昨日、お電話で
「麦門冬湯は置いてますか?」
とのお問い合わせをいただきました。
いつも病院から咳が出ると出されるとのこと。
「お取り寄せはできます」
とお返事しました。
麦門冬湯とは。
呼吸器や消化器の粘膜が、潤いを失ってカサカサになってしまうのを治すおくすりです。
例を挙げると、もともと全身カサカサ気味のお年寄りが風邪を引いてしまい、なかなか治らず数週間経ち、唇は割れてくる、息を吸うとそれが刺激になってコホンコホン咳込む、夜になると頬や身体の中心がほてってくる……というとき。当然口は渇きますし、飲んでも飲んでも乾きは癒えません。
業界語でいうところの「肺陰虚」を治すものです。
現実には、あまり多くないです。
そして実際、ここまでになる方は、身体全体の「潤いストック」も枯渇してることが多いので、多剤と併用になることが多いです。
しかし。
会社員時代は、よく使っておりました。
だって、他にないんですもん。
肺陰を補うようなおてあて。
「補う」一辺倒のおくすりは、すでに「排除する」べき要素がないときに使えます。
炎症=「熱」や、かぜ症候群=「表証」があれば、そうした身体に不要な要素を「排除し」なければ危険です。
麦門冬湯は「補うしかない!」というときのためのおくすりなので、本当は出番は多くない。
清熱や解表といった「排除する」働きが優先です。
実際に、排除するお手当も必要なのに、2剤お求めになるご予算がないというお客さまに、気管の乾燥がお辛そうでつい麦門冬湯のみを出してしまい、余計に長引かせてしまった経験は複数ありました。
店主にとっては苦い思い出です。
あれもこれも、なくて苦労したな。
会社員時代を思い出した店主でした。
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