こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
厚生年金支給開始年齢を見る時に、なんだか男子と女子では生年月日に5年の差がありますよね。
時々聞かれる疑問なんですが、なぜ女子のほうが5年の間、男子より有利な感じなんでしょうか。
男子の厚生年金は昭和36年4月2日以降生まれの人は完全に65歳支給になりますが、女子は5年遅れて昭和41年4月2日生まれの人から65歳支給になります。
だいぶ昔に遡るんですが、昭和29年厚生年金大改正の時に男子の厚生年金支給開始年齢は55歳から60歳に早々に引き上がりました。
引き上がったといっても、支給開始年齢を引き上げる時は10~20年とかそういう長いスパンを掛けて引き上げます。
この時の男子は昭和32年から昭和48年にかけて引き上げました。
女子はそのまま55歳支給開始年齢だった。
本来なら、男子のほうが寿命が短いのに男子のほうを引き上げたのは、女子の厚生年金加入者自体が圧倒的に少なかったから。
また、一度結婚して家庭に入ると再就職なんて考えられない時代だった。
昭和というのはそういう時代。
また、年金支給開始年齢が55歳というのは平成6年の時に60歳未満の定年を禁止するまでは、55歳というのが定年だったから。
だから、年金の支給開始年齢も55歳というようになっていた。
ただ、先ほども言ったように女子は厚生年金に加入して働く人は圧倒的に少なく、また、昭和61年3月31日以前の年金法は厚生年金期間は最低でも20年を満たさないと貰えない仕組みになっていた。
よって、女子は20年という厚生年金期間を満たすこと自体かなりの少数派だったので、そのまま55歳支給開始年齢とした。
厚生年金保険料も女子は男子よりも低かった。
しかし、昭和60年年金大改正(昭和61年4月施行)の時に、支給開始年齢や保険料の男女差を解消するために女子の支給開始年齢も引き上げる事にした。
男女雇用機会均等法が施行されたのも昭和61年4月の時だった。
この昭和60年改正の時に老齢基礎年金も老齢厚生年金も65歳から支給するという事が決まったが、実際の引き上げスケジュールは決まっていなかった。
ただ、女子の55歳支給開始年齢は引き上げとこうと、昭和62年から昭和74年(平成11年)の12年かけて3年に1歳ずつ引き上げた。
人生80年代に突入し、65歳までは労働と年金で生活し、65歳以降は年金で本格的に生活するという考えに立ち、平成6年改正の時に厚生年金の引き上げのスケジュールが決まった。
今の年金引き上げの元となったのは平成6年であります。
ちなみに、厚生年金というのは2階建ての仕組みになっていて、厚生年金=(1階部分の定額部分+2階部分の報酬比例部分)という形になっています。
平成6年の時に引き上げが決まったのは、まず1階部分の定額部分の年金のみだった。
この定額部分を男子は平成13年から平成25年の12年かけて引き上げ、女子は平成18年から平成30年の12年かけて引き上げた。
だから、女子の定額部分が完全に無くなるのは今年って事ですね。
実際の引き上げに着手したのは平成13年ですよね。
でも女子は平成18年から始まった。
あのー、女子が完全に60歳支給開始年齢になったのは、平成11年ですよね。
は~…やっと女子も60歳に引き上げたよ~!ってところに、またすぐに平成13年から引上げ開始したら息つく暇もないですよね。
だから、5年遅らせたんです。
平成6年から平成11年の差分。
で、次に報酬比例部分の年金の引き上げ。
これは平成12年改正の時に決まりました。
男子は平成25年から平成37年(2025年)にかけて引き上げ、女子は平成30年から平成42年(2030年)にかけて引き上げる。
だから、完全に65歳に引き上がるのはまだまだ先の話なんですね。
年金支給開始年齢を引き上げてるというと、世間はなんてひどい事を!っていうふうに取り上げますが、平均寿命が50代くらいだった昭和20年くらいなら60歳とかそういう支給開始年齢でもよかったんでしょうけど、昭和30年には男子は平均寿命が63歳で女子は67歳になりました
年金の支給開始年齢に引き上げが必要だって国会に働きかけた昭和55年の時にはすでに男子は平均寿命は73歳となり、女子は78歳でした。
昭和60年になるとついに女子は平均寿命が80歳超えてきてしまった。
長生きはまあ見た目では良い事なんでしょうけど、年金制度にとっては高齢者人口が増えるというのは負担になるわけです。
現代は60歳を超えても働こうとする人が増え、元気な間は働きたいというのは日本人の真面目さというか強みでもあります。
これからの日本は2040年までは生産年齢人口は減り続けるのに、高齢者人口は増え続けます。
特にこの間は団塊の世代が次々に高齢化していくので医療費のほうが急激に上がっていくでしょう。
忍耐の20年だと思います。
2040年ごろからは、生産年齢人口と合わせて高齢者人口も同じように減り続けます。
この2020年から2040年をどう切り抜けるかがまず日本の大きな試練かもしれません。
一応年金の支給開始年齢は65歳のままですが、少しでも高齢者の人が長く働ける機会を作る事が財政の安定にもつながる。
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