再雇用でせっかく給付金貰えるのに年金カット!? | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです(^-^)/


さて、敬老の日に総務省統計局によれば、65歳以上の高齢者は3461万人で全人口の27.3%になったと発表がありました。


で、働いている高齢者は730万人で、12年連続増。
全就業者の11.4%が高齢者となっているようです。
65〜69歳までの男性は5割以上、女性は3割以上が就労。
高齢者就労は7割超が非正規労働者。
70歳以上でも男性2割、女性は1割弱が働いているとの事。


就労割合もですが、全人口の高齢者の割合はまた上がって27.3%になりましたね。
高いですね。
でもこれ、2050年には38%になり、2060年からは40%ちょっとでずっと推移していく見通しですからまだまだ高齢化率は上がりますびっくり
もう何十年前からシミュレーションされてた事なんですけどね…
それを見通しながら年金はいろいろ改正に追われてきたんです。





さて、今日は60歳以上であっても再雇用とかで就労する場合は給与が下がる場合が多いので、それを補う雇用保険からの給付と年金についてです。
昨日メルマガにも書きましたけどブログにも残しておきます(^^;;

給付金は最大60〜65歳まで支給されるものですが…





さて、男性データ。

昭和31年10月生まれの男性。
来月60歳になります。
老齢厚生年金は62歳から700,000円(月額58,333円)支給開始予定とします。

60歳以降も再雇用で厚生年金加入しながら就労。
60歳以降は賞与無し。




60歳以降に再雇用などで給与が大幅に減った場合(60歳時賃金より75%未満に下がった場合)は、雇用保険から給付金(高年齢雇用継続給付金)が支給される事があります(最大60歳到達月分から65歳到達月分まで支給)。



60歳時賃金は、60歳前の6ヶ月に受けた賃金を180で割った額を30倍にした額で、60歳時みなし賃金といいます。



例えば400,000円だった人が、220,000円に給与が下がると、55%に給与下がっています。
61%未満に下がると、下がった給与の15%分が雇用保険から支給されます。
だから、220,000円✖️15%=33,000円(月額)の高年齢雇用継続給付金が支給されます。




で、この人は62歳からですが老齢厚生年金貰いながら厚生年金加入(在職中という)するから、給与月額(標準報酬月額)と年金月額の合計額が28万円超えてくると年金がカットされますが、この男性は28万円以内に収まってるからカットされないものとします。



ただ、厚生年金加入しながら高年齢雇用継続給付金貰ってるから年金がカットされます。
給与からカットされるのではなく、「年金」からカットされる事に注意。



給与が220,000円の人は標準報酬月額が220,000円なので、標準報酬月額220,000円✖️6%=13,200円が年金からカットされます。

だから、月収入合計額は給与220,000円➕(老齢厚生年金58,333円➖年金停止額13,200円)➕高年齢雇用継続給付金33,000円=298,133円になります。


この6%のカットは、支給した高年齢雇用継続給付金の4割(6÷15=0.4→40%)を年金からカットしますよって意味です。


ただし、厚生年金に加入してない人であればこのカットはありません。


まあ、月収入額を示しましたけど、高年齢雇用継続給付金と年金のカットはこんなに素直に支給されません(^^;;
もーホント年金支給額が毎回コロコロ変わるからよく混乱したものです…
年金受給者の人はもっとわけわかんないですよね。
だから相談の多い部分であります。


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さて、もう一つ。

この男性の60歳時のみなし賃金が例えば500,000円で、60歳以降に300,500円に下がった場合は60.1%に賃金が下がっています。




まあ、普通に金額計算したら、この場合300,500円✖️15%=45,075円(月額)の高年齢雇用継続給付金支給になります。




しかし、ちょっと違いますびっくり




60歳時みなし賃金には実は上限があるからです。
現在の60歳時みなし賃金の上限は445,800円です(平成28年8月価額。毎年8月に上限が変わる)。



となると、60歳時みなし賃金445,800円に対して300,500円は67.41%(小数点以下3位を四捨五入)になります。




となるといくら支給されるのか。



61%未満に下がるとそのまま15%の支給になりますが、61%超えるとちょっと特殊な計算します。



まあ、覚えれば全然大した事はないです(^^;;気を抜いたら間違えますが…

(➖183✖️67.41➕13,725)÷280×100÷67.41=7.358%≒7.36%(小数点以下3位四捨五入)
※注意
この計算式の67.41以外の数字は定数。
数学でいう公式みたいなもんです(^^;;




というわけで、300,500円✖️7.36%=22,116.8円≒22,116円(小数点以下切捨)が支給されます。


だから、収入合計は300,500円➕22,116円=322,616円になります(この男性なら62歳になるまでこの収入)

※注意
月の賃金が339,560円以上になると、高年齢雇用継続給付金の支給はありません。
また、高年齢雇用継続給付金➕賃金が339,560円を超える時は、(339,560円➖支給された賃金)が高年齢雇用継続給付金の支給額になる。
339,560円は支給限度額といいますが、この限度額も毎年8月に変わる。



なお、賃金がどこかの月で300,500円より上下すれば、その分給付金も変動します。


さて、62歳まではもし賃金がずっと300,500円なら収入合計は300,500円➕22,116円=322,616円ですが、62歳から年金(月額58,333円)貰う事にもなります。



じゃあ単純に322,616円➕58,333円=380,949円になるのか。




いやいや…年金削らせてもらいます(笑)



この男性は厚生年金に加入してますからもちろん、年金のカットの話が出てきます(^^;;


いくらカットされるのか。



月額300,500円だと標準報酬月額が300,000円になります。賞与無し。


給与を300,500円にしたのは、標準報酬月額300,000円との違いを示したかったからです。



在職老齢年金による停止額の算出➡︎{(総報酬月額相当額300,000円➕年金月額58,333円)➖280,000円}÷2=39,167円←月の年金停止額。



標準報酬月額と直近1年間に貰った賞与の12分の1の額の合計を総報酬月額相当額という。
280,000円は支給停止調整開始額という。
一種の定数みたいなもの。

※注意
賞与は1回の支給ごとに1,000円未満切捨てた「標準賞与額」を使う。
なお、賞与は1回の支給につき150万円が上限。






よって年金月額58,333円➖年金停止額39,167円=19,166円(月の年金支給額)





でもさらに、厚生年金加入しながら、高年齢雇用継続給付金を貰ってるから更に年金がカットされて収入合計が減ります



300,500円の賃金であれば、標準報酬月額が300,000円なので、標準報酬月額300,000円と60歳時みなし賃金445,800円と比べて67.29%に下がっています。



年金停止額を算出する時は60歳時みなし賃金と支給される賃金の割合を見るのではなく、標準報酬月額と60歳時みなし賃金の割合で見る事に注意ニコニコ



支給する時の計算では67.41%だったですが、若干違いますよね。



何で年金カットする時は標準報酬月額を使うのかというと、年金を計算する時は標準報酬月額が年金にとっての給与みたいなものだから、厚生年金額に影響するものは全て標準報酬月額を使います。




よって、(➖183✖️67.29➕13,725)÷280×100÷67.29✖️(6÷15)=2.995%≒3%(停止率。小数点3位を四捨五入)

※注意
(6÷15=0.4→40%)というのは給付金の額の約4割を年金からカットするという事。
なお、標準報酬月額と60歳時みなし賃金との割合が61%未満に低下の場合は、標準報酬月額×6%が最大停止額。



年金停止額は標準報酬月額300,000円✖️停止率3%=9,000円



よって月の収入合計は、賃金300,500円➕高年齢雇用継続給付金22,116円➕
(年金月額58,333円➖在職老齢年金による停止額39,167円➖給付金貰う事による年金停止額9,000円)=332,782円


だから年金支給については月額10,166円(58,333円➖39,167円➖9,000円)になる。



定年を迎え、再雇用や公務員の再任用になると大半の人は賃金が下がるし、年金支給開始年齢も引き上げられるので雇用保険の高年齢雇用継続給付金は活用したい制度ですね(^-^)/
なお、厚生年金に加入しない場合は、いくら給与貰おうが、高年齢雇用継続給付金貰おうが何も停止額は適用されません


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※追記
60歳までに雇用保険被保険者期間が通算して5年以上ないと給付金は受けれません。
60歳までに雇用保険期間5年以上無いなら、5年以上になった時の賃金より75%未満に下がったら給付金支給。


給付金を受ける間は雇用保険被保険者でないといけません。
支給は最大60歳到達月から65歳到達月分まで。


給付金手続きは普通は会社がやってくれます。
支給は2ヶ月分ずつ。



次回は被用者年金一元化と高年齢雇用継続給付金支給による年金の停止です(。・ω・)ノ゙ 




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