このシリーズは警察モノが好きな人には、刺さる作品。
今回のお話も警察官や警察組織の光と陰を時にドライに、時に熱く描いていて刑事ドラマ好きにはその世界観にどっぷりハマれる良作だ。
前作に続いて如月塔子(木村文乃)の成長物語を軸に、連続殺人事件を追う捜査一課11係の面々の活躍を描いている。自身と同じく刑事だった父への憧憬と、大きなミスを犯した父親の娘という負い目を乗り越えて一回り成長した塔子だったが、トレミーこと八木沼雅人(古川雄輝)の仕掛けた爆弾に巻き込まれたことで、トラウマとなってしまった。
そして、そのトラウマをどう乗り越えて一人の刑事として成長していくかが今作のテーマとなっている。
前作では段田安則演じる捜査一課長が塔子を陰で支える存在だったが、今作では勝村政信演じる手代木管理官がその役目となっている。ラスト付近でわかるが、実はかつて塔子の父親・如月功(仲村トオル)の部下だった男だ。
そして、塔子を文字通り見守り導く先輩刑事・鷹野(青木崇高)も健在。
謎が謎を呼び、複雑に仕掛けられた罠とトリックを塔子や鷹野、11係の面々がチーム力で核心に迫っていく脚本は前作から引き続き堪能できる。
今回も謎解きは二転三転し、最後まで目を離せない。
特に11係と公安が追っていた容疑者・通称OXが、志田(山本浩司)ではなく藤崎(赤堀雅秋)というあたりは読み通りではあったものの、上手い演出でがっかりはさせない。
色々と都合よく展開する部分はあるけれど、5話という短い話の中で完結させるのだから仕方ない。それよりもこういうドラマは、全体の流れが良いかどうかが大事だ。
そしてクライマックスの爆弾の解除をするシーンが秀逸だった。
爆弾処理がクライマックスの作品は多々あるが、最後は必ず解除できるとわかっているのに、なぜあんなにものめり込んでしまうのか。
それは、爆弾が爆発しないことがわかっていても、その過程をどう魅せるかが大事であり、そこが作家、脚本家・演出家の腕の見せ所であろう。
塔子が爆弾処理を行うことになり、警察では処理できないとわかって助けを乞うたのが、今は死刑囚となり刑務所にいるトレミーであった。
トレミーから携帯のカメラを通して指示をもらい、爆弾処理にあたる塔子。
緊張の極限にいる塔子に、トレミーは好きな食べ物は何か?などとおよそこの場面に似つかわしくない質問をする。
しかしそれは自分を、家族を助けてくれなかった警察や如月功、塔子に対する憎悪という固く分厚い氷が少しずつ解け始めている証左だった。
対する塔子も極限状態でのトレミーからの日常会話に、少しずつ落ち着きを取り戻していく。やがて二人の間には奇妙な連帯感と、今までに感じられなかった距離感が芽生える。
トレミーは最後にカットする回路を、2つあるうちの右側だと伝えて電話を切るが、同時に早瀬係長(渡辺いっけい)から、入手した爆弾を作ったテロリストのマニュアルには左側と書いてあるという情報が入ってくる。
テロリストのマニュアルか、トレミーの言葉か。。。。
トレミーは電話を切ったあと、塔子に対してさよならとつぶやく。
そして塔子の選んだ回路は・・・・・
ここもお約束でありながら、最後に塔子がトレミーを信じることで爆弾は処理できて多くの人々の命を守ることができる。
そして塔子もトレミーにさよなら、とつぶやく。
トレミーは塔子への憎悪を乗り越え、彼女を解放した。
そして塔子自身もトレミーや父親を苦しめ、自らもその渦中でもがいたあの17年前の事件から解放されたのだった。
清々しいラストシーン。
でもこの流れで次回作の「蝶の力学」へとなだれ込みたかったが、先に観てしまった無念。。。
その他出演者は、この作品から平岳大に代わって藤本隆宏が。
北見敏之による、刑事ものには欠かせないオヤジさんポジションの演技も素晴らしい。
嫌味な公安刑事に前川泰之と高橋努。これまた180cm超の長身コンビ。
長身の刑事をそろえたドラマというと1984年放映の「私鉄沿線97分署」を思い出す。
鹿賀丈史、小西博之が180cm、時任三郎と古尾谷雅人が188cm、四方堂亘が182cm。検視官の渡哲也も180cm。
皆が揃うとなかなか壮観な光景だったが、この殺人分析班シリーズも負けず劣らずの長身刑事ばかりで見栄えがよかった。
話が逸れてしまったが、2019年以降WOWOWでは新シリーズが作られておらず残念。
いつかまた木村文乃の刑事ものを観てみたい。
そう、あの竹内結子が演じた姫川玲子のような。

