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2018年は松山英樹が日本人初のメジャータイトルに手が届くかがファン最大の関心事。多くのトッププロも松山を強力なライバルと認めています。今回は松山がどう進化しているのか、今足りない部分は何なのかを見ていきます。
昨年は4大メジャーで全てトップ15入り。それはケプカと松山の二人だけです。
マスターズは最終日に4日間ベストの67をマークして28位発進から11位。全米オープンも14位発進の最終日に66で回り2位。全英オープンは5位発進の最終日、出だしの1番OBで14位。そして一番メジャータイトルに近づいたのが全米プロです。最終日の10番単独トップに立ちながら終盤崩れて5位に終わりました。それでも16年はマスターズ7位、全米プロ4位。15年はマスターズ5位とメジャーで上位に絡む回数が増えています。米本格参戦から5年目を迎え、ツアーにも溶け込みアウェイの感じが全く無い。経験を着実に積み重ねています。
スタッツを分析すると14年からどの部門もずっといい。17年はドライビングディスタンス(303.3ヤード=ランク26位)が伸びた一方、フェアウエーキープ率(58.61%=同121位)が落ち、本人は「気に入らない」と振り返っていました。ダンロップフェニックスで松山はインタビューに「自分は皆さんが言う様なフェードヒッターだとは思っていない。ドローヒッターだと思う」と答えていました。確かにジュニア時代からプロ入りした頃はフックボールを打っていました。
日本ツアーで戦っていた13年の松山はほとんどストレート系であり、ドローヒッターなのかフェードヒッターなのかよくわかりませんでした。ここ数年は「ヒデキマツヤマはフェードヒッター」というイメージが定着していますが、本人に言わせると違うようです。「今年(17年)はよく曲がりました」(松山)。ヘッドスピードアップで飛距離が伸びたと同時に右に曲がるミスが出て、ラフから打たされる機会も増えていました。ヘッドスピードを上げようとすればカット軌道の傾向が出てくる。オフはその軌道修正に取り組んだ筈です。
■「予選落ちゼロ」を目標に
アイアンは米ツアートップ5の精度を持ち、フェアウエーにあればピンを狙ってチャンスにつけることができます。したがってドライバー飛距離を落とさずに、フェアウエーキープ率が改善されたらメジャーVの期待が膨らんでくるのです。パットは「自分ではそんなに悪いと思っていない」と深刻にとらえていませんでした。ただ欧州プロを指導するパット専門のフィル・ケニオンコーチ(注)には興味を持っているようでした。松山には専属コーチがいません。スイングに関してはピート・コーウェンにたまに話を聞くだけで、自分で考えて修正しています。
18年の目標のひとつに「予選落ちゼロを達成したい」(松山)があります。年間を通して戦えば調子の悪い時もある。そんな時でも予選は突破する、調子がいい時には優勝争いに絡むという、まさにトッププロの戦いに挑んでいくわけです。体を絞って太ももが大きく、体幹も鍛えられスタミナもつけています。米ツアーで優勝すると凄いエネルギーを使います。注目されて周りが騒ぎインタビューが増える。自分でも期待値が高まってくる。14年1勝、16年1勝もその後はあまり好結果を残せませんでした。しかし優勝を何度も経験することで17年は3勝し、スタミナを使い果たすのではなく持久力がついているのがわかります。優勝馴れが松山の財産であり、自信につながります。メジャー勝利は時間の問題であり、トーマス、スピース、ラームら同世代プロと一打を競う激闘が楽しみです。(メジャー制覇への鍵/佐藤信人 日刊ゲンダイ1月4日より抜粋)
(注)フィル・ケニオンはマキロイ選手、ローズ選手、ステンソン選手などを指導しているパッティングコーチ。