通勤時間をだいぶ過ぎた午前中の電車。
席は埋まっているけれど、立っている人は私ともう二人くらいでした。
私の地元、足立区を走る電車だからかどうか、比較的年配の方が多い様子。
私が乗った次の駅で、杖をついたおばあちゃんが乗ってきました。
おおお、席をゆずるような若い人もいないなこりゃと思っていたらば、
入り口のそばにいた、これまたおばあちゃんが、
(おばあちゃんの定義:うちの83才になる母親とどっこいどっこい、もしくはそれ以上な感じな方々・笑)
「あああ、どうぞどうぞ、座ってくださいね。」
と、すすすと立たれました。
足腰元気そうなおばあちゃんです。リュック背負ってます。
さすがだな、おばあちゃん。行動早いな。と思った途端、
出ました!?
「いえいえ大丈夫ですよ!次、降りますから!」
と杖のおばあちゃん。ゆずられ拒否パターン(笑)。
ありますよねえ、このパターン。
まあ、席まで移動するのも大変なのかも知れませんね。
杖のおばあちゃんはそのまま、ドアの脇の取っ手を握って立ちます。
すると席を譲ろうとしたおばあちゃんも、譲りません(変な言い方・笑)、
「いえいえ、私も次の駅で降りますから、どうぞ座ってください!」
さてどうなるか、この結末!?
日本でよくみかける、譲り合い譲られまいパターン??
「いえいえ、大丈夫ですから。」
「いえいえ、どうぞどうぞ。」
結局おばあちゃん二人、ドアの前で、ドアの方を向きながら、並んで立ってしまいました。
おおおお、どうなる?この緊張感?
その後、何秒もの静粛…。
ところがやはり、昭和と平成を生き抜いたおばあちゃんたちはさすがでした。
生きていく才能をお持ちでいらっしゃいます。
杖のおばあちゃんが口を開きます。
「毎日寒いですねえ。」
おおおお、きた!天気の共感言葉!
すると、席をゆずったおばあちゃん、
「ほんと、寒いですよねえ、お身体障りませんか?」
おおおお、さらにかぶせる、気遣い言葉!
もうその瞬間から、お二人は仲良しです。
杖のおばあちゃんが、
「あたしはもう、この年で2回も骨折で入院しちゃってねえ、腕で2ヶ月、尻っぺたで2ヶ月。寒いとまたうずいてねえ。」
「あらぁ、たいへん。寒いとねえ、また。」
「いまからも病院なんですよ。」
「あらぁ、たいへん。通院もねえ、また。」
ほぼお友だち会話になりつつあるところで、駅に付きます。
席を立たれたおばあちゃんが、
「お気をつけてくださいね。」
と、杖のおばあちゃんの肩にそっと手を添えます。
杖のおばあちゃんも、
「ありがとうございました。」
と、頭を下げます。
で、二人で仲良く降りるおばあちゃんたち。
さすがだな。
強いな。
昭和と平成を生き抜いたおばあちゃん。
二人を降ろしてドアが閉まります。
電車はホームを離れます。
見習わなきゃなと、思いつつ、
お二人がまだまだお元気に過ごされることを、祈らずにはいられませんでした。
今日もイイ日に。
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