厚生年金額を算出する際に使ってるあの数値は何を意味しているのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちはー
年金アドバイザーのhirokiです!


今回は厚生年金の給付に使う乗率を見ていきましょう!



記事内でよく老齢厚生年金の計算をしますが、なんでこんな計算するの?ってたぶん疑問に思われる読者様もいると思うんで、今回はそれについて。

というわけで…ちょっとその前に年金額を出します(^^;;



①昭和31年12月生まれの男性(今月60歳)は厚生年金を受け始めるのは62歳からです。
※何年生まれ➡︎何歳かを瞬時に判断する方法(参考記事)
※厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)



厚生年金記録は昭和56年4月から平成30年11月まで452ヶ月が厚生年金とします。

平成15年3月まで264ヶ月の間の平均標準月額は300,000円、平成15年4月から平成30年11月までの188ヶ月は平均標準報酬額は450,000円とします。

※標準報酬月額とか標準賞与額とは?(参考記事)



さて、計算すると…

②62歳から受給する老齢厚生年金
(300,000円÷1000×7.125✖️264ヶ月➕450,000円÷1000✖️5.481✖️188ヶ月)=564,300円➕463,693円=1,027,993円(月額85,666円)

※注意
この計算式の7.125とか5.481が給付乗率!



65歳になると、老齢基礎年金も支給開始になり、金額は780,100円÷480ヶ月✖️428ヶ月=695,589円(月額57,965円)プラス。



428ヶ月というのは、20〜60歳の間は国民年金に強制加入であり、厚生年金に加入している人は国民年金にも同時に加入しているから65歳から老齢基礎年金が支給され始めるわけです。



60歳からは国民年金には加入しませんが、60歳以降の国民年金(基礎年金)の代わりとして経過的加算というのが老齢厚生年金に付きます。
※経過的加算とは(参考記事)


定額単価1,626円✖️452ヶ月(全厚生年金期間で480ヶ月上限)➖780,100円÷480ヶ月✖️428ヶ月(20〜60歳までの厚生年金期間)=(734,952円➖695,589円)=39,363円の経過的加算。



つまり、全厚生年金期間の内、20歳から60歳までは厚生年金期間といえど国民年金期間だから、20歳前とか60歳以降に厚生年金加入した場合、その差額を国民年金の代わりとして支払うのが経過的加算。
経過的加算は老齢厚生年金の部類に入る




よって全体の年金額は老齢厚生年金1,027,993円➕経過的加算39,363円➕老齢基礎年金695,589円=1,762,945円(月額146,912円)


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まあ今回は計算したかったわけではなく、老齢厚生年金の1000分の7.125とか1000分の5.481っていう部分の話です(^^;;





この値は何なのか?




この値の元を辿ると、昭和61年4月の年金大改正までは1000分の10だったんです。



これが10から7.125になっているというのは年金額を下げたという事。


これは何を意味するか。


※注意
まず、7.125ですが、この数値は平成12年に引き下げていてまずは7.5だった事を最初に言っておきます。




結論から言えば1000分の10で給付すると、例えば40年加入したら現役時代の給与の40%になります。


それを30%に下げたんです。



だから1000分の7.5。






7.5というのは、30%を40年加入としたら30%÷40=0.0075→1000分の7.5という数値から出せる。






昭和61年改正の前に試算されていた事なんですが、厚生年金加入期間が30年とすると、例えば老齢厚生年金の報酬比例部分は300,000円÷1000✖️10✖️360ヶ月=90,000円になります。


90,000円だと300,000円の給与に対し30%になります。
まあ、当時は30年加入で30%になるようになっていました。




で、今のように老齢厚生年金(報酬比例部分)と老齢基礎年金という二つの年金を給付するのではなく、老齢基礎年金になる前は定額部分という年金を支給していたんですね。



今も定額部分を経過的に支給されてる人は沢山いますが(^^;;



この老齢厚生年金の「報酬比例部分」と「定額部分プラス配偶者加給年金」合わせて比率としてはおおむね1:1の給付比率にするように設計されていました



だから合わせたら60%台になるような形。



年金は現役時代の平均給与の60%以上をという考え方だったので、ある試算がありました。

当時の標準的な厚生年金加入期間が32年(384ヶ月)で標準的な平均給与は254,000円でした(標準的年金額で昭和59年度価額)。



じゃあその標準的とされた32年と標準的だった平均給与で計算すると、254,000円÷1000✖️10✖️384ヶ月=975,360円(月額81,280円)



定額部分2,400円(当時)✖️384ヶ月=921,600円(月額76,800円)


配偶者加給年金180,000円(当時月額15,000円)




とすると、おおむね給与254,000円に対し、年金額は173,080円で68%になる



しかし、雇用者がどんどん進み、将来40年加入が平均的になるとするとこの比率が80%行っちゃうんですね
びっくり



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例えば300,000円÷1000✖️10✖️480ヶ月=1,440,000円(月額120,000円)



300,000円に対して120,000円は40%になり、定額部分プラス配偶者加給年金と1:1の比率で支給すると80%になる。



これじゃあ賃金とのバランスが高すぎるし、将来世代の保険料も非常に高額になってしまう。





だから、昭和61年4月に1000分の7.5に下げたんです(20年かけて)。
大正15年4月2日生まれの人から昭和21年4月1日以前生まれの人は乗率が違うので注意。
昭和21年4月2日以降生まれの人から7.5になる。



7.5にすると例えば、40年加入が標準的になっても現役時代の平均賃金の60%台に抑えれるから。


300,000円÷1000✖️10✖️480ヶ月=1,440,000円(月額120,000円)➡︎給与に対し40%。
⬇︎
300,000円÷1000✖️7.5✖️480ヶ月=1,080,000円(月額90,000円)➡︎給与に対し30%。



このように乗率を下げたのは、将来世代の保険料を引き下げて負担を軽減するため。


将来世代の負担を軽くするためにも、年金給付も下げさせてくださいって事だったわけです。
年金と現役世代の賃金のバランスが取れなくなるから。


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ここで引き下げた事により、厚生年金保険料がピーク時に39%になるのが29%に抑えられる見込みになった。



当時の保険料は30%までが負担の限界という声が高かったから、30%以下にする為にこのように引き下げたわけです。




ちなみに、冒頭の計算では7.5ではなく7.125という数値を使っていますが、平成12年に5%下げたから。
※7.5➖5%=7.125



と同時に、この年に報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げも決まった。
男は平成25年から平成37年にかけて、女は平成30年から平成42年にかけて。



平成12年にこのような改正を行うことにより、年金給付を2割削減した。


なぜまた給付を引き下げたのか。


それは、保険料負担は20%までが限界になってきたから。



厚生年金保険料を年収比で20%以内に収めるために引き下げたんです(5%適正化という)。




では、1000分の5.481の5.481という数値は何か。



平成15年4月からは賞与も年金額に反映する事になりました。
つまり、賞与にも厚生年金保険料率をかける。



という事は平成15年3月までは月給与だけが年金額に反映してましたが、賞与も入れると当然年金額もアップしやすくなりますよね。




だから、平成15年3月以前の年金額と平成15年4月以降の年金額の給付水準が平行になるように、賞与分年金額が上がってしまうと見込まれた1.3倍を、7.125から1.3で割ることで5.481にして、年金額を平行にしただけ。



平成12年に5%引き下げるまでは、5.769(⬅︎7.5÷1.3)という乗率だったんですが5%下げて5.481になる。

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と、出来るだけ簡潔に書こうとしましたが、やっぱり長くなってしまいましたね(^^;;
いや、かなり短くしたつもりなんですが…



ホントはもっと書かないといけない事は沢山あるのですが、いろいろ書きすぎるとゴチャゴチャになるのでこの辺で!
なんかすごく急いで書いちゃった(^^;;


※追記
おととい、またネットニュースに掲載されましたのでよければご覧ください
にしても載るのはありがたいんですが、なんかいつも複雑な気持ちになりますね…
何かを発信するという以上仕方のない事なのかもしれませんが。。(^^;;




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