おじいちゃんおばあちゃんの年金を計算してみたら全く年金額が違う!?なぜなのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。


今の年金、特に老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間の年金加入記録が無いと満額779,300円(平成29年度価額)の老齢基礎年金を貰うことは出来ません。




しかし、私のおじいちゃんおばあちゃんはそんなに年金加入期間無いけど満額や、それに近い年金が貰えてるんだけとなぜ?という方もいます。



それは生年月日によって異なる場合があります。

見てみましょう
ニコニコ




1.昭和11年4月10日生まれの男性(今は81歳)
※何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!(参考記事)


この人の年金記録は昭和35年(1960年)4月から平成8年(1996年)2月まで431ヶ月厚生年金(とりあえず60歳月の前々月まで(^^;;60歳月の前月は国民年金保険料未納って事で(笑)


その間の平均給与(平均標準報酬月額)は400,000円。




老齢厚生年金額→400,000円÷1000×8.227×431ヶ月=1,418,335円。

経過的加算1,625円(定額単価)×1.369(生年月日により決められた乗率)×431ヶ月-779,300円÷420ヶ月×419ヶ月=958,813円-777,445円=181,368円




※注意
厚生年金額を計算する時はいつも乗率を7.125とか5.481を使っていますが、この男性は8.227です。
昭和40年にこの乗率は10になったんですが、昭和60年改正の時に20年かけて乗率を下げた(生年月日が昭和元年度から昭和20年度にかけて)。
経過措置で高めの乗率になっている。
昭和21年4月2日以降生まれの人は今の7.125とか5.481を使う。


なぜ20年かけて下げたかというと、本来は年金は約30年ちょっとで現役時代の60%台の給付水準を設定されていたが、時代の移り変わりで雇用の促進につれて加入歴が40年あたりが普通になると、乗率が10のままだと80%を超える見通しになったから。


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老齢基礎年金額→779,300円÷420ヶ月×419ヶ月=777,445円
(昭和36年4月から平成8年2月までの419ヶ月)


というわけで、この男性の年金総額は老齢厚生年金1,418,335円+経過的加算181,368円+老齢基礎年金777,445円=2,377,148円(偶数月に支払われている金額396,191円)



※注意
基礎年金である国民年金(保険料払う拠出制)は昭和36年4月から開始され、60歳誕生月の前月までの年金加入記録で数えるから419ヶ月。

ちなみに老齢基礎年金の分母はいつも480ヶ月なのにこの男性の場合は420ヶ月になっているのはこの男性の生年月日からだと、国民年金が出来た昭和36年4月時点で既に25歳になっている為、国民年金は20歳から60歳まで40年納めれば満額とはいえこの男性の場合昭和36年から60歳まで加入しても35年が限界だから480ヶ月納めなくても420ヶ月に短縮されている。
これを加入可能年数という。


このように国民年金も昭和60年改正の時に15年かけて給付水準を引き下げた(昭和元年度から昭和15年度にかけて)。
昭和16年4月2日以降生まれの人は国民年金が出来た昭和36年4月1日以降で20歳になるから60歳までの40年間加入する事が出来るが、それ以前生まれの人は40年加入出来ないから今回の事例みたいに短縮されている。
また、昭和60年改正の時に25年間国民年金を納めた額と40年間国民年金を納めた額を同じにした。

当時25年で600,000円の国民年金を40年加入で満額600,000円の年金にしたって事。


年金額を下げやがってo(`ω´ )o!って思われそうですが、後代にとてつもない重い負担をさせない為に給付水準を下げた。


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※追記
よく、年金の損得や世代間によって不公平だ!とかいう議論が流行りですが、公的年金は納めた保険料と貰える金額が人によって、世代によって大きく異なるのは当然の話です。



昔の人はトクだから不公平だ!っていうなら、あの凄惨な戦時中に生まれたほうがよかったなぁって言うんでしょうか。
今の時代はものすごく便利になりましたが、高い年金を貰う為に食べるのもままならないわ、携帯電話すら無い時代に生まれたかったですか?


また、こういうご高齢の方は現役の頃は、老齢になった親も扶養してきたような人達です。
昭和40年代の65歳以上の単身・夫婦のみの世帯が100万世帯(全世帯の3%くらい)もいかなかった頃、今は1,300万世帯(全世帯の25%くらい)になりました。



この数字が何を意味しているか。



老齢になった親世代そして自分の子供や配偶者を自分の給料(私的な負担)で養ってた時代だったのが、老齢になった親世代とは暮らさずに離れて暮らすようになったわけです。


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じゃあ今まで自分の給料(私的な負担)で老齢の親世代を扶養してたのをしなくなったなら誰が老齢の親世代の生活費を負担するのか。



そう。公的年金(公的な負担)なんです。


つまり、私的な負担が時代の変化と共に公的な負担に変わっただけ。



公的な負担が無くなれば余計な負担(保険料)から解放される!っていう短絡的な考えは間違い。
私的な負担が増すだけ。


一部の富裕層を除いて、老齢の親世帯に毎月自分の給料から年金保険料の数倍の負担となるお金(最低でも10万と考える)を仕送れる自信ある人が一体どのくらいいるんでしょうか。



年金は破綻してるとか無責任な話で盛り上がる人達もいますが、公的年金が破綻したら困るのは4,000万人程いる年金受給者世代だけでなく6,000万人程いる現役世代もとてつもなく困る事になるという事です。


世の中はより混沌とし、今の年金制度への不平不満の比じゃないくらい批判が噴出するんじゃないでしょうか。



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