J.メートロン著「アペール報告の批判的研究」(その3)
【インターナショナルの加盟員】
コミューンの真只中で大衆からミリタン(闘士)を区別することは私にとって意味深いことのように思われる。アペールはこの操作をおこなっていない。ミリタンは多年、サンディカや社会的・協同組合的研究のグループの中で積極的活動を展開するという「過去」をもち、たいていの場合、共和政のために、次いでコミューンのために身を捧げた人々である。
私の統計資料はパリコミューンに参加したゆえに有罪判決を受けたインターナショナル加盟員に関するものである。彼らはパリ在住の者もいれば、コミューンに奉仕するために地方から出てきた者 ― たとえばバステリカ(Bastelica マルセーユ)やオーブリ(Aubryルーアン)その他 ― が含まれる。むろん、3月18日以前に加盟した者が論議の対象であり、彼らはふつう警察当局から目をつけられているため、「欠席裁判」の記録もまた「対審判決」の有罪者と同様に提供されている。したがって、私は両方を扱った。しかし、統計はすべて、それが厳しい規則に従うかぎりにおいてのみ有効である。したがって、私は単に有罪者のみを考察し、こういうわけで第17法廷において控訴棄却を言い渡されたベスレー(Beslay)や、戦闘で死んだG.フルーランス(Fleurens)またはJ.ドンブロウスキー(Dombrowski)のように判決を受けなかった者のような、著名なインターナショナル派は除外した。これとは逆に、コミューンののち、おそらくはそれより以前から警察のスパイであるブランピニョン(Blampignon)またはジョスラン(Joselin)のような有罪者はカウントした。最後に、私はこれこれの人物のインターナショナルへの加盟は必ずしも正確ではない ― 他の資料も同様だが ― ことに留意した。調査された402人のうち85人、すなわち21%がこのケースに該当する。私はこの事実を?マークで示したが、統計的数値を全体に渉らせた。
国籍について。402人のインターナショナル加盟員はまず第一に、次のような性格を示す。フランス人が最多である。外国人としてはベルギー人9名、ポーランド人5名、ロシア人2名、ルクセンブルク人1名しか含まれていない。そのほかはすべてフランス人であることを認めると、これは385人すなわち95%を占めることになる。この数字は、たとえばイタリア人がこの点に関しはっきりしないことの理由を考慮すると、少々大きすぎるようだ。
p.109 婦人について。私は僅か4人の婦人をインターナショナルのカテゴリーに入れた。E.ディミトリエフ(Dimitrieff)、A.ジャクラール(Jaclard)、N.ル・モル(Le Mol)、M.ティネール(Tinayre)がそれであり、1%に相当する。コミューン後に有罪判決を受けたインターナショナルのメンバーのあいだで婦人は非常に少なく、4人のうち2人までがロシア人である。フランス労働運動で当時有力だったイデオロギーとしてのプルードン主義は明らかにこの事実を証明するのに援用しうる。
年齢について。大部分が男であるこれらインターナショナル派を年齢の点から区別すると、以下のごとし。
13人 年齢不詳
3人 20才未満(A.Lecocq; H.Rigal; L.Rigault)
98人 20~29才
154人 30~39才
98人 40~49才
31人 50~59才
5人 60才以上(Ch.Marchal; J.Miol; J.Cl.Mourey; J.-J.Pillot; F.Pyat)
年齢の知られている389人のインターナショナル加盟員のうち252人が1871年に30~50才であり、全体の64%を占める。この割合は前にみた婦人と近い数値である。
40才以上の男子のみが1848年または1871年に有罪判決を受けたと仮定すると、それは184人となる。ところで、彼らのうち28人(21%)が何らかの科料を科されていた。これはかなり顕著な割合、つまり、5人に1人の割合となる。4人に1人について忘却があることを考慮すると、パリコミューンに参加したとき、すでに20年以上のミリタンの経験をもっていることになる。
フリーメーソン団について。 402人のインターナショナル・メンバーのうち36人をフリーメーソンと見なす。これは9%(8.95%)に相当し、この領域で知られていない名を考慮すると、たいへんな割合である。
結婚について。 戸籍の知られているインターナショナルの3分の2以上が既婚の寡夫である。つまり、1~3人の子供をもつ父であるのは、子供の数が知られている151人のうち、
138人(85%)である。
戸籍不詳 79人
既婚 209人
寡夫 16人
独身 98人
p.110
子供について。
138家族 1~3人の子供
14 4人
4 5人
2 6人
1 7人
2 8人
161家族
欠席裁判と対審判決について。 もう一つの統計がなされて然るべきである。周知のように、10,100の対審判決の有罪者に対して、欠席裁判の有罪者は3,300人である。インターナショナルに関するかぎり、その数字は以下のとおり。
欠席裁判による有罪者 245人
対審判決による有罪者 157人
したがって、欠席裁判で有罪判決を受けた者は61%(60.94%)になる。一方、このタイプの有罪者は有罪判決を受けたコミュナール全体の24%を占めるにすぎない。その理由は次のとおり。インターナショナルはかねてより警戒されたミリタンであり、弾圧のウラを掻くことに馴れっこになっており、国内はむろん国際的にも他のミリタンと結びつきをもっており、そういうわけで容易に逮捕を免れる術を心得ていた。
住所について。 幾つか重要な論点に近づく前に、インターナショナル派のパリあるいは郊外の住居に関する統計で締めくくっておこう。
128人 住所不詳
4人 郊外(M.CharpenayとG.Melottoはヴァンセンヌ、G.Bazinはブーローニュ、Ad.Schnidはイヴリー)
33人 11区
27人 13区
32人 17区
19人 3区
18人 18区
15人 5区
14人 4区
p.111 13人 14区
13人 15区
12人 6区
12人 9区
12人 12区
11人 1区
10人 10区
10人 20区
9人 8区
8人 19区
4人 7区
0人 16区
『人名辞典』第4巻pp.69-71に出ているインターナショナル支部の表を参照すると、幾つかの区(たとえば11区、13区、17区、5区)におけるインターナショナル派の数と活動中の支部の存在のあいだには明瞭に予想された関係があることが判る。しかし、特定の場所におけるミリタンの存在の関係において区ごとのインターナショナルの活動について究明されるべき研究課題が残されている。
遅ればせながら、私はもう一つの興味深い統計の整理にとりかかりたい。
①インターナショナル加盟員の職業
②コミューンにおけるインターナショナルの役割
③インターナショナルの品行
インターナショナル派の職業について。 周知のように、微妙な問題がある。私がどうにか取りかかることができたので、以下に示しておく。
職業不詳…………………………………………………… 20人 分類困難な職種(水夫1人、軍人2人、スパイ1人、
調馬師1人、元聖職者1人) 6人
自由業および小ブルジョアジー………………………… 12人
教師・教授 8
薬剤師 1
獣医 1
弁護士 2
医師 2
地理学者 1
学生 2
技師 5
ジャーナリスト 9
市役所幹部 1
文士 6
船舶検査官 1
司法官 1
工事指揮者 1
海軍士官 1
p.112
小雇用主・職人…………………………………………… 26人
木靴製造 1
寝具製造 1
数珠製造 1
葬儀用数珠製造 1
靴下製造 1
レース細工商 1
刃物製造親方 1
ゴム・木綿製造 1
香水商 1
写真家 1
書籍商 2
眼鏡商 1
洗練石商 2
ブドウ酒卸商 1
守衛 3
地主 1
裁縫工場の社長 1
樽屋 1
蹄鉄商 1
鬘師 1
彩色業 1
籠製造 1
小商人…………………………………………………………6人
八百屋 1
酒屋 3
既製服商 2
工芸……………………………………………………………36人
画家 1
音楽家、ヴァイオリニスト、ピアニスト 3
立像製造 2
彫刻師 4
皮革、木工、金属への金箔師 6
宝石彫刻師 2
黒檀彫版師 2
彫版師 2
陶器絵師 5
漆器絵師 1
画家 2
金物彫刻師 1
彫金師 2
事務職…………………………………………………………35人
鉄道 1
郵便局 1
事務職 17
公証人、代訴人書記 2
技師の書記 1
会計係 13
p.113
代理人、ブローカー…………………………………………8人
商業代理人 4
宝石ブローカー 1
商人ブローカー 1
書籍ブローカー 1
行商人 1
書籍労働者……………………………………………………24人
印刷工、石版工 13
製本工 1
印刷業 2
印刷訂正業 1
皮革・履物労働者……………………………………………29人
白鞣し革製造 1
長靴製造 2
織カバン製造 1
靴製造 16
靴直し 1
錠前工 3
モロッコ革製造 1
履物掘作工 1
靴踵職 1
革鞣し工 2
建設労働者、製材、石材、ペンキ屋………………………55人
木材切断 1
木材彫版工 4
指物細工、家具職 17
床張り職 1
大工 1
石工 4
屋根屋 1
石材切断工 7
石挽き 1
大理石細工 1
敷石工 1
土方 1
建築物ペンキ屋 4
看板屋 1
装飾ペンキ屋 1
デザイナー 5
金物細工………………………………………………………67人
鋳物工 2
機械工 23
銅または青銅旋盤工 9
ブリキ職 4
鉛、亜鉛職 2
p.114 鍋窯製造 2
青銅器細工 4
錠前工 6
鍛冶屋 3
労働者または小雇主…………………………………………10人
時計工 5
楽器製造 1
パン屋 2
その他労働者…………………………………………………17人
料理人 3
厚紙製造 1
造花製造 1
宝石細工 7
手袋製造 1
日雇い 3
ブドウ酒商の使用人 1
繊維および衣料労働者………………………………………21人
裁断師 7
染色工 3
帽子製造 5
衣服デザイナー 1
紡績工 1
シャツ・ブラウス裁断師 1
刺繍デザイナー 1
つづれ織工 2
最初の統計表は別なふうにも作られる…………………213
金属加工 67
建設 55
皮革・履物 29
書籍 24
繊維・衣料 21
その他 17
これに10人の労働者または小雇用主(たぶん労働者)をつけ加えると、われわれは223人すなわち55.47%に到達する。したがって、もし職業の不詳分を無視すれば、インターナショナル派の53~55%が労働階級に属していると断言してよい。
p.115 2番目の統計表にある、新しい職業にと同様に、古い職業にも分類できる建築労働者を分離するならば、168人の労働者が残る。そのうちの67人、つまり40%(39.87%)が近代タイプのプロレタリアに属すか、あるいはこのタイプに統合されうる。