現在、液体のバイオ燃料は主に2種類想定使用されています。

(1) 穀物、芋類、サトウキビなどから採った糖を発酵させて得るエタノール
(2) 大豆など油糧作物から搾った植物油を加工して得るバイオディーゼル

これ以外に、

(3) 地上の植物の繊維質(リグノセルロース)を加工して得るエタノール
(4) 水中の藻類から得る油を加工して得るバイオディーゼル

が熱心に研究開発が推進されています。

研究開発の主流は(3)で、このブログでは(3)についてかなりの頁数を割いてきています。

日経ビジネス11月23日号では、(4)が紹介されています。アメリカ連邦政府のエネルギー省が支援をしている旨記事に書かれています。ExxonMobil、Dow Chemical などの大手企業がやろうとしているようです。

このほか、5番目があります。

(5) 藻類の繊維質やそこから採れる多糖類を加工して得るエタノールやブタノール

このブログでも、以前このブログテーマで取り上げました。三菱総研が研究しているそうですが、最近音沙汰がありません。

2カ月ほど前に、DuPont が取り組みつつあることが Wired Vision でわずかに報じられています。

現時点で、私が個人的に最も期待している液体バイオ燃料は、実はこの(4)や(5)、特に(5)です。

(12月28日に加筆)

ひさしぶりに書き込みます。

作家で東京都副知事の猪瀬直樹さんがピークオイルについて述べていることに気付きました。

行政関係者にも少しずつ浸透しているのでしょうか。

少なくとも、外国の政策決定者の間でピークオイルに関する認識が浸透していることを猪瀬さんがご存知なのは間違いないですね。

ここです。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20091214/200800/?P=4

このブログのリンク先に、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)があります。

この法人は「石油・天然ガスレビュー」という情報誌を奇数月に発行しています。今月号はロシア関連記事が載っています。

14~15ページに原油と天然ガスの産出量が2006年以来伸び悩んでいる傾向がある旨書かれています。

符合しているニュースはあって、Financial Times が4月に「ロシア天然ガス産出量の急減」を報じています。今年に入ってから2割程度の減少。

石油・天然ガスレビュー 2009年5月号ではメキシコ関連記事が載っていて、こちらはもう明白に産油量が減少過程に入っています。
OPECは原油産出量を加盟各国ごとに割当を決めています。

その割当比率は、加盟各国の埋蔵量の比率です。

加盟国がOPECルールを守る限り、埋蔵量が多ければ多いほどたくさん産出してよいことになり、たくさん輸出してたくさん稼ぐことができます。

で、80年代に突然埋蔵量が増えたのですが、その理由がこの割当ルールだと言われています。「本当は埋蔵量が増えたわけではないのに、増えたかのように繕っている」という噂があります。

OPEC諸国が埋蔵量の外部監査をさせないので、この疑いを強く持っている向きもあります。

で、その疑いを晴らすと称して、埋蔵量データの見直しをやっているようです。

フジサンケイビジネスアイ 6月6日(土)
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200906060041a.nwc

印刷媒体としての6月6日(土)同紙の39面でも見ることができます。

結果として多く見直してくるのか、少なく見直してくるのか、まだ分かりません。分かりませんが、目的を考えると、少なく見直してくる可能性が十分にあります。もしそうなったら、ピークオイルが世間一般の目にいよいよ現実味を帯びて見えてきます。

ちょっと寄り道してみましょう。

こう書くと穿ち過ぎだと言われるかもしれませんが、ジェネラル・モータースはこうなるだろうという想定を私はしています。

(1) 破産法11条適用申請。
(2) 年金・医療費・賃金を切り捨て。
(3) カーディーラー(販売会社)リベートも切り捨て。
(4) 部品会社向け債務も切り捨て。
(5) 破産会社に米財務省とトヨタ自動車とで共同出資、経営参画。
(6) 破産後は労組加盟労働者は新規雇用しない。
(7) カーディーラーと部品会社のうち重要なものを選んで財務省とトヨタで共同出資・融資。

そのココロは、「バイオ燃料や電池に関するDARPAやMITの研究成果とトヨタ自動車のHV技術とをつぎ込んで環境対応車両の開発に注力することによりGM(とフォード)を再生させる」ということです。

もちろん、これ以外のシナリオも十分考えられます。

が、自国の自動車メーカーが無くなっても構わないという陸軍軍人はいないと思いますので、米国政府は外国企業の助けを借りてでもGMを再生させようとすると思います。そして現状維持する限り米系3大自動車メーカーは日系メーカーに対抗できなくなっていることも誰の目にも明らかです。ですから、上述のシナリオが私の想定する第一のシナリオです。

軍絡みであるならば、助けを借りられる相手は「同盟国の企業」が限界ですね。

なお、どちらかというと電気自動車へと走りそうな気がしていますので、ジェネラル・モータース経営危機については、東京ソーラーでいずれ扱おうかとも考えているところです。

トヨタはアメリカにおいては「ピークオイル」という言葉を明確に使っています。

ここで見ることが出来ます。5番目の段落を見て下さい。2カ月前の米国子会社のアメリカトヨタ自動車販売の副社長の発言で、しかも同社のウェブサイト上に掲載されているわけです。

http://pressroom.toyota.com/pr/tms/toyota/maintain-pace-broaden-scope.aspx

トヨタ自動車グループがどう認識しているか、もう間違いないですね。

トヨタ自動車とピークオイルの関係については、アメリカ軍部から情報提供されたことが発端になっている可能性があります。

#59で"Future Fuels"という公開資料をご紹介しました。


#59
http://ameblo.jp/mattmicky1/entry-10015308552.html#cbox

Future Fuels
http://www.onr.navy.mil/nrac/docs/2005_brief_future_fuels.pdf


"Future Fuels"の中に軍部にブリーフィングをした企業や団体について一覧を載せている箇所があります(4ページ目)。そこに"Toyota"と記載されていす。「資料を作成した者がトヨタから情報提供を受けた」ということです。

同資料の記載では、ハイブリッド車両について説明可能な企業・団体・機関はトヨタしか記されていません。トヨタが米軍部から「軍用車両をハイブリッド化したいのだが、技術情報を教えて欲しい」と依頼されたのであろうことが伺えます。

で、同資料中にはハバート曲線が掲載されています(28ページ目)。

ですから、米軍部がトヨタに接触したとき「実は、我々はこれからピークオイルが世界規模で起こると考えている。軍隊も省エネ化を図らなければならない。協力して欲しい」と言われたのであろう、と私は考えています。

トヨタ自動車が6月11日に東京のお台場で「環境フォーラム」というイベントを開催しました。

席上、滝本副社長が「ピークオイル」発言をしています。

いよいよ主流派大手企業も認め始めました。

ここの、滝本副社長の講演と最後の質疑応答の映像で、その発言を見ることができます。

http://www.toyota.co.jp/jp/vision/message/conference/080611.html

さあ、みなさん、周りの人に変人に思われたら、「あのトヨタだって、石油が減退するって考えてて、必死こいて対策を考えているんだぜっ!」って答えましょう。

こういう報道のされ方はしていませんが、昨年から今年にかけて「石油ショック」が来たと私は考えています。

アメリカの石油需要が1982年以来の減少を見せました。第二次石油ショック以来初の減少ということです。2000年のITバブル崩壊後の不況期でも減らなかったものが減ったわけです。

その一方で原油価格は7月から下げました。グルジア紛争とその直前にあったトルコ国内での爆発事件とでBTCパイプラインが危険にさらされていますが、それにもかかわらず原油価格が上がらなくなっていますので、おそらくは巨大な規模での買い持ちポジションの決済が起こっていて、当面価格は上がらない状況が続きそうに思えます。

また、原油高騰も引き金の一つとなって、代替エネルギー導入が風力発電機と太陽電池を中心に活発化しつつあります。これらの報道が非常に増えました。

幸い、世の中の対応が私の想定より早く始まったということですね。

「化石燃料を長期的にあらゆる意味で代替する方法論」はまだ見つかっていませんが、技術革新次第では本当に「脱石油」するかもしれない、という感触を私は得つつあります。

長い間お返事もせず放置してしまいました。みなさん失礼しました。

休止中にお越しいただいた方々のコメント投稿について、ここでお返事したいと思います。


ちぴさん:

小笠原に行かれたのですか?


ぐりぐりももんがさん:

7月6日の投稿から。

> 結局、エネルギーを作り出すには、簡単・便利に入手でき、
> 蓄積でき、しかも安い原料と言うのが手っ取り早く使われていて、
> それとエネルギーに変換しやすくて使いやすい方法を効率的に
> 経済的に組み合わせようとして、人間様はこれまで知恵を絞って
> 来たんじゃないかと思うわけだ。

私もそう思います。「再生可能エネルギー」の弱点はそこですよね。

もっとも「消費側で節約する方法論」が想像以上に進歩する予兆がありますので、「薄く拡散している」という再生可能エネルギーの弱点をかなり補えるのではないだろうか、と最近考え始めています。


Kurotaroさん:

海で栽培する場合、原料に塩が混じるのが問題かもしれませんね。


オーウェルさん:

個人的な意見に過ぎませんが、「死と向き合う機会が日常の中で減っている」ことが理由のよくわからない殺人事件の遠因なのではないか、と思っています。


長嶋さん:

アメリカのエネルギー省もBTLに結構注目してますね。生化学的な製造方法はまだ開発途上です。フィッシャー・トロプシュ法は確立された製造方法なので、保険をかけているように思えます。


ベンツ仙人さん:

うーん、サイトが見つかりません... どーしちゃったんでしょうか?

すっかりご無沙汰してしまいました。

これからも続けます。ただ、当分の間、断続的な投稿になると思います。

この前投稿したときから半年も経過しましたが、その間いろいろな動きがありました。

(1) 食料、飼料、燃料の間でのバイオ燃料原料(穀物・砂糖・油脂作物)の取り合い
(2) 植物の非可食部分の原料化が次の目標になりつつあること
(3) 原油産出量の頭打ち傾向が明白になりつつあること
(4) 国内: 水稲が見直され始めていること

私自身、勤務先で若干名に自分のアイデアを話し、ある種の手応えを得ました。勤務先の事業の一環として何をすべきか具体的に考えようと思っています。