初めて新聞が遅刻した | 18歳の新聞奨学生奮闘記✏️

18歳の新聞奨学生奮闘記✏️

18歳で専門学校と新聞配達のために上京した志衣(shii)。新聞奨学生の先輩とのルームシェアや職場の事件、ほっこりする街の人々との関わりなど。当時書いていた1年間の日記️

5月3日 20:15

■東京新聞




午前2時。

いつものように先輩と自転車で

明治通りを駆け抜ける。


お店につけば新聞がやってきて運び入れる。

重い新聞を台の上に持ち上げて気づいた。



―――あれ?東京新聞じゃない。



朝日新聞と東京新聞を配っているけど

会社が違うから新聞も別々にやってくる。



いつも朝日新聞よりも

東京新聞の方が早いのに珍しいな。


なんて思いながら

雑誌みたいに分厚い広告を織り込む。



全部入れ終えたのに

まだ東京新聞はこない。

そしてここにいる人もまだ4人。


すると1本の電話が…。



専業の村田さんが電話を取る。

「ええ?!困るんですよねえ!」

どうやら東京新聞からの電話らしい。



電話を切った村田さんが言った。

「まだ出てないって。

 インクがなくなて入れたけど

     調子が悪いらしい。」


「まだ新聞できてないんですか?」

先輩が聞いた。


「そういうことだな。」




いつもなら出発する時間なのに。


「志衣ちゃん遠いから

    朝日だけのマンションに

 入れてきちゃったほうがいいかも!」



先輩のアドバイスで朝日新聞を積み

大きいマンションを目指す。


産経新聞の前を通ったら、

今出発するようだった。

 


新聞は埼玉から来るらしく、

結構時間がかかるようだった。

4つほどのマンションに入れて販売所に戻った。



いつも出勤の遅い中国人メンバーが

珍しく全員揃っていた。


みんな暇そうに新聞の到着を待つ。



20分ほどするとトラックの音がした。


「来た!」


急いで降ろし、広告を織り込む。



今日の一面はこの販売所の近くにある

亀戸天神社の藤まつりだった。



いつもより1時間遅い出発。

すっかり夜は明けて、

駅前に人がたくさんいる。


他の新聞社の人たちが

配達を終えて帰っていく。


私はまだ中継地点だというのに。




結局終わったのは7時半。

せっかくの日曜日だから

のんびり寝ようと思ったのに。