70歳以上でも高額な報酬で働く人の年金は停止はされても年金が増えるメリットは無い。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

おはようございます。
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
この間アメンバー記事出したんですが、書いた後も複数回いじってしまっていたので、もしかしたらアメンバー読者様に通知が何度も行ったかもしれません^^;

普通の記事を訂正したりしても通知はいかないんですが、確か…アメンバー記事は修正の度に通知が行ったような記憶があります。

そういえば何年か前に読者様からご指摘を受けたのを思い出しました。
 
今もそういう仕組みなんだろうか…
もし、通知が何度も行ってしまったなら、読者様にご迷惑をおかけして本当に申し訳ない事でございます(*_*)。
アメンバー記事の時は気を付けます。。
 

では本題です。
 
 
この間は65歳前で年金受給者であり、在職する(厚生年金に加入するという事)と年金が停止になる基本的な部分をお話をしました。
 
 
今回は65歳以上、更に70歳以上の場合を見ていきたいと思います。
 
 
70歳までの在職だと一応働いてきた分は年金が増えるメリットがあるんですが、70歳以降になると厚生年金には加入しません。
 
 
なのに、平成19年4月からは昭和12年4月2日以降生まれの人は70歳以降であっても厚生年金に加入できるくらいの働き方(健康保険に加入してる人とか)をすると老齢厚生年金を停止するという扱いになりました(平成27年10月からは昭和12年4月1日以前生まれの人も停止されるようになった)。
 
アメリカみたいに何千万円も貰うならまだしも、日本のように月40万円~50万円くらいの給与で70歳以上の人までも年金を停止するというのは正直どうなのかなとは思うんですけどね…。
 
 
まあとりあえず仕組みを見ていきましょう。
 
1.昭和25年5月6日生まれの男性(今は68歳)

 
※現在の年金と配偶者状況
老齢厚生年金(報酬比例部分)144万円(月額12万円)
老齢厚生年金(経過的加算)300円
老齢基礎年金78万円
配偶者加給年金390,100円
65歳時点で15歳下の生計維持してる妻あり(妻は昭和44年1月生まれ)。
 
 
20歳から60歳までの間は全て厚生年金期間だったとする。
60歳からも代表取締役社長として厚生年金に加入しながら働く。
 
 
65歳時に一旦、60歳以降働いた分の老齢厚生年金が加算されているものとします。
 
 
65歳以降の給与は100万円(標準報酬月額上限62万円)とします。
直近一年間に貰った賞与は7月と12月にそれぞれ600万円とし、合計1200万円。
ただし、賞与(標準賞与額)はどんなに貰っても一回の支給で150万円までが年金に反映される上限。
 
 
なので合計300万円となって、月換算すると25万円。
 
 
標準報酬月額と月換算した標準賞与額を合計したものを総報酬月額相当額という。
 
 
今、この男性は年金に停止がかかってますがどの程度停止されてるのか。
 
 
年金停止額→{(総報酬月額相当額87万円+報酬比例部分年金月額12万円)-停止基準額47万円=26万円
 
 
老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額が12万円だから、それに対して在職による月停止額が26万円だから12万円ー26万円=マイナス14万円となってしまうから、支払われる報酬比例部分は0円という事。
 
 
なお、老齢厚生年金(経過的加算)300円と、老齢基礎年金78万円は在職による停止は一切無い。
 
 
配偶者加給年金は報酬比例部分が全額停止になると、加給年金も全額停止になる。
 
報酬比例部分が1円でも支給されてれば配偶者加給年金は390,100円全額支給される。
 
 
 
つまり、この男性へ現在支給されている年金は、老齢厚生年金(経過的加算)300円+老齢基礎年金78万円=780,300円(月額65,025円)という事になる。
 
 
さて、70歳に到達(2020年→令和2年5月5日)すると、65歳から5年間(60ヶ月)働いた分の厚生年金が増える。
65歳から70歳までの報酬の平均をまず取ります。
(標準報酬月額62万円×60ヶ月+標準賞与額150万円×10回)÷60ヶ月=87万円
 
 
 
70歳の翌月から増える年金額(70歳到達時改定)→87万円÷1000×5.481×60ヶ月=286,108円
 
 
よって、70歳以降の年金総額自体は老齢厚生年金(報酬比例部分144万円+70歳改定による増額286,108円+経過的加算300円)+老齢基礎年金78万円+配偶者加給年金390,100円=2,896,508円(月額241,375円)と年金額が増える。
 
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※注意
経過的加算は厚生年金期間が既に480ヶ月あるので、増えない。
480ヶ月上限。
基礎年金も計算として使うのは原則として20歳から60歳までの国民年金強制加入の間だから、増えない。
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さて、この男性は70歳以降(令和2年5月以降)も働く予定ですが、70歳以降は月給与を45万円(標準報酬月額44万円)まで下がる事になった。
賞与は無しとします。
 
老齢厚生年金(報酬比例部分)の年額は1,726,108円(月額143,842円)。
 
 
70歳以降はもう厚生年金には加入しないですが、厚生年金に加入できるような働き方をすると年金は停止される。
 
 
でも給与も下がり、賞与も無くなったから停止額と支給される年金額にも変化が出てくる。
 
 
なお、直近1年間に貰った賞与(前年の令和元年7月と12月のそれぞれ標準賞与額150万円)が関係するので注意が必要。
標準賞与月換算25万円(←300万円÷12ヶ月)。
 
総報酬月額相当額は69万円(←44万円+25万円)。
 
 
70歳以降の年金停止額→{(総報酬月額相当額69万円+年金月額143,842円)-停止基準額47万円}÷2=停止額181,921>年金月額143,842円なので、支給される報酬比例部分は0円。
 
 
 
令和2年7月になると前年に貰った標準賞与額150万円が外れる。
 
となると月換算標準賞与額が125,000円になる(150万円÷12ヶ月)。
総報酬月額相当額は565,000円(44万円+125,000円)に変更になる。
 
 
令和2年7月からの年金停止額→{(総報酬月額相当額565,000円+年金月額143,842円)-停止基準額47万円}÷2=119,421円
 
 
年金月額143,842円ー停止額119,421円=24,421円となって、支給される報酬比例部分が発生してくる。
 
さらに、支給される報酬比例部分が出てきたので、全額停止されていた配偶者加給年金390,100円も支給される。
 
 
 
そして、令和2年12月になると直近1年間に貰った賞与が完全に外れるので、標準報酬月額44万円のみとなる。
 
 
令和2年12月からの年金停止額→{(総報酬月額相当額44万円+年金月額143,842円)-停止基準額47万円}÷2=56,921円
 
 
支給される報酬比例部分の年金額は143,842円ー停止額56,921円=86,921円となる。
 
 
その後、令和3年3月31日をもって完全に引退した。
 
 
退職日の翌月から完全に停止される年金は無くなる。
 
 
令和3年4月からの年金総額→老齢厚生年金(報酬比例部分1,726,108円+経過的加算300円)+配偶者加給年金390,100円+老齢基礎年金78万円=2,896,508円(月額241,375円)
 
ちなみに税金がかかりますが、この記事では計算は割愛。

 
70歳以降は厚生年金に加入できないので、年金総額は70歳時点とは変わらない。
 
 
だけど在職中は停止は発生するという事ですね^^;
 
 
※追記
配偶者である妻が65歳(令和16年1月)を迎えるとその翌月から配偶者加給年金は消滅する。
 
また、65歳以降に最大70歳まで年金を貰うのを遅らせて年金を増やす年金の繰下げがありますが、今記事のように年金が全額停止になる人は全く増えない。
加給年金はそもそも増やせない。
 
なお、経過的加算と老齢基礎年金は繰下げで増やせる。
 
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5月1日の第83号は「様々な年金制度を活用してきたけど年金額が低い夫婦と、年金生活者支援給付金の混合事例」
 

5月8日の第84号は「配偶者の継続雇用による在職老齢年金と、退職後の失業手当からの配偶者加給年金の重要事例」

 

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