年金の端数計算の関係で支払う年金額が若干異なる事がある。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

おはようございます。
年金アドバイザーのhirokiです!



今日は、年金額を出す時の端数処理について。

端数処理と聞くと、あー…もうイヤ!って思われがちですが全く難しいものではないです(^^;;





①昭和28年1月3日生まれの女性(今月64歳)
※厚生年金支給開始年齢(日本年金機構)


この女性の年金記録。

20歳になる昭和48年1月から大学卒業までの昭和50年3月までの27ヶ月国民年金保険料未納。

昭和50年(1975年)4月から平成24年(2012年)12月までの453ヶ月は厚生年金。


平成15年3月までの336ヶ月の平均給与256,428円(平均標準報酬月額)
平成15年4月以降の給与と賞与を足して厚生年金期間117ヶ月で割った額441,235円(平均標準報酬額)。



金額は適当です!




②64歳からの年金額。

給与に比例する年金(報酬比例部分の年金)➡︎{(256,428円÷1000✖️7.125✖️336ヶ月)➕(441,235円÷1000✖️5.481✖️117ヶ月)}=(613,888.632円➕282,953.857095円)



なんか小数点以下の端数がいっぱいですね。
計算過程で出た1円未満の端数は四捨五入します。

よって、報酬比例部分の年金は613,889円➕282,954円=896,843円





で、この女性はもう一つの厚生年金である定額部分という年金も来月2月分から発生します(実際の支払いは4月15日)

つまり年金が増える。





定額部分は厚生年金期間と一定の単価で算出します。




定額部分➡︎1,626円(定額単価)✖️453ヶ月=736,578円


64歳からの老齢厚生年金額は896,843円➕736,578円=1,633,421円






年金は前2ヶ月分を偶数月の15日に支給するからこの1,633,421円を6回で割る。

すると、272,236.83333…円となります。



支払う場合の1円未満の端数は切り捨てます。

だから、実際の支払いは272,236円。


{15673F9B-BB15-48CC-8513-7199082894C8}




たまに、おいちょっと待てよ端数切り捨てとかふざけとんか!!(((o(*゚▽゚*)o)))といってすごくお怒りになる受給者の方もいらっしゃいますが、この法律に基づいて支給されています。
※国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律
この法律の第2条の部分。





なお、2月支払い期に今まで切り捨ててきた1円未満の端数は合算して支払われます。

だから0.83333円✖️6回=4.99998円になるから、2月15日は272,236円➕4.99998円=272,240円になります。
※参考
前年6月以降に送付されている振込通知書には2月支払い額も載っているので確認してみてください。
なお、2月支払いの時に何らかの原因で年金支払いが停止した場合は端数の合算はされません。






この時合算した時の1円未満の端数は完全に切り捨て。






③次に65歳になった場合。



65歳になると年金の種類が変わり、報酬比例部分は老齢厚生年金に名を変えて移行し、定額部分は65歳をもって消滅して国民年金の老齢基礎年金に移ります。


20歳から60歳までの厚生年金期間や共済組合の期間は、確かに見た目上は国民年金に加入してなさそうですが、国民年金にも同時に加入している状態だから65歳以降も老齢基礎年金が支給される。

20歳から60歳までは国民全員が国民年金に加入している状態。


{0AAC02B7-CC01-42AF-BB30-518CC6766412}




この女性は453ヶ月の厚生年金期間のみで構成されているので65歳以降に金額が変わる事は原則としてありません。



だから、65歳以降の老齢厚生年金は896,843円。

老齢基礎年金は780,100円÷480ヶ月✖️453ヶ月=736,219.3749円➡︎四捨五入して736,219円。


よって896,843円➕736,219円=1,633,062円。





は?

ちょっと待て!


年金下がっとるやないかい!!




…と思われたかもしれませんが、もう一つ給付します。




定額部分は老齢基礎年金に移行しますが、計算式が異なる為に期間が全く同じでも誤差が出てしまうんですね。




どうしても定額部分の金額がちょっと高くなります。




よって、その誤差を埋める経過的加算という給付をします


経過的加算➡︎定額部分1,626円✖️453ヶ月➖780,100円÷480ヶ月✖️453ヶ月=359円

つまり、全体の厚生年金期間に対して、その厚生年金期間(定額部分は上限480ヶ月)と20歳から60歳までの国民年金強制加入である所の厚生年金期間を引く。





だから、1,633,062円➕359円=1,633,421円というわけで、65歳前と同じ金額になりました
ニコニコ



内訳は老齢厚生年金(報酬比例部分896,843円➕経過的加算359円=897,202円)老齢基礎年金736,219円=1,633,421円(偶数月支払い272,236円)


{E5C29279-B6DE-4B30-8A11-8F7668AE1A1A}



※補足
今回は65歳前と65歳以降の偶数月の年金支払い額が一致しましたが、端数処理の関係で1円異なる事があります。



65歳前に支給される報酬比例部分と定額部分は老齢厚生年金の部類なのでそのまま報酬比例部分と定額部分を合算して6で割って支給します。



しかし65歳以降は老齢厚生年金と老齢基礎年金というように厚生年金と国民年金と年金の種類が分かれてしまうので支給の際に端数処理の関係で支給額が異なる場合があります。


例えば65歳前から総額1,200,000円の年金が支払われていた人(偶数月支払いは20万)が、65歳になり老齢厚生年金700,000円と老齢基礎年金500,000円の年金になるとします。


この時の年金の支払いのやり方は、老齢厚生年金700,000円÷6=116,666.6666…➡︎端数切り捨てて116,666円


老齢基礎年金500,000円÷6=83,333.3333…➡︎端数切り捨てて83,333円


すると合計額が199,999円となり、普通に1,200,000円を6で割った場合と1円の誤差が出てしまいますので、1円の違いが出てる場合は端数処理の関係なので年金機構の処理が間違っているわけではありません(^^;;




切り捨てた端数はさっき言ったように2月支払い期にまとめて支払うので、(0.33333+0.66666)×6=5.99994円が2月支払い期の199,999円➕5円=200,004円となる。


あ、でも支払い総額はやっぱ1円足りないや…(^^;;
199,999円×6回=1,199,994円➕5円=1,199,999円



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