退職から1ヶ月経過した日が65歳到達日以降になってしまうと… | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
異常な暑さで各地で熱中症が続出して、死亡する方も続出してますので皆さまどうかこの夏は十分気を付けましょうね!
なんかもう、僕もダラけてます(;´∀`)
 
 
そういえば、なんだか美しいものや心地よいものを見るのが好きになっちゃったので、今年は気が向いたら花火を間近で見に行ってみたいと思っています^^
もう何十年も間近で見た事は無いけど。。
 
 
では本題です。
 
年金を支給する時は、年金受給権が発生した月の翌月から死亡した月分まで支給されます。
 
 
たとえば、7月21日に年金受給権が発生したらその翌月である8月分からの年金が発生して、死亡した月分まで支給されます。
 
※注意
死亡した月分は本人は受け取れないから、一定の範囲の遺族が請求して受け取る事になる。
配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、3親等以内の親族の順で最優先順位者が請求する。
 
 
なお、年金はその受給権が発生した月の前月分までの期間の記録により算出されて、支払いが行われます。
 
 
つまり、7月受給権発生なら前月の6月までの年金記録で計算して、受給権発生月の翌月である8月分から年金が発生する。
 
 
 
さて、年金を貰うようになってもそのまま働き続ける人は多くなり、その年金受給権発生後に働いた分は退職した時、65歳に到達した時、70歳に到達した時に年金額が再計算されます。
 
 
 
65歳に到達したら、65歳到達月の翌月分から新たな年金での支給、70歳に到達したら70歳到達月の翌月から新たな年金での支給になる。
 
 
退職した時は、退職日から1ヶ月経過した日の属する月から年金額を再計算して新たな年金額で支給が始まります。
 
 
それが原則ではありますが、退職する時期によっては年金額が増額しない場合があります。
 
 
それは、その1ヶ月が経過する日より前に65歳誕生日が来る人とかですね。
 
 
ちょっと特殊ですけど、そんな場合を見てみましょう。
 
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1.昭和31年7月25日生まれの男性(今は62歳)
 
 
20歳になる昭和51年7月から昭和54年3月までの33ヶ月は4年制大学に行っていたが(定時制、夜間、通信除く)、昼間学生は国民年金には強制加入ではなかった。
 
 
任意加入だったので国民年金には加入しなかったが、年金記録としてはカラ期間になる。
 
 
 
昭和54年4月から平成8年6月までの207ヶ月は厚生年金に加入した。
 
なおこの間の平均給与(平均標準報酬月額)は32万円とします。
 
 
 
平成8年7月から平成20年5月までの143ヶ月は国民年金保険料は未納にした。
 
 
平成20年6月から62歳前月である平成30年6月までの121ヶ月は厚生年金加入した。
この間の給与と賞与の合計額の平均額(平均標準報酬額)は36万円とします。
 
なお、60歳到達月の前月(平成28年6月)までは同時に国民年金に加入。
65歳からの老齢基礎年金は、昭和51年7月から平成28年6月までの記録で計算する。
 
 
で、この男性は平成30年7月24日(誕生日の前日)に62歳に到達し、年金の受給権がこの7月24日に発生する。
 
 
まず、翌月8月から支給される老齢厚生年金額(報酬比例部分)32万円÷1000×7.125×207ヶ月+36万円÷1000×5.481×121ヶ月=471,960円+238,752円=710,712円(月額59,226円)
 
 
8月分から年金が発生するから、すぐ年金請求するとして初回支払いは10月15日になる(初回支払いだから11月15日にズレると思います)。
 
 
支払いは偶数月に毎回59,226円×前2ヵ月分=118,452円
 
 
 
しかしこの男性は62歳以降も65歳まで働こうと考えた。
 
 
65歳まで働くとすれば平成20年6月以降の厚生年金記録は平成33年6月までの157ヶ月。
 
 
62歳からの給与(標準報酬月額)は20万円とします(厚生年金加入)。
 
 
厚生年金に加入しながら、老齢厚生年金を貰うから在職による年金停止がかかってくることがある。
 
 
 
 
・停止額→(標準報酬月額20万円+年金月額59,226円)<28万円だから、年金停止はかからない。
 
 
そのまま、月給与20万円貰いながら、年金118,452円が偶数月に支払われる。
 
 
 
62歳以降働いた分は退職して1ヶ月経過した日の属する月分から変更(退職時改定)、もしくは65歳に到達すると変更(65歳到達時改定)になる。
 
 
65歳に到達すると65歳到達月の前月まで働いた期間分で年金額を再計算する。
 
 
この男性の65歳到達時は平成33年7月24日(新年号3年7月24日)だから、平成33年6月までの記録で再計算するという事です。
 
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この男性が平成33年7月24日に到達すると、6月までの記録で8月分から新たに老齢厚生年金と老齢基礎年金が支給され始める。
 
65歳以降の年金総額を計算する。
 
・老齢基礎年金779,300円÷480ヶ月×304ヶ月(20歳から60歳までの国民年金強制加入期間)=493,557円(月額41,129円)
 
老齢厚生年金の報酬比例部分は上記で計算した710,712円に、20万円で36ヶ月働いた分を加算する。
20万円×0.945(平成30年度再評価率)÷1000×5.481×36ヶ月37,293円
 
よって、報酬比例部分は710,712円+37,293円=748,005円
 
 
あと、老齢厚生年金の差額加算
 
 
・老齢厚生年金(差額加算)1,625円×(207ヶ月+157ヶ月)-779,300円÷480ヶ月×304ヶ月(20歳から60歳までの厚生年金加入期間)=591,500円ー493,557円=97,943円
 
 
よって、65歳到達月の翌月からの年金総額は老齢厚生年金(報酬比例部分748,005円+差額加算97,943円)+老齢基礎年金493,557円=1,339,505円(月額111,625円)
 
2ヶ月分の年金はその後223,250円になる。
 
 
 
さて、ここで退職日について一旦考える。
 
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退職日から1ヶ月経過すれば年金額は増額するが、その1ヶ月が到達する前に65歳到達日が来たらどうなるのかキョロキョロ
 
 
 
この男性が例えば平成33年6月23日に退職すれば、1ヶ月経過した日は平成33年7月23日になるので退職改定が行われる。
 
 
どういうことかというと、それまでは59,226円×2ヵ月分=118,452円で支払ってましたよね。
 
 
 
だけど、平成33年6月23日に退職した事で、退職日の1ヶ月経過した月である7月分の年金が退職改定されて増額する。
 
6月に退職すると、この場合は平成33年5月分までの期間で年金額を計算。
 
 
つまり年金額710,712円に20万円で35ヶ月働いた分である、20万円×0.945(平成30年度再評価率)÷1000×5.481×35ヶ月=36,257円が加算され、平成33年7月分の年金額は746,969円(月額62,247円)になる。
 
 
だから、平成33年8月15日支払は、6月分59,226円+7月分62,247円=121,473円として支払われる。
 
 
 
ところが、仮に平成33年6月24日以降に退職するとなると、退職日から1ヶ月経過した日というのが65歳到達日である平成33年7月24日に引っかかってしまう。
 
 
一体、退職改定と65歳到達時改定どっちが取られるのかキョロキョロ
 
 
この場合は退職改定は行われず、普通に65歳到達時改定が優先されます。
 
 
退職改定による年金額の増額は無いから、平成33年7月分の年金は62,247円には増額せずに59,226円のまま。
 
 
 
このように、退職日によっては65歳到達日と退職から1ヶ月経過日が重なると1ヶ月分の年金にやや違いが出る事もある。
 
 
まあ今回のはあまり気にすることではないかもしれませんが、退職改定の退職日から1ヶ月経過した日と65歳到達日が重なると、65歳到達時改定が優先されて退職改定が行われないという事も起こる事を覚えていていただけたらと思います。
 
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それでは今日はこの辺で~
 
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