行しました。



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