前回👉 ドラゴンボール超の6つの並行世界では、並行世界が6つに増える流れをまとめました。それが下の図です。
今回はさらに突っ込んだ話、「時の指輪」との整合について考えてみます。前回よりももっと複雑な内容になります。
■ 時の指輪とは
「時の指輪」は時間移動、いわゆる別の並行世界に移動できるアイテムで、DB超で初めて登場しました。
時の指輪と並行世界とはそれぞれが対になっていて、並行世界が増えると指輪も増え、逆に並行世界が消滅すると指輪も減ります(漫画版のみ描写あり)。すなわち指輪の数だけ並行世界が存在していることになります。
DBZの頃は、「時の指輪」がなかったので並行世界が無数にあってもOKでしたが、超では、「時の指輪」の数が5~7個程度という制約があるため、存在する並行世界の数も5~7個に限定されることになります。
■ 時の指輪の数の推移
[段階1]
"未来"トランクス編開始当初、「時の指輪」は次のとおり、合計5つでした。
緑色の指輪:上段に4つ ●●●●
銀色の指輪:下段に1つ ●
(緑色の指輪は他の並行世界に移動する役割)
(銀色の指輪は未来を行き来する役割)
[段階2]
緑色の指輪×5 ●●●●●
銀色の指輪×1 ●
指輪の合計は6つになりました。
並行世界が増えると、緑色の指輪が対応して増える仕様です。
ただし、指輪の生成には若干タイムラグがあると言わざるを得ません。
作中では、ビルスがザマスを破壊したタイミングで並行世界(指輪⑤)が増えたと説明されてましたが、それは他作品のタイムパラドックスのルールを混同させた公式の勘違いなのは前回述べたとおり。
本来なら未来トランクス③が「超本編の世界⑤」に来たタイミングで指輪が増えるべきでした。このミスを矛盾なくフォローするには、並行世界が誕生しても指輪が物質化されるにはしばらく時間がかかると解釈します。
未来トランクス編最終話で、未来トランクス&マイはタイムマシンで消滅前の世界に向かいました。これにより、並行世界がさらに1つ増え、消滅した世界③の指輪(●)も含めれば、時の指輪の合計は7つになっている計算です。
緑色の指輪×6 ●●(●)●●●
銀色の指輪×1 ●
つまり、並行世界の数は7つだということになります。
ここで疑問が生じます。
「あれれーっ?7つっておかしくないか。」
「並行世界は6つだって散々説明していたじゃないか。」
「もう1つあるなんて聞いてないぞ。」
「そもそも銀色の指輪は数に含めてはダメなんじゃないか」と。
■ 7つ目の並行世界
これを踏まえて、最初の世界を(A)世界線、第12宇宙の過去改変により出来たルートを(B)世界線としたとき、世界の増え方は次の2パターン(①or②)の可能性が考えられます。
① DB本編は(A)世界線にあるパターン
(本編は第12宇宙に過去改変されてないルート)
①のパターンは、DB本編ルートは第12宇宙が過去改変しようがしまいが最初から存在していて、(A)世界線側から派生しているというものです。
一方、(B)世界線ではまだDB本編よりも時代が進んでいないため、ブルマも生まれていません。そのうち(B)世界線でもブルマが現れてタイムマシンを作って(A)世界線のように並行世界が増えてしまうのではないかという若干の不安があります。
② DB本編は(B)世界線にあるパターン
(本編は第12宇宙に過去改変されたルート)
②のパターンは、DB本編は第12宇宙の過去改変でできた(B)世界線から派生するというものです。
(A)世界線の方がDB本編よりも時代が先に進んでいますが、(A)世界線では並行世界を新たに創ることを厳格に禁止されていたのか、あるいは悟空達がいなかったのか、その後(A)世界線からは並行世界が増えていません。それに対して(B)世界線は考え方によっては、過去改変のお陰で(自分たちが)誕生した世界線でもあるので、並行世界を増やすことに寛容で、節操なく増えまくってしまったのかもしれません。
そして、この①と②のパターンで正しいと思われるのは、②のパターンです。
その理由を説明するために、「時の指輪」による未来移動について考えてみましょう。
■ 未来移動について
作中で、第10宇宙のゴワス&ザマスが「時の指輪(銀)」を使って1000年先の未来に移動し、ザマスがババリ星人を殺して、また元の時代に戻って来るというシーンがありました。
ゴワス達が「ブラック誕生の世界④」や「超本編の世界⑤」のそれぞれで1000年先の未来に行ったのだとすると、「その世界のババリ星で1000年待ってたら、いきなりゴワス&ザマスが現れるのだろうか?」という疑問があります。
そう、いきなり行われた未来への時間移動ですが、結構謎です。他にも、
「もしも1000年後に現れてその瞬間にザマスを倒したら、ザマスの凶行は無かったことになるのか?」
「殺されたババリ星人も殺されなくて済むのか?」
「そうなると、ザマスの凶行がなかった並行世界が新たに誕生することになるのか?」
と諸々の疑問が当然のことながら生じます。
しかし、そんなことは起きません。なぜならそれらはタイムパラドックス的世界観の発想で、DB世界の仕様ではありません。世界④や世界⑤でゴワス&ザマスを1000年待ってても現れないでしょう。二人は自分達の並行世界の1000年後に行っていたわけではないのです。
実のところ、あの未来移動は次のように考えるべきです。
元々(B)世界線にいた二人が(A)世界線へ移動して、(B)世界線に戻って来たと。2つの並行世界を単に行き来しただけだったと。
つまり、ザマス含めDB本編のキャラは(B)世界線側の住人であり、ザマス達は時の指輪(銀)で約1000年先に進んでる(A)世界線に移動した後、ババリ星人を殺し、それから世界線(B)に戻ったと。
ババリ星人殺害は(A)世界線での出来事で、(B)世界線側のババリ星人は誰も殺されてないというわけです。
そのかわり、(B)世界線側の5つの並行世界のザマスにより、(A)世界線のババリ星人は5回に分けて計5人殺されていた可能性があります。(この時点では世界⑥は世界③と同一なので、世界は5つ)
だから、(B)世界線側の世界④や世界⑤のババリ星で1000年待ってても、ゴワス&ザマスが現れることはありません。ゴワス&ザマスがババリ星に現れたのは、別の世界で既に終わった出来事なのです。
(B)世界線の①~⑥の並行世界の色を全て緑色に変えると、時の指輪との関係がよくわかります。
時の指輪の構成と綺麗に一致します。
銀の指輪は(A)世界線用
緑の指輪は(B)世界線用
で、(A)世界線は(B)世界線より約1000年先に進んでいる。
と考えるのがしっくりきます。
おそらく第12宇宙は1000年前の過去を改変して、そのときに(B)世界線側の並行世界が生まれ、銀の指輪と緑の指輪ができたのでしょう。
(B)世界線側からすれば、(A)世界線は約1000年進んでおり、そのため、銀の指輪は未来用と呼ばれていたわけです。
しかし、この解釈だと銀の指輪で往き来できるのは実は約1000年後の世界だけで、1万年先とか任意の時代には往き来できないことになってしまいます。そのとおりです。任意の未来に行って戻ることなどできないのです。
アニメではザマスが時の指輪で1年先に飛んだこともあるようになってますが、あれは実質1年経過させただけで戻ってはいないので、矛盾なくOKです。単純に未来に行くだけの機能なら時の指輪には備わっているのでしょう。つまり未来に行きっぱなしならセーフです。
ですが、未来に行ってから同じ世界線の現代に戻るまでの行為は自由にはできません。未来を見てから現代に戻る行為は、結局過去に行って歴史を変えるのと同じ行為になるのでアウトです。過去改変に該当し並行世界が増えてしまいます。銀の指輪で未来に行って戻ることができるのは、単に1000年先に進んだ別の並行世界に行ったり来たりできるだけだったと考えられるのです。
■ 並行世界が増えるルール
そもそも、タイムマシンで過去に移動した際に、並行世界が増えるときと増えないときがあるのを不思議に思った人は多いでしょう。
別に適当に使い分けてるわけでなく、あるルールに基づいて分類していて、密かに大前提としていた事柄があります。
● どの並行世界も時間の進む速さは同じという大前提
実は暗黙の了解があって、例えば本編世界で10年経つと、未来トランクスの世界でも10年経過するというようなルールを大前提としています。
別にそれぞれの並行世界で時間の速さが違ってても問題なさそうですが、同じの方が我々の直感に合うのです。
仮に未来世界の時間の流れが何十倍も速かったとして、数年後、未来トランクスが老人の姿でやって来たら、きっと面食らうことでしょう。SF的なオチとしてはありそうですが、非常に受け入れ難く感じるはずです。
ですので、考察においてはすべての並行世界で進む時間の速さは同じということを大前提としています。
すなわち、並行世界が創られた時の時間差は未来永劫、維持されることになります。
● 並行世界が増える時間移動と増えない時間移動
この大前提が分かると、「並行世界が増える時間移動」と「増えない時間移動」との違いを完全に理解することができます。
○ 並行世界が増える時間移動
○ 並行世界が増えない時間移動
お分かりでしょうか。
並行世界が増えない時間移動、別の並行世界に移動しただけの「いわゆる並行移動」は図にすると平行で表され、往き来する2つの並行世界の時間差は同じままです。
そして、時間差が変わっていないのは、すべての並行世界が同じ速さの時間で進むという大前提があるからです。
逆に、並行世界を増やす時間移動では、時間差が異なっていて、時間差は変わらないという大前提に従うと既存の並行世界では対応できなくなるため、新たな並行世界を生み出す形になるというわけです。
■ ブラック誕生の世界④のその後
もうひとつ大きな疑問を解消しときましょう。
「ブラック誕生の世界④がその後どうなったのか?」という話です。
もっと言うと、「世界④の連中はブラック誕生の後、何をしていたのか?」ということです。
世界④では、未来トランクスがブラックの情報を伝えに来てないため、ザマスの野望を見抜けず、悟空は身体を奪われ殺され、チチや悟天も殺されました。超DBも破壊されました。
その前には第10宇宙の界王神ゴワスが殺されて、破壊神ラムーシも死んでいます。散々な世界です。
地球やナメック星のDBはあったとしても、悟空の身体を戻してちゃんと生き返らせられるかは微妙なところです。
悟空の身体がザマスのものとなったのは超DBで叶えられた願いで、さらにその身体は別の並行世界に行ってしまいました。
普通のDBの力では復活はとても無理でしょう。
何とかするには、超DBを作った龍神ザラマに超DBを復活させて貰って、願いを叶えてちょんまげするしかないはずです。
そこで気になるのは、その世界④のビルス達の動向です。ウイスの力を持ってすれば、悟空が死んだ原因なんてすぐに分かりそうなものです。
それをベジータやブルマが聞いたら、ブラックを未来トランクスの世界③まで追いかけて復讐に行くことは想像に難くないでしょう。
しかし、未来トランクスの世界③では誰も助けに来ず、トランクスは一人でブラックと1年も闘っていました。
果たして、世界④ではタイムマシンが完成しなかったのでしょうか。
いや、たとえタイムマシンが完成しなくても界王神が時の指輪で世界③に移動して、状況を掴むなりブラックの秘密を伝えるなりして、トランクスに協力してあげることもできたはずです。
「一体、世界④の連中は他の並行世界に迷惑かけてるのに1年以上も何をやっていたのか?」
答えは1つ。
「友達の悟空を呼んでも、さっぱり来ないことに激怒した全王が第7宇宙を消滅させてしまったのです。(もしかしたら第10宇宙も)」
この頃は悟空と全王は仲良くなっていて、全王は暇なとき悟空を呼びつけていたと考えられます。
もし悟空が来なければ、怒りにより第7宇宙ごと消したとしてもおかしくありません。ベジータやビルスも第7宇宙ごと全王に消されてしまったのでは、未来トランクス世界③に行くことができなかったわけです。
漫画版だと並行世界が消滅すると、その対象となる緑の指輪は消えてしまう仕様で、全王が未来トランクス世界③を消滅させた瞬間、指輪の合計は6 → 5 に減っておりました。しかしブラック誕生世界④については、すべてを消滅させたわけではなく他の宇宙は残っていたので、時の指輪は減りませんでした。
■ まとめ
というわけで、話を戻して、7つの並行世界を総括しますと、
最初に(A)世界線がありました。(銀色の線)
第12宇宙でタイムマシンが完成し、1000年前の過去を改変して(B)世界線が発生します。
同時に「時の指輪」として、(A)用の銀の指輪●、(B)用の緑の指輪●が生まれます。
(A)世界線では過去改変は厳に戒められ、その後並行世界は増えず、銀の指輪も1つのまま。
一方、(B)世界線では、しばらくしてブルマがタイムマシンを開発し、6つの並行世界が誕生。
同時に緑の指輪も6つ●●●●●●に増えました。(ただし漫画版では指輪は1つ消滅)
全部で7つの並行世界が誕生したわけですが、
"未来"トランクス編終了時のそれぞれの並行世界の年代を示すと次のようになります。
(A) ⓪ 本当の最初の世界 エイジ1821 (0)
(B) ① セル誕生の世界 エイジ 821 (-1000)
② 謎の世界 エイジ 801 (-1020)
③ 未来トランクス世界 エイジ 797 (-1024)
④ ブラック誕生の世界 エイジ 780 (-1041)
⑤ 超本編の世界 エイジ 778 (-1043)
⑥ トラマイ×2の世界 エイジ 795 (-1026)
銀の指輪は約1000年先の(A)世界線「本当の最初の世界」とを行き来するものとして、緑の指輪は(B)世界線の他の並行世界①~⑥を行き来するものとして、使われるようになりました。仮に(A)世界線でも過去改変が行われて並行世界が増えたら、銀の指輪が増えることでしょう。
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