繰下げ増額された老齢厚生年金では、遺族厚生年金を増額させる事は出来ない。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

よく、「配偶者が結構高い年金貰ってたのに、なぜ自分が貰える遺族厚生年金がこんなに少ないのか?」といわれます。
まあ、単純に言うと亡くなった配偶者の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3が遺族厚生年金になるというのもありますが、今回の記事のような事態も頭に入れておく必要があります!


というわけで、結論に至る前に老齢の年金をカンタンに増やす方法を書きます。


65歳以降老齢厚生年金や老齢基礎年金を貰うのを遅らせると、最大42%の年金額が増額します(昭和16年4月1日以前生まれの人は最大88%だった)
これを年金の繰下げといいます。


1ヶ月遅らせるごとに0.7%増えていきます。
ただし、65歳から最低でも1年後である66歳到達日以降にならないと増額した年金は請求出来ません。



つまり、65歳8ヶ月とかで繰下げの申し出をする事は不可です。



66歳時点で繰下げの申し出をすれば8.4%(0.7%✖️12ヶ月)年金が増額します。


さて、65歳から70歳まで年金を貰わないまま70歳で年金の繰下げを申し出ると42%増額した年金を受け取る事が出来ます。
もちろん老齢基礎年金も繰下げが出来ます。


例えば、夫が65歳から普通に老齢厚生年金貰えば1,200,000円の年金が支給されるものをたった5年間年金貰うのを我慢すると、1,200,000円✖️142%=1,704,000円に増えて、それを一生涯もらう事が出来ます。

※注意!!
65~70歳まで厚生年金に加入が出来ますが、この間給与が高い場合は必ずしも上記のようにちゃんと老齢厚生年金が42%増額されるとは限らないので注意!
老齢基礎年金は増えます。


もし、老齢基礎年金も例えば65歳時点で満額780,100円なら5年間我慢してれば、70歳から42%増えて1,107,742円になります。


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で、もしこの年金の繰下げで、増額した年金を受給してた夫が亡くなった場合は妻に遺族厚生年金(老齢厚生年金の4分の3)が支給されますが、この繰下げにより増額された老齢厚生年金を基準に遺族厚生年金が支払われるのかというと支払われません(根拠は厚生年金保険法60条や43条を参照)。



遺族厚生年金は、繰下げで増額された老齢厚生年金で計算するのではなく、65歳時点の老齢厚生年金で計算するからです


よって、夫の65歳時点の老齢厚生年金1,200,000円の4分の3である900,000円が妻に支給される遺族厚生年金になります



なお、遺族厚生年金が支給されるこの妻に老齢厚生年金が支給されていれば、妻の老齢厚生年金分が遺族厚生年金から引かれます。


例えば、妻に老齢厚生年金200,000円が支給されていて、遺族厚生年金が900,000円発生した場合は、遺族厚生年金900,000円から妻の老齢厚生年金200,000円が引かれるので、実際の遺族厚生年金は700,000円になります。



また、70歳まで年金を貰わない状態(繰下げ待機中という)で、例えば68歳で亡くなった場合は、もちろん65歳時点の老齢厚生年金で遺族厚生年金を算出しますが、65歳から68歳まで年金を貰ってなかった分は65歳の年金額まで遡って未支給年金として3年分の夫の老齢厚生年金が一時金として遺族(この場合妻)に支払われます。


未支給年金は相続財産ではなく、一時所得になり、50万円を超えると確定申告が必要になってくるので気をつけましょう
まあ、あんまり未支給年金が50万円超える事は無いですがこうやって遡ったりするとかなりの金額になるので注意が必要です。


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※追記
65歳時点で老齢厚生年金の受給権があるなら最大70歳まで年金の繰下げができますが、もし65歳時点で年金を貰う資格が無くて(25年に足りない等)68歳とかでやっと年金を貰う資格を取得した場合は73歳まで繰下げが可能です。


絶対、65歳から70歳までというわけではなく、あくまで「その受給権を取得した日から1年経った日」以降に繰下げが出来るから、68歳でやっと年金貰える資格を取得したなら69歳以降なら繰下げの年金を請求する事が可能です


なお、繰下げ待機中だったけど、やっぱり年金受給権が発生した年齢から遡って増額されない年金を貰いたい場合はその旨申し出れば今まで貰わなかった年金が一時金として支給されます。
この場合遡って、それぞれの年度分の源泉徴収票が送られてきます。



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