厚生年金支給開始年齢が男女で5年の差がある理由(再)。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。

 

つい最近血液検査したんですが、結果を渡されて特に問題はありませんでした。

 

まあ…どうせ異常はないだろうとわかっていたので特に嬉しくもなんともなかったです^^;

逆に平凡な結果過ぎて面白くなかった(笑)

 

もちろん健康体でいるというのはありがたい事ではありますが…

 

やはりお酒を永久にやめただけで、ものすごく改善してしまうものですねニコニコ

 

 

では本題です。
今日はまた再周知内容です。
 
 
厚生年金支給開始年齢を見る時に、なんだか男子と女子では生年月日に5年の差がありますよね。
 
時々聞かれる疑問なんですが、なぜ女子のほうが5年の間、男子より有利な感じなんでしょうか。
 
 
男子の厚生年金は昭和36年4月2日以降生まれの人は完全に65歳支給になりますが、女子は5年遅れて昭和41年4月2日生まれの人から65歳支給になります。
 
 
だいぶ昔に遡るんですが、昭和29年厚生年金大改正の時に男子の厚生年金支給開始年齢は55歳から60歳に早々に引き上がりました
 
 
 
引き上がったといっても、支給開始年齢を引き上げる時は10~20年とかそういう長いスパンを掛けて引き上げます。
 
 
この時の男子は昭和32年から昭和48年にかけて引き上げました。
 
 
 
女子はそのまま55歳支給開始年齢だった。
 
本来なら、男子のほうが寿命が短いのに男子のほうを引き上げたのは、女子の厚生年金加入者自体が圧倒的に少なかったから。
 
また、一度結婚して家庭に入ると再就職なんて考えられない時代だった。
昭和というのはそういう時代。
 
だから制度上も過去に納めた厚生年金保険料を返すという制度もあった(脱退手当金という)。
 
image
 
また、年金支給開始年齢が55歳というのは平成6年の時に60歳未満の定年を禁止するまでは、55歳というのが定年だったから。
 
 
だから、雇用期間と合わせるために年金の支給開始年齢も55歳というようになっていた。
 
年金というのは雇用問題とは切っても切れない関係だと考えていい。
 
 
ただ、先ほども言ったように女子は厚生年金に加入して働く人は圧倒的に少なく、また、昭和61年3月31日以前の年金法は厚生年金期間は最低でも20年を満たさないと貰えない仕組みになっていた。
 
 
 
よって、女子は20年という厚生年金期間を満たすこと自体かなりの少数派だったので、そのまま55歳支給開始年齢とした。
厚生年金保険料も女子は男子よりも低かった。
 
 
しかし、昭和60年年金大改正(昭和61年4月施行)の時に、支給開始年齢や保険料の男女差を解消するために女子の支給開始年齢も引き上げる事にした。
 
男女雇用機会均等法が施行されたのも昭和61年4月の時だった。
 
 
 
この昭和60年改正の時に老齢基礎年金も老齢厚生年金も65歳から支給するという事が決まったが、実際の引き上げスケジュールは決まっていなかった。
 
 
ただ、女子の55歳支給開始年齢は引き上げとこうと、昭和63年度から昭和75年(平成12年)の12年かけて3年に1歳ずつ引き上げた。
 
昭和63年度~昭和65年度(平成2年度)→56歳
昭和66年度~昭和68年度(平成5年度)→57歳
昭和69年度~昭和71年度(平成8年度)→58歳
昭和72年度~昭和74年度(平成11年度)→59歳
昭和75年度(平成12年度)~→60歳
 
 
人生80年代に突入し、65歳までは労働と年金で生活し、65歳以降は年金で本格的に生活するという考えに立ち、平成6年改正の時に厚生年金の引き上げのスケジュールが決まった。
 
今の年金引き上げの元となったのは平成6年であります。
 
 
ちなみに、厚生年金というのは2階建ての仕組みになっていて、厚生年金=(1階部分の定額部分+2階部分の報酬比例部分)という形になっています。
 
 
 
 
平成6年の時に引き上げが決まったのは、まず1階部分の定額部分の年金のみだった。
 
 
この定額部分を男子は平成13年から平成25年の12年かけて引き上げ、女子は平成18年から平成30年の12年かけて引き上げた。
 
 
だから、女子の定額部分が完全に無くなるのは今年度って事ですね。
 
 
実際の引き上げに着手したのは平成13年です。
 
 
でも女子は平成18年から始まった。
 
 
 
あのー、女子が完全に60歳支給開始年齢になったのは、平成12年度ですよね。
 
 
は~…やっと女子も60歳に引き上げたよ~チューってところに、またすぐに平成13年度から引上げ開始したら息つく暇もないですよね。
 
 
だから、5年遅らせたんです。
 
平成6年から平成11年の差分。
 
平成6年改正の時に平成13年から平成25年にかけて引き上げまーす!って決まったけど、女子はとりあえずまだ60歳に向かって引上げ途中。
 
女子は平成12年度でやっと60歳到達するのにまたすぐ引き上げに着手するのは酷かなという事で、5年間の時差を置いた。
 
image
 
で、次に報酬比例部分の年金の引き上げ。
 
 
これは平成12年改正の時に決まりました。
 
 
男子は平成25年から平成37年(2025年)にかけて引き上げ、女子は平成30年から平成42年(2030年)にかけて引き上げる。
 
 
だから、完全に65歳に引き上がるのはまだまだ先の話なんですね。
 
 
 
年金支給開始年齢を引き上げてるというと、世間はなんてひどい事を!っていうふうに取り上げますが、平均寿命が50代くらいだった昭和20年くらいなら60歳とかそういう支給開始年齢でもよかったんでしょうけど、昭和30年には男子は平均寿命が63歳で女子は67歳になりましたキョロキョロ
 
 
年金の支給開始年齢に引き上げが必要だって国会に働きかけた昭和55年の時にはすでに男子は平均寿命は73歳となり、女子は78歳でした。
 
 
昭和60年になるとついに女子は平均寿命が80歳超えてきてしまった。
 
 
長生きはまあ見た目では良い事なんでしょうけど、年金制度にとっては高齢者人口が増えるというのは負担になるわけです。
 
 
 
現代は60歳を超えても働こうとする人が増え、元気な間は働きたいというのは日本人の真面目さというか強みでもあります。
 
これからの日本は2040年までは生産年齢人口は減り続けるのに、高齢者人口は増え続けます。
特にこの間は団塊の世代が次々に高齢化していくので医療費のほうが急激に上がっていくでしょう。
 
年金は支給が抑制されているが、医療費は急激な負担増が予想されている。
 
そもそも医療費の負担を年齢で区別するというのがおかしい話なんで、そこは所得に応じて負担割合を決めるのが望ましい。
 
2040年ごろからは、生産年齢人口と合わせて高齢者人口も同じように減り続けます。
 
 
一応年金の支給開始年齢は65歳のままですが、少しでも高齢者の人が長く働ける機会を作る事が財政の安定にもつながる。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーー

※毎週水曜日20時に有料メルマガ発行。
・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(クレジットカード決済のみ)
https://www.mag2.com/m/0001680886.html


ここだけのオリジナルの濃い内容です。
 
3月27日の第78号は「ガンによる障害厚生年金の発生で、その後の家族への保障にも大きな影響を持つ事例」

ガンで障害年金というのはなかなか難しいのですが、障害厚生年金3級なら該当する事はちょくちょくあります。

今回は大腸がんと脳腫瘍の二つの場合で事例作成。
 
どういう状態なら障害年金に該当するのかという事だけでなく、死亡時の遺族年金の給付の面を特に見ていこうと思います。
 
なお、死亡した後に障害年金を発生させて遺族年金に結びつけるという話もしたいと思います。
ちょっと3月27日分は重い話になりましたけど…大切な内容なので知っていてほしいと思います^^;
 
月額756円(税込)で登録初月は無料。 
なお、月の途中で登録されても、その月に発行した分は全て読む事が可能です。


解除はいつでも自由。
・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座の購読をしたい方はこちら(クレジットカード決済のみ)

https://www.mag2.com/m/0001680886.html

有料メルマガバックナンバーリスト(2017年~2019年現在)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/


・有料メルマガ購読ヘルプ
https://help.mag2.com/000209.html