年金受給資格10年への短縮に備える前の留意点。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。
年金アドバイザーのhirokiです!


今年の8月から年金受給に必要な期間が25年から10年に短縮されます。



これに伴い、10年以上の期間がある人には年金請求書が今年の3月から送付される予定になっています。
請求は8月になる前でも可能。



また、10年未満の人でも、一応こういう改正がありますという事でお知らせが送付される予定であります。

10年未満の人はとにかくカラ期間を探す事がものすごく重要になります。
カラ期間はいっぱいあるので、この記事では省略します。
※カラ期間(参考記事テーマ)





さて、年金期間が10年に短縮になる事で老齢の年金がもらえる事にはなりますが、この10年という数字だけを見てしまうと10年納めれば後は未納にしていいんだなってわけではありません。
この辺を勘違いされるのではないかと心配。


20歳から60歳までは強制加入であり、保険料納付義務が無くなるわけではありません。


それにホントに10年だけだと、あまりにも年金額が低くなってしまうので加入できるだけ加入しましょう。



まあ、厚生年金とかは未納にしようとしても出来ないんでそこは心配ないんですが、心配なのは国民年金第1号被保険者である自営業とかフリーターや学生、無職等の人ですね。





ところで、今回の改正でもう一度確認しておくべき点を書きます。


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遺族厚生年金や遺族基礎年金は従来通り全体で25年以上の期間が無いと、万が一自分が亡くなった場合の遺族への遺族年金が支給されません。
例えば老齢厚生年金の受給資格は今までは25年以上あれば獲得でき、既に老齢の年金を貰う権利を獲得したこういう人が亡くなれば「老齢厚生年金の受給権を満たした者の死亡」という事で遺族厚生年金が遺族に支払われていました。



今年の8月からは10年以上で老齢厚生年金の受給権者にはなりますが、25年に満たない人が亡くなっても遺族厚生年金が出ない事になります。


ただ、遺族厚生年金は原則として死亡時点で厚生年金加入中である事が必要ですが死亡するまで、もし25年なかった場合でも、死亡日の属する月の前々月までに保険料を納付すべき期間があり、直近1年間に未納がないなら遺族年金は支払われます
例えば今月亡くなられた人が、前々月である平成28年11月から平成27年12月までに未納がなければ遺族年金は支払われます(直1要件という)。


それがダメなら、全体で3分の2は保険料納付済期間と保険料免除期間でないといけません。

例えば今50歳で、国民年金強制加入になる20歳から40歳までは保険料納付済とか保険料免除で、40歳から50歳までは保険料未納というのであれば、何とか3分の2以上は未納じゃないから遺族年金の支給要件を満たします。



ただ、10年という事に安心してしまってあまりに保険料未納を増やしてしまうと、この直近1年とか3分の2を満たせない可能性が高くなってしまって危険です。



で、もう一つの遺族給付である寡婦年金は25年ではなく死亡日の前月までに10年以上であれば支給の対象になります。
寡婦年金は10年の期間短縮の改正の対象。
ただし、寡婦年金に限っては婚姻期間(事実婚含む)が10年という条件があるので注意。
ちなみに寡婦年金でいう10年以上の期間というのは、自営業とかフリーターとかで国民年金保険料を納める国民年金第1号被保険者の期間(免除期間含む)のみを指します。
厚生年金期間(国民年金第2号被保険者)とかサラリーマンの専業主婦(国民年金第3号被保険者)期間は含まない。

※寡婦年金(日本年金機構)



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またこの10年改正で重要なのが、昔の年金制度の受給権が発生する場合が出てくる事。

大正15年4月1日以前生まれの人が受給する事になる年金は今の年金制度とは異なります。


今の年金制度はすべての人を国民年金に加入させた上で、その上に厚生年金や企業年金等が乗っかってるような形。



だから、サラリーマンや公務員みたいな人は厚生年金に加入していても同時に国民年金にも加入している。




しかし、大正15年4月1日以前生まれの人はそうじゃない制度(旧法)の適用者。


旧法時代は、国民年金、厚生年金、共済年金みんなバラバラで別個の存在でした。


当時は厚生年金なら厚生年金だけで20年以上の期間を、国民年金なら国民年金だけで25年以上を満たさなければ国民年金や厚生年金は支給されないような時代ではありましたが、昭和36年4月に国民年金が始まった時にバラバラになっている他の制度を繋ぎ合わせて20年なり、25年なりを満たせばそれぞれの期間分の年金を支給するっていう通算年金制度ができました。


つまり、例えば国民年金が5年、厚生年金が12年、共済組合が8年あるなら全体で25年以上になるからそれぞれの制度からその期間分は出すという制度が通算年金です。

逆に被用者年金である厚生年金と共済年金合わせて20年以上あるならそれぞれから通算年金が出る。
例えば、厚生年金7年で共済年金13年とか。




この通算年金は昭和61年4月に全国民に共通の基礎年金(国民年金)を適用した事で終わった制度ですが、経過的に旧法の年金が支給されている人も多くいらっしゃいます。




旧法の年金貰ってる人に出くわすのはよくある事。




で、今回10年に短縮される事で通算年金やその他旧法の年金が新たに発生する人も出てくるわけです。




例えば、大正15年4月1日以前生まれで旧国民年金4年、旧厚生年金6年しかなく年金が貰えなかった人は年金がもらえるようになります。


いくらになるのかというと、旧国民年金の通算老齢年金なら2,498円(⬅︎2,501円✖️改定率0.999)✖️48ヶ月=119,904円





旧厚生年金の通算老齢年金はいくらになるのか。

定額部分3,050円(⬅︎3,053円✖️改定率0.999)✖️72ヵ月=219,600円


報酬比例部分は、給与平均が150,000円くらいだったと仮定したら、150,000円÷1000✖️9.5✖️72ヵ月=102,600


旧厚生年金合計額219,600円➕102600円=322,200円。


だから、旧国民年金の通算老齢年金119,904円➕旧厚生年金の通算老齢年金322,200円=442,104円(月額36,842円)になる。


旧法は今の制度とは全く計算に使う数値とかが違う。


まあ、こういう旧法に該当する人達も年金がもらえるようになるわけですね。


90歳を過ぎた方が初めて年金が貰えるっていう事も起こりうる
びっくり

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にしてもこの10年に短縮は僕はそこまで重要な事だと思っていません。

今更10年に短縮する必要があるのかやはり未だ疑問です。


20歳から60歳までの40年強制加入の期間がある中の25年が長すぎるとも思えないし、仮に60歳から70歳まで年金に加入するとしたら最高で50年間の中で25年満たせばいいわけですからね。。


保険料支払うのが困難だったのであれば、簡単な手続きで免除制度を使って25年の期間に算入できたわけで…
免除制度をうまく利用しておけば無年金問題はほぼ生じ得なかったと思います。



また、今の年金は基本的には65歳から支給されますが、かなり長寿大国となり、たった10年しか納めていなくても20数年も年金が貰えるという制度が果たして成り立つのかという疑問もあります。



まあ、決まってしまった事ですので動向に注目しましょう(^^;;




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