年金受給者となった後に働いた分はいつ年金額に反映されるのか(年金の退職時改定)。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです!


昨日発表があったんですが、平成30年度年金額は平成29年度年金額と据え置きになりました。

物価変動率は0.5%上昇して、賃金(名目手取り賃金)は0.4%下がってしまった。
こうなると前年度と年金額を据え置くんですよ。
・平成30年度年金額改定について(厚生労働省)


普通は65歳未満の人(実際は67歳到達年度までの人)は賃金変動率に合わせ、65歳以上(実際は68歳到達年度の人)は物価変動率に合わせるんですけど、平成16年改正で今みたいに複雑な仕組みになりました。


今だけを見るととりあえず据え置きで良かったー!…じゃないんですよね実際は。
長い目で見るとこの経済成長が停滞してる中でこんな事が続くのは良い事ではないんですよ。

将来世代の年金給付水準の低下に繋がるから。



まあ、平成33年度(2021年度)からは今回みたいに据え置かれる状況であっても賃金変動(年金受給者を支える側の力)に合わせる事にはなりましたが…


ただ、昭和30~40年代みたいに経済が成長すればまた年金給付を引き上げる攻めの方向に転換して豊かに改善すればいい。
やはり経済が成長しない限り、年金をどのように変えても給付を上げるというのは難しいんですよ。



上記の厚生労働省のリンク見てもわけわからんと思いますので、なんでこんな事になったのかの詳細は有料メルマガで来週から数回に分けて発行します。
ちょっと1記事では書ききれないですね(;´∀`)


国民年金保険料は平成30年度は平成29年度の16,490円から16,340円に下がります。
これは去年からわかってた話ですが、平成31年度は今回の最新の物価変動率や賃金変動率に影響して16,410円に上がる。
この辺の仕組みも知らない人が大半ですのでこの辺の計算過程を近い内に記事にします。

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http://www.mag2.com/m/0001680886.html




では本題です。


前回は60歳以降も厚生年金に加入して働く場合の年金の貰い方である在職老齢年金についてお話ししましたが、今日は60歳以降も働いた分はいつ年金額として反映するのかという話です。


年金を貰い始めて、それから厚生年金に加入してんだから毎月年金はアップしそうな感じですがそんな事はしません(笑)


毎月そんな事してたらとんでもない事務処理になってしまうでしょう。



だから退職を迎えた時に年金額を再計算して支払います。

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それを年金の退職時改定と言います。

なお、退職しなくても65歳時点に到達したり、70歳到達時になると自動で年金額を改定します

また、年金額の繰上げをしている人は本来の支給開始年齢に達すると在職中であっても年金額を改定します(特例支給年齢到達時改定という)。
ここは前回の有料メルマガに出した部分ですね。


というわけで、今日はその年金の退職時改定について見ていきましょう。



1.昭和30年3月3日生まれの女性(今年63歳になる人)

・何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)


18歳年度末の翌月である昭和48年4月からは短期大学に通う。
学生だけど20歳までは国民年金には加入しないからまだ国民年金に関しては加入云々は関係ない。

20歳になる昭和50年3月から昭和58年8月までの102ヶ月は国民年金保険料納付済。


昭和58年9月から昭和60年1月までの17ヶ月はサラリーマンの妻として専業主婦になった。
この期間は国民年金保険料を支払う必要はないですが、支払わないならカラ期間になるだけ。
支払わなかったとする。


昭和60年(1985年)2月から60歳到達月の前月である平成27年(2015年)2月までの361ヶ月は厚生年金に加入した。



なお、昭和60年2月から平成15年3月までの218ヶ月の平均標準報酬月額は22万円とします。




平成15年4月から平成27年2月までの143ヶ月の平均標準報酬額は34万円とします。



しかし、60歳以降も継続して働く事にした。
給与(標準報酬月額)は15万円とする。
賞与は無し。




67歳到達月(平成34年にあたる2022年3月31日)で退職するとする。

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さて、まずは60歳時点から貰える老齢厚生年金(報酬比例部分)を算出する。


22万円÷1000×7.125×218ヶ月+34万円÷1000×5.481×143ヶ月=341,715円+266,486円=608,201円(月額50,683円)



60歳以降の標準報酬月額は15万円で、年金月額は50,683円だから在職老齢年金による年金停止は無いです。



この条件で67歳まで働くとする。




まず、65歳到達時時点(2020年3月2日)で60歳から65歳まで働いた分の年金額の改定処理(65歳到達時改定)に入る。
65歳になるとまた年金請求書(ハガキタイプのやつ)が来るからそれ出してもらえばいい。



また、65歳になると国民年金から老齢基礎年金が支給される。



※65歳時点で増える年金額。

・更に増加分の老齢厚生年金(報酬比例部分)15万円÷1000×5.481×60ヶ月=49,329円


・65歳から支給される経過的加算1,625円×421ヶ月(全厚生年金期間ですが480ヶ月が上限)-779,300円÷480ヶ月×361ヶ月(20歳から60歳までの厚生年金期間)=684,125円-586,099円=98,026円



・老齢基礎年金779,300円÷480ヶ月×(102ヶ月+361ヶ月)=751,700円



よって65歳時点の年金総額老齢厚生年金の報酬比例部分(608,201円+49,329円)+経過的加算98,026円+老齢基礎年金751,700円=1,507,256円(月額125,604円)




で、更に標準報酬月額15万円の条件で65歳到達月である平成32年3月から67歳到達月の平成34年3月31日までの25ヶ月働くとする。


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在職老齢年金による年金停止は無し。
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※65歳以降の在職老齢年金。
→老齢厚生年金(報酬比例部分)608,201円+65歳到達時改定による報酬比例の増額分49,329円=657,530円(月額54,794円)だから、54,794円+標準報酬月額15万円<46万円だから年金は停止されない。

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この25ヶ月分はいつ年金額に反映するのか。



これは退職日から1ヶ月経過した日の属する月に年金額を改定します。

つまり、平成34年4月分からですね。




だから平成34年4月から15万円÷1000×5.481×25ヶ月=20,554円の報酬比例部分が増える。


また、経過的加算も1,625円×25ヶ月=40,625円増える。




だから、67歳到達月の翌月分からの年金総額は老齢厚生年金(報酬比例部分608,201円+65歳時改定で増えた報酬比例部分49,329円+退職改定で増えた報酬比例部分20,554円)+(経過的加算98,026円+退職改定で増えた経過的加算40,625円)+老齢基礎年金751,700円=1,568,435円(月額130,702円)となる。

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※追記
3月31日に退職しますが、厚生年金資格喪失日は4月1日だから3月分までの厚生年金期間を含める。
なお、喪失日である4月1日から4月30日までの間に再度厚生年金の資格を取得(再就職)したら退職改定は行わない。
あと、70歳以降は厚生年金には加入出来ないから70歳以降に働いた分は年金額に反映しない(在職老齢年金による停止はかかる場合はある)。



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