傷病で働けなくなった場合の強力な社会保障(傷病手当金) | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

会社に勤めていて、業務外の傷病で働けなくなった場合強力な社会保障が傷病手当金です。これは健康保険(保険者は協会けんぽ)から支給されるものです。

支給が開始されてから最大1年6ヶ月の間支給されます。

ただ、会社在籍中この間に一時的に社会復帰出来てまた症状が悪くなって働けなくなった場合は1年6ヶ月以内ならまた支給が開始されます。
支給は以前の支給開始から1年6ヶ月までです。

支給される要件は2つです。
まず、会社休むのが3日間連続(待機期間という)していなければなりません。

そして、支給期間は労務不能でなければいけません(医師が労務不能と認めなければならない)。

(勤務中に業務外の傷病が発生して働けない状態になった場合はその日から3日間の待機が開始されます。)

この待機期間は有給休暇や土日祝日で休みなんかも含みます。この間給与が払われていても関係ありません。
とにかく、仕事に就けず休んでる事です。

この3日間の間に会社に勤務したら、待機は完成せず、また休んだ時から3日間連続で休む必要があります。

4日目以降から支給開始です。

ただ、すぐには支給されず、締め日なんかがあるので、初回振込みは1~2ヶ月かかるでしょう。
会社に傷病手当金の締め日と振り込み日を確認しましょう。

支給開始されてもその間給与や有給が支給されてると、日額の傷病手当金を超える場合は支給されません(傷病手当金額の計算式は標準報酬月額を30で割って出た標準報酬日額の3分の2)。

逆に給与なんかが低ければ差額が傷病手当金として支払われます。

手続きは基本的に会社の総務関係者がやってくれますが、会社の証明と合わせて、医師から医師の意見を傷病手当金申請書に書いてもらわないといけません。

健康保険は1年6ヶ月が原則ですが、健康保険組合や共済組合なんかは長めに支給したり、付加給付といって傷病手当金に上乗せ支給される場合もあります。
国民健康保険には傷病手当金制度は基本的にありません(この辺の保障は民間保険の所得補償保険などで補う必要があるでしょう)。
また、健康保険に加入してる人の被扶養者には傷病手当金は支給されません。あくまで健康保険に加入してる本人だけに支給されるものです。


なお、傷病手当金は退職後も支給継続がされます。
ただ、条件が2つあります。
3日間の待機期間を満たし4日目(支給される状態になった日)まで会社に在籍し、休んでる事。⇦要するに支給できる状態にある事。
資格喪失日前日(つまり退職日)までの1年間継続して健康保険に加入し続けた場合です。

これを満たしていれば退職後も引き続き支給されます。
ただ、やはり支給され始めてから1年6ヶ月が限度です。

また、1日でも一旦働いたりするとその後また休むようなことがあっても支給は打ち切りとなり、傷病手当金が支給再開はされません。

退職後の傷病手当金は労務不能が継続してる事が条件だからです。

そして、退職後の請求手続きは協会けんぽか組合にすべて自分でやらなければいけません。
請求は毎月やってもいいし、数ヶ月とかまとめてやっても構いません。

あと、傷病手当金は同一傷病による障害厚生年金と障害基礎年金ももらえる場合は調整が入ります。

障害厚生年金と障害基礎年金合わせた額の年額を360で割った額が傷病手当金の日額を超えた場合は傷病手当金は支給されません。

障害年金が傷病手当金より低い場合は差額が傷病手当金として支給されます。

また退職後、老齢または退職に関する年金給付(老齢厚生年金とか退職共済年金とか)が受けられる場合も老齢年金を360日で割った額が傷病手当金日額を超えれば傷病手当金は支給されず、傷病手当金が高いなら差額が傷病手当金として支給されます。


なお、傷病手当金をもらってる間に障害年金が昔に遡って受給権が発生して支給されたりして傷病手当金の支給期間と重複すると、重複してる障害年金や障害手当金分の金額を協会けんぽに返納しなければいけないので注意してください。


なお、障害基礎年金だけが支給される人は傷病手当金との調整は無く併給可能です。