老齢の年金を貰える人が、お体に持病などがある場合は大きく年金を増やす特例を使える可能性がある。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
いつも記事は早朝に書く事が多いのですが、今日はこんな時間帯から書き始めました^^;
やっぱり夜はもう疲れてるから記事を書くのは何かとしんどい!
集中力もそんなにないし、さすがに腰も痛くなるもん(笑)
 
もうブログとメルマガ合わせて2,000記事くらい書いてきたけど、1記事2~3時間はどうしてもかかるからですね…
いや、2~3時間なんて当たり前。
 

では本題です。
 
 
昔の厚生年金は「報酬比例部分+定額部分」という二つの年金を支給していました。
 
まあ、1階部分の土台として定額部分という加入期間に比例して皆同じ額を受給する年金と、2階部分に今までの報酬の違いで将来貰う年金の額が人それぞれ異なる報酬比例部分の年金ですね。
 
 
その形が昭和60年改正の時に廃止されて、今は「老齢厚生年金(報酬比例部分)+老齢基礎年金」の今の形になりました。
 
 
今の年金は65歳に向かって引き上がってる最中ですが、平成6年改正の時に男子は平成13年から平成25年にかけて、女子は平成18年から平成30年にかけて定額部分の年金の引き上げを完了しました。
 
 
さらに平成12年改正では今の報酬比例部分の年金が男子は平成25年から令和7年にかけて、女子は平成30年から令和12年にかけて60歳から1歳ずつ引き上げつつ65歳に向かう事になりました。
 
 
もともと厚生年金は60歳支給でしたが、昭和60年改正で老齢厚生年金と老齢基礎年金は65歳から支給するとなりました。
 
 
しかし、突然60歳支給だったものを65歳にすると急激な変化となってしまうので、完全に65歳になるまでは従来の「報酬比例部分+定額部分」の年金を65歳前に支給しながら徐々に引き上げるという形をとっています。
 
 
そのために、まだ完全に65歳支給というわけではないのです。
 
引き上げイメージはこんな感じです(いつもの年金機構の図)
 
 
さて、定額部分の年金は平成30年度(女子が昭和29年4月1日以前生まれ)をもって支給される人は通常の場合の原則としては居なくなりました。
 
これから年金請求という人は「報酬比例部分+定額部分」という形ではなく、「報酬比例部分」の年金のみという人がほとんどです。
 
 
だから、65歳からの年金はそこまで十分な年金額を貰う人はあまりいないですね。
 
 
厚生年金期間が少なかった人は特に。
 
 
平成6年改正の時に支給開始年齢引き上げが決まった時に、人生80年時代は60歳から65歳までは働きつつ一部の年金を貰うのが望ましいという事になった。
 
そして、65歳からは年金を中心に生活すると。
 
 
ちなみに、現在は65歳前から年金を請求できても報酬比例部分の年金のみ(男子は昭和24年4月2日以降、女子は昭和29年4月2日以降生まれの人)なのですが、障害者の方には特例(障害者特例)があります。
 
 
主に障害等級が3級以上(障害者手帳ではなく障害年金の等級範囲)に該当する人です。
 
 
障害等級が3級以上に該当する人は65歳前から、報酬比例部分のみの年金しかもらえなくてもオマケで定額部分の年金を支給する。
 
 
なお、障害年金を貰ってる必要はないです。
ただし、障害者特例は請求する必要があるので気を付ける必要があります。
 
よく障害年金と混同される人がいますが(紛らわしですもんね^^;)、障害年金ではなくて老齢厚生年金の特例になります。
 
 
おおむね下記の認定基準の状態の人が3級以上に該当しますので、年金請求の際は心当たりがある人は必ず確認してほしいところではあります。
 
 
じゃあどのくらい年金が増えるのかを見てみましょう。
 
 
1.昭和31年10月18日生まれの女性(今は62歳)
 
 
20歳になる昭和51年10月から昭和54年3月までの30ヶ月間は大学生だったので国民年金には強制加入ではなかったが、任意で加入する事ができた。
 
 
任意加入しなかったので30ヶ月間はカラ期間として、年金受給資格の最低10年以上の中に組み込む。
 
カラ期間は年金額には反映しない。
 
 
昭和54年4月から平成7年8月までの197ヶ月間は厚生年金に加入した。
なお、この期間の平均給与(平均標準報酬月額)は30万円とします。
 
 
平成7年9月から平成13年3月までの67ヶ月間は海外に居住した。
この期間は国民年金に強制加入ではないが、任意で加入する事ができたが任意加入しなかった。
 
こちらの期間もカラ期間になる。
 
 
平成14年4月に帰国して、国民年金に強制加入となるが平成17年6月までの39ヶ月間は国民年金半額免除を認められたが、半額免除なので残り半分の保険料を支払わなければならないのに時効の2年以内に払わなかった。
 
時効の2年以内に半額支払わなければ、単なる未納期間となってしまう。
 
 
ちなみに平成15年5月に視野の異常を感じて眼下に通院した。
その結果、眼圧が高くないのに症状が進行する正常眼圧緑内障と診断される。
 
 
それ以来、定期的に通院。
 
 
平成17年7月から再び厚生年金に加入して60歳を迎えて特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給権が発生した。
 
 
60歳前月の平成28年9月までの記録で60歳からの特別支給の老齢厚生年金(以下、老齢厚生年金と表記)を支給する。
 
 
なお、平成17年7月から平成28年9月までの135ヶ月間の平均標準報酬額(給与と賞与の合計額を月数で平均したも)は36万円とします。
 
 
60歳(平成28年10月の翌月)からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→30万円×7.125÷1000×197ヵ月+36万円×5.481÷1000×135ヵ月=421,087円+266,377円=687,464円(月額57,288円)
 
 
この年金を60歳から65歳までもらう事になるが、その後も継続して働く(賞与なしの給与22万円とする)。
 
 
老齢厚生年金を貰いながら在職(厚生年金に加入)すると、年金が停止される場合があるが年金月額と月給与(標準報酬月額)の合計が28万円以下なので停止される年金は無い。
 
 
さて、緑内障による視野障害があったために、老齢厚生年金を大幅に増やす障害者特例が使える事を年金事務所職員から案内されたが、厚生年金に引き続き加入してるのでできないと言われた。
 
 
障害等級3級以上に該当する事で老齢厚生年金を増やす障害特例は在職中(厚生年金加入中)はできない。
 
 
というわけで、63歳(令和元年10月)になるまで会社からの希望で働く事にした。
 
 
平成28年10月から令和元年10月31日退職までの37ヶ月間厚生年金に加入する。
 
 
 
令和元年11月分から37ヵ月働いた分が増える(退職改定)。
 
令和元年11月から老齢厚生年金(報酬比例部分)→687,464円+22万円×5.481÷1000×37ヵ月=732,079円(月額61,006円)
 
 
なお、退職したから障害者特例の請求が可能になった。
 
※補足
10月31日をもって退職してますが、退職日に請求する事ができない。
厚生年金資格を失う(喪失という)のは11月1日なので、その厚生年金の資格喪失をしないと請求ができない。
 
 
 
年金事務所専用の診断書に医師に記入してもらい、11月中に障害者特例を請求したので、その翌月の令和元年12月から定額部分の年金が報酬比例部分に加算される。
 
 
令和元年12月分から老齢厚生年金(定額部分)→1,626円(令和元年度定額単価)×369ヵ月(←197ヵ月+135ヵ月+37ヵ月)=599,994円
 
 
つまり、令和元年12月分の老齢厚生年金から、報酬比例部分732,079円+定額部分599,994円=1,332,073円(月額111,006円)に大幅アップ。
 
 
なお、この女性は厚生年金期間が240ヵ月あるので、障害者特例請求時点で65歳未満の生計維持してる配偶者(夫)が居れば、配偶者加給年金390,100円が付く場合がある。
 
普通は65歳から配偶者加給年金が加算されるものですが、定額部分が発生する事で配偶者加給年金もついてくる。
 
 
 
そして、令和3年10月になると65歳になって、国民年金(老齢基礎年金)の支給が始まるので年金の内訳もまた変わる。
 
この時に定額部分599,994円は消滅して、老齢基礎年金に移行する。
 
 
老齢基礎年金→780,100円÷480ヵ月×332ヵ月=539,569円
 
あれ?定額部分から老齢基礎年金に移行したら6万円くらい金額が減りましたよね^^;
 
 
でも大丈夫。
 
その差額を支払う。
 
 
老齢厚生年金(差額加算)→1,626×369ヵ月ー780,100円÷480ヵ月×332ヵ月(20歳から60歳までの厚生年金加入期間)=599,994円ー539,569円=60,425円
 
 
よって、65歳からの年金総額は、老齢厚生年金(報酬比例部分732,079円+差額加算60,425)+老齢基礎年金539,569円=1,332,073円(月額111,006円)
 
 
定額部分が消滅した事で年金の内訳は変わりましたけど、65歳前と65歳後での年金額が一致したので65歳前より損はしていない事になります。
 
 
もし、過去に国民年金保険料を支払った期間があるならその分増えますが、この女性は国民年金保険料支払った期間が無いチュー
 
 
というわけで、障害者特例というのは本来65歳からもらえる年金額が65歳前から前倒しで貰えるような仕組みなのであります。
 
だから、年金支給開始年齢が完全に65歳になる人(昭和36年4月2日以降生まれの男子、昭和41年4月2日生まれの女子)には障害者特例は使えなくなる。
 
※追記
65歳未満の人は年金額が108万円以上、65歳以上の人は158万円以上の人は所得税が課税対象になる。
 
 
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