優先順位 | 伊藤和磨オフィシャルブログ Powered by Ameba

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少し前の事だが、文科省が本年度から武道とダンスを必修にしたそうだ。
ニュースでこの事を知った時、「なぜ、ダンスなの?」と怪訝に思った。

文科省の説明は下記の通り。
ダンスは、「創作ダンス」、「フォークダンス」、「現代的なリズムのダンス」で構成され、イメージをとらえた表現や踊りを通した交流を通して仲間とのコミュニケーションを豊かにすることを重視する運動で、仲間とともに感じを込めて踊ったり、イメージをとらえて自己を表現したりすることに楽しさや喜びを味わうことのできる運動です。

ダンスは本当に素晴らしいものだ。
大人になったときに、フォークやチークを踊れたら、どんな社交の場に出ても気後れしないで済む。
リズム感がないよりは、あった方が良いに決まっている。

しかし、ダンスを教える前に、体育で教えるべき事が他にあるのではないか。
理想的な姿勢と日常動作フォームを教える事の方が、ずっと優先順位が高いはずだ。
背筋を正して10分も座っていられない子供が急増し、低学年の児童でも腰痛や肩こり、頭痛を訴えるようになってきたのに、文科省は何の対策も講じていない。

教師たちが、ヒップホップの曲に合わせて必死に振り付けを覚えている姿を見て、感動するよりも気の毒に思えた。
あんなに時間をかけて教えるなら、物を正しく持ち上げるフォームを指導しろって話だ。
その方が、よっぽど将来腰痛症で苦しむ人が減って、医療費の大幅な削減に繋がる。

現代の子供たちは猫背姿勢で、携帯、パソコン、ゲーム、ipadなど、半日以上液晶画面をみている。
猫背姿勢は骨格筋の問題だけでなく、呼吸器、消化器にも悪影響を及ぼす。
特に頭が前に垂れた姿勢は下アゴを下制させるため、口が半開きになって鼻呼吸が出来なくなってしまう。
口呼吸は酸素を取り込む量が減少するだけでなく、直ちに思考を鈍らせる。
また、声門が開いたままいなるので腹圧を一定に保てず、腰椎の安定性が損なわれる。
花粉症の人や副鼻腔炎を患っている人は、口呼吸の辛さを良く理解しているだろう。

全ての基本は静的な姿勢から始まる。
姿勢を正すということは、頭と上半身の重さを脊柱が支える事であり、中枢神経系への余計なストレスを減らす事でもある。
姿勢を整えるという行為は、自分の「やる気スイッチ」を押すことでもある。
まさに、今時の覇気がない子供達に必要な事は、そのスイッチの入れ方を理解させることだろう。
これまでも、これからも文科省が指導要領に「正しい姿勢」「正しい日常動作パターン」を取り入れるように働きかけていく。

それにしても、指導要領をつくっているお偉いさん方の、アタマの中を拝見してみたいものだ。
おかしいのは保健体育に限った事ではない。近年の「近代史」などめちゃくちゃになっている。
思想もない、宗教もない、哲学もない、自国の文化への理解もない、さらに自国とアジア諸国の歴史も知らなくたって、英語さえ話せれば海外で通用する人間になれる、と考えている人が教育機関だけでなく、企業の上層部にも少なからずいるのだから参る。

「教育が大事」
こんな事を言う大人は沢山いるが、毎度一番の能無しが文科省の大臣に就任する悪しき慣習を変えなければ、教育の質が上がるわけがない。
そもそも、本当に国民が賢くなってしまったら、「仕切る側」にとっては不都合なわけで、抜本的な教育改革など望んでいるはずもないが。